歌う老婆

老婆は歌う
今はない
島々の歌を

その歌声は
悲しいような
寂しいような
しかしながら
しっかりと芯のある
その歌声

数々の物語を
経験してきたであろう
老婆の歌は
誰の心にも
ずしりと
響いた

歌声は
海を越え
思い出たちのいる
遥かなる
島々に届く
老婆は
そう信じている

だから
今日も
歌を歌う

子供たちは
老婆の歌を
聴いて育つ

やがて
大人になる子供たちは
歌物語を胸に
この島を出てゆく

自分自身の島を
自分自身の物語を
創るために

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