私が自作品の無償配布を続ける理由

ニコニコ動画には「振り込めない詐欺」というタグがあります。
主に商業作品並のクオリティの動画やフリーソフトに対する賞賛として使われていました。
ニコニコ大百科によると2007年頃から使われていたタグで、この記事も2008年に初版が作られた古い記事です。
当時はネット上での投げ銭は一般的ではなく、ネット上で公開した作品で収入を得るのは困難でした。

あれから17年。

今ではYouTubeやニコニコ動画では、投稿した動画の収益化ができるようになりました。
また、pixivFANBOXやCi-enなどの月額制クリエイター支援サービスDLsiteなどの同人ソフト販売プラットフォームも普及しました。
ここnoteにも、記事を有料で販売する機能がありますね。

このように、現代ではアマチュアクリエイターが自作品を公開して金を稼げるようになりました。
そんな中、10年以上のゲーム制作活動の中で、今まで一度も自作品を販売して金銭を得たことがありません
コンテストの景品として菓子やモップをもらったことはあるものの、作品を有償配布・販売したことはありません。
その理由はいくつかあるので、ここで説明します。


無料公開でもユーザーがいないのに、有償配布で手に取る人がいるとは思えない

最大の理由はこれです。
イラストにしてもゲームにしても、無償配布でさえ見る人が少ない。
そんな状況で有償配布して、果たして手に取る人はいるのか。

かつては「有償配布の売り上げ本数は、無料公開の1/1000程度になる」と言われていました。
今は状況が改善されて、だいたい1/20〜1/100程度のようですが、それでも無償配布と比べると大幅に少ない。
また、成人向けコンテンツ……特に男女間の性行為を描いたものは、全年齢対象の無料公開と同じくらいの本数になると思われます。

その上で、自作品のDL数はというと……

  • ゲーム:ふりーむでは「哀鬱戦記」の約4700DLが最多、ふりーむ掲載作品の中には100DLに満たないものもある。ノベコレでは1000DL達成作品はあるものの2000DLは未達成

  • イラスト:艦これ二次創作(性的描写含む)で閲覧数10000を達成したものの、大多数の作品は閲覧数3桁。最近公開した作品には閲覧数2桁もある

こんな惨状で有償配布をして、手に取る人がいるでしょうか
たかだか数百円〜数千円の小銭のために、手間暇かけて作った作品のDL数が伸びないところを見るのが、創作活動のあり方として肯定できるでしょうか。
あまりにも割に合わない
それだったら、無償配布して少しでも多くの人に手に取ってもらった方がいい。

市場のことを把握していない

恥ずかしながら、フリーゲームは多数プレイするものの有償配布のゲームはほとんどプレイしていません
一応SteamやDLsiteのアカウントは持っていますが、ほとんど買い物はしておらず。
最近買ったインディーズゲームというと、8番出口くらい。
DLsiteに至っては、素材くらいしか買った記憶が無いです。

これは最近になってゲーム離れが進んだわけではなく、昔からこんな漢字でした。
そもそも私は諸事情により長らくクレジットカードを持っておらず
この種の支払いはもっぱらコンビニ払いを使っていました。
去年の3月にクレジットカードを手に入れた他、その少し前にPayPayの使い方を覚えてネットでの支払いはしやすくなったのですが。
今でも同人ゲームやインディーズゲームはほとんど買わない生活です。

こんな状況で、売れるゲームについて分析できるか
ゲームを売るには、あまりに経験値に乏しい。
かといって、売れるゲームを知るために市場調査を行うにも、カネがかかる。
たぶん、市場調査に使った費用は回収できない。

それなら、無料配布を続けたほうがコストがかからないですね。

そもそも性行為に興味がない

有償配布作品の売れ筋について、一つだけわかってることがあります。
それは性行為をメインとした成人向けは伸びる
ですが、そもそも成人向けコンテンツ自体作る気が起きません。

最大の理由が「そもそも性行為に興味がない」。

一応言っておくと、性的なイラストは好きですし、pixivでも見ます。
ですが、そこから先……性行為を行なってる描写は、どうも関心が持てない。
たまに性行為を行うシーンを含むマンガを見ると、そのシーンだけ読み飛ばします。
これは男女のほか、男性同士・女性同士の行為でも同じ。

