【レビュー】2019J2第15節_vs徳島ヴォルティス



耐えに耐え抜きました。

長崎は、呉屋がワンチャンスを仕留め、ほぼ90分間徳島の猛攻撃を跳ね返し続け、ウノゼロ勝利!

リーグ戦3連勝!ここ7試合で5勝1分1敗!

完全に上昇気流!

このままの勝ち点ペースだと夏まで待たずに首位までいっちゃうよ?

どうする?マークされて厳しくなっちゃうよ-。困ったなー。首位見えてくるの早すぎだわー(棒)



・・・


ごめんなさい。願望丸出しで、調子に乗りました。


それでは徳島戦を振り返っていきますよ!


今シーズン、長崎は3バックのチームとの対戦では、毎回同じ試合展開を繰り返し苦戦しています。

対戦する徳島も3バック。しかも、これまでの相手と違って徳島がJ2屈指の「ボールを持つ、ボールを動かす」ことに特化したチームであることから、一長崎が抱える3バックへの弱点、問題点が分かりやすく顕在化した試合となりました。

長崎の守備~4-4ライン