A:東京には坂が多い。赤坂、乃木坂、桜坂...。関東平野なんて嘘じゃない?ってくらいぼっこぼこ。そして、実家は台地。どこに行くにも坂は必至。帰りは必ず坂登り。その中でも1番の大物は、実家のすぐ裏にあるヤツ。めっっちゃ急で、まあまあ長い。
B:東京の下町は基本自転車移動。徒歩はせっかちの性に合わない。

AとBで一つ、競技が生まれる。自転車 ロード スプリント 坂の部だ。相方とのネタ合わせは坂の下の駅周辺。今日も競技が始まる。

行きは良い。シャーーーーっと行くだけだ。少々の恐怖感と爽快感、スリルが混じる。ずっと続いてほしい。


行きはよいよい、帰りは怖い〜

童謡は嘘をつかない。

6段変速の自転車で毎回勝負に挑む。
まずは準備。予めギアを設定しておく。
ギア1,2,3はなんか負けた気がする。本当のスポーツマンならギア6で行くところだが、しょうがない。4で妥協。少し助走をしてスタート。立ち漕ぎがデフォルト。5、6漕ぎまではいい。そこからゴールまでは地獄道。左手に駄菓子屋が見える。急な坂の途中にだ。宅急便の張り紙もある。どうやってここに荷物を持ってくるんだ。ガラス戸の隙間からじゃんけんグミが挑戦してくる。しかし、じゃんけんは日曜夕方と相場が決まっている。今は木曜21時。その時ではない。ちゃんと空気を読んでほしい。その陰からうまい棒軍団の視線を感じる。無視無視無視!!!君たちは税金が掛かるようになったら相手にしてやる。


いけないいけない!前向いて!

だんだん一漕ぎ一漕ぎが重くなり、遅くなる。
本来の立ち漕ぎの姿勢とは異なるフォーム。片足片足に全ての力を入れ、捩りながら進む。全ての筋肉を動員する。体の中はえらいこっちゃ。てんやわんやのどんちゃん騒ぎ。

右手にネコ!呑気にお腹を下にしちゃって。平和ボケもいいとこだ。
ネコは調子に乗っている。最近ネコの猫権はヒトのそれを上回っているように感じる。でもその風潮に私は反対だ。ウォッシュレットを使いこなせる人間の方が偉いに決まってる。気持ちを込めて一瞥。

あと5m。ここが辛い。
もう一漕ぎ一漕ぎがおっそいおっそい。でも足をつけたら負け。謎の意地が脳を占拠している。

フィニッシュ!

じゃんけんグミが下流でくねくね東京音頭。うまい棒も砕けんばかりのブレイクダンス。普段はクールなネコもよくみると少し頬が緩んでいる。

これが私の自転車 ロード スプリント 坂の部だ。


自己紹介が遅れました。はじめまして。ニッタと申します。林と、「ユトピン」というコンビでお笑い芸人を名乗っています。ユトピンを皆さんに知ってもらう、一つの発信の場としてnoteを始めました。毎月12日、交互にnoteを更新していきます。

この夏からのコンビで、結成したばかりです。これから山あり谷ありのお笑い人生になってゆくでしょう。どんな時も、ネタ合わせのため坂を下り、帰りは上ります。芸人を続ける以上、山あり谷あり、坂下りあり坂上りあり。

(ニッタ)


















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