そんなわけで、性行為を描いた同人誌は買ったことがなく。
DLsiteで買った作品も、性行為がメインではないものがほとんど。
アダルトビデオもほとんど見たことがない……
いや、これは嘘。某ホモビデオを中心としたミーム群は見てます。

とまあ、淫夢動画くらいしか性行為を含む作品は見ないので、性的描写に対するインプットが少ない。
そのため、どのような作品なら伸びるのか、どのような作品なら満足してもらえるのか。
そもそもどのような作品を作りたいかすら無い。
こんな状況なので、成人向けコンテンツを作ってカネを得るのは困難です。

自作品によって税金を納めたくない

最近になって強くなってる、有償配布したくない理由。
それが「自作品によって税金を納めたくない」。

現代日本では、一部の例外を除き物品を販売したときには10%の消費税が発生します。
また、売上に対して所得税が発生するほか、確定申告なども必要になります。
最近ではインボイス制度も始まりましたね。

で、創作物を作るにあたって、国や政府が何をしてくれた?

正直に言います。
創作物を作るにあたって、国や政府のおかげとなったことはほぼありません

もちろん、作品によっては国や政府の恩恵を受けることもあるでしょう。
国土地理院の提供する地理院地図や、気象庁が公開する過去の気象データ。
取材のために国や自治体が敷設・管理した道路を走ることもあるでしょう。
また、公立学校で勉強した知識が、制作に役に立つこともあるでしょう。
そもそも、自衛隊が国を守ってるから、他国に侵略されず安心して創作活動ができる。

……ですが、実際には国や政府から受けた仕打ちの方が大きいです。

自分が生きていい理由を説明できない老人のために使われる医療費。
真面目にビジネスをするよりも、税金や補助金・助成金をもらう方が楽に儲かるという惨状を作り上げた、税金や補助金のばらまき。
自由な創作活動を妨害する、国や自治体による有害図書指定。
国民の利益に反する法律を通す与党、それを阻止せず与党の揚げ足取りに終始する役立たずの野党。
確定申告やインボイスに対する対応で労力を使い果たし、創作活動に支障が出る始末。
特に問題なのは、低レベルな上に時に子供に悪影響をもたらす、公立の義務教育
杜撰な教育のせいで、ゲームを楽しむのに必要な最低限の知識も能力も育たないまま卒業した人間が多発。面白い作品を作ってもプレイヤーの能力不足によって楽しんでもらえないことが多々ありました。

というか、先ほど書いた「政府の恩恵」も弱くなる一方。
公立学校・自衛隊は満足な予算があるとは言えず、設備が劣悪なまま。
気象庁も天候の目視観測をやめて、修繕費を減らされたインフラは老朽化でボロボロ。
そのうち予算削減によって、地理院地図の航空写真の撮影・公開が終了されるかもしれない。

こんな国に税金を納めていいのか?

日本に税金を納めたくないなら、どこか別な国に行けばいい。
確かにそれも一つの選択肢ですが、結局移住先の国でも税金からは逃げられない。
むしろ表現の自由という点では、日本に劣る国がほとんど。
あるいは無政府地帯なら私の理想とする創作活動ができるかもしれませんが、たぶん作品が完成する前にギャングに殺される。
それなら、悲しいけど日本に住んだ方がマシです。

もちろん、私は良識のある成人です。
脱税などの犯罪行為は行いませんし、税金はきっちり納めますよ。

もっとも、税金が発生しない活動という名の脱税はしますけどね!
いくら日本政府でも、無償配布に対して税金は取れないでしょう。
これは政府に対する一種の不買運動と言えます。いや、この場合は不売運動というべきか。
政治家や官僚・公務員の皆様は、国内の文化の発展に反して一向に税収やGDPが増えない現実を見て、指をくわえて悔しがっててください

さいごに

なんかアナーキーなことを書いた気がしますが……
結局のところ、多くの人が手に取るコンテンツが作れないのが一番の理由です。
こんな無様な底辺創作者のことは気にせず、皆様は人気のある面白いコンテンツをお楽しみください。

……そもそもこの記事の閲覧数自体、あまり伸びないだろうけど。


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