出生数が落ち込んでいる、という、ずっと昔から少子化対策などと言葉を変えながら指摘されている話が、まだ続いている。
官房長官のコメント全文を読む限りでは、「様々な要因が絡み合っている」と、真因または最も阻害する要因の特定もできていない状態が続いているようで、「何もせずに棚上げしてきた」様にも読み取れる。
実際には、不妊治療の保険適用が22年に開始となるなど、何もしていないわけではないと思うけれど・・・。
昨年度には、児童手当の交付について、高所得者への特例給付金となる月5000円への支給対象に上限を定める法改正がなされた。22年10月より施行され、具体的には、1200万円を超える世帯が対象になる。
1200万円を超える世帯は、どれくらいかという話もあるが、厚生労働省によると、1200万円を超える所得の人は全体の7%程度。子育てに関連する世帯は、先の日経の記事によると4%程度が対象で、実影響は軽微かもしれない。
一方、この法改正から見えて来ることは、「少子化対策にこれ以上の財源を当てることは難しい」というスタンスである。
読み取れるのは、今の少子化対策の枠内でなんとかやりくりしているというのが現状である。このスタンスが続く限りは、「子育て環境が劇的に良くなることはないので、皆さんなんとか頑張ってください」という印象を受けてしまう。
そのような折、岸田首相からも第3回全世代型社会保障構築本部の会合の中で以下の指示を出しており、これが具体化できるかどうかが肝になる。
少子化対策が直接的に恩恵を受ける世代は主に若者となるため、高齢者の多い政治に反映されにくいのかなという印象がある。しかし、支持率が下がってヤケクソになっている内閣ならば、あとは野となれ山となれということで思い切ったことができるのかもしれない、と根拠のない期待もある。