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「航海図」 (「船団」増刊号「船団1982〜2020 作品特集・コロナの日々」を読む) 叶裕

疲労に眠れぬまま「船団 増刊号」を開き、改めて「船団」の意味を噛み締めている。
誌上三宅やよい氏の書くように本年船団は小舟として分散した。元来船団は様々な船の集まりであり、身過ぎ世過ぎを励まし合い、刺激し合いながら航するための集団だ。高速船もいれば手漕ぎ舟も居る。医療船もあれば競技艇もいるだろう。多彩な個性をまとめあげていた壺内稔典氏の存在の大きさに改めて思い至る。
予定されての解散とはいえ、先の見えぬコロナ禍を漕ぎ出す俳人達に全国に散在する「船団」のDNAを守る句会の存在は頼もしい限りだろう。
ぼくにはこの増刊号は墓碑などではなく、この先を示す航海図なのだと確信する。

これを読むぼく自身もいつか彼らの句会に参加し、刺激を交わすことの出来るよう、日々弛まず過ごさねばならないと思うコロナ禍の年末なのであった。

2020年12月30日 
里俳句会、塵風、屍派 叶裕

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