少子化

出生数が落ち込んでいる、という、ずっと昔から少子化対策などと言葉を変えながら指摘されている話が、まだ続いている。
官房長官のコメント全文を読む限りでは、「様々な要因が絡み合っている」と、真因または最も阻害する要因の特定もできていない状態が続いているようで、「何もせずに棚上げしてきた」様にも読み取れる。
実際には、不妊治療の保険適用が22年に開始となるなど、何もしていないわけではないと思うけれど・・・。

――出生数について伺います。今年 9 月までの速報値は前年よりおよそ 3万人減少したことが厚労省のまとめでわかりました。このペースで推移すれば、今年は統計開始以来、初めて 80万人を下回る可能性があり、専門家は国力を衰退させることにつながると指摘しています。政府としての受け止めと要因の分析、今後の対応について伺います。

○松野官房長官
先日公表された人口動態統計速報によりますと、本年1月から9月までの出生数の累計は 59万9636人で前年と比較してマイナス 4.9% となっています。調査開始以来、最も少なかった昨年の出生数を下回るペースとなっており、危機的状況であると認識をしています。少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む、様々な要因が複雑に絡み合っていると認識をしており、結婚支援、妊娠出産への支援、男女ともに仕事と子育てを両立できる環境の整備、子育て世帯への経済的な支援など、ライフステージに応じた総合的な少子化対策を進めてまいりたいと考えております。
出典;【全文】"過去最少ペース"の出生数「危機的状況」官房長官会見(11/28午前)
https://news.yahoo.co.jp/articles/5b26a7b1e31087c38dd6a86de876cbcea310a57a

昨年度には、児童手当の交付について、高所得者への特例給付金となる月5000円への支給対象に上限を定める法改正がなされた。22年10月より施行され、具体的には、1200万円を超える世帯が対象になる。

1200万円を超える世帯は、どれくらいかという話もあるが、厚生労働省によると、1200万円を超える所得の人は全体の7%程度。子育てに関連する世帯は、先の日経の記事によると4%程度が対象で、実影響は軽微かもしれない。

一方、この法改正から見えて来ることは、「少子化対策にこれ以上の財源を当てることは難しい」というスタンスである。

希望しても保育施設に入れない待機児童問題の解消を目指す。
改正児童手当法が成立 高所得世帯の特例給付廃止
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2080B0Q1A520C2000000/

読み取れるのは、今の少子化対策の枠内でなんとかやりくりしているというのが現状である。このスタンスが続く限りは、「子育て環境が劇的に良くなることはないので、皆さんなんとか頑張ってください」という印象を受けてしまう。

そのような折、岸田首相からも第3回全世代型社会保障構築本部の会合の中で以下の指示を出しており、これが具体化できるかどうかが肝になる。

席上、首相は子育て支援の充実、医療・介護制度改革、多様な働き方に対応できる社会保障制度の3テーマについて、給付と負担の在り方を年末に向けて議論するよう指示。特に想定を上回るスピードで進む少子化を「危機的な状況」と表現、子育て支援の強化を訴えた。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022090700717&g=eco

少子化対策が直接的に恩恵を受ける世代は主に若者となるため、高齢者の多い政治に反映されにくいのかなという印象がある。しかし、支持率が下がってヤケクソになっている内閣ならば、あとは野となれ山となれということで思い切ったことができるのかもしれない、と根拠のない期待もある。

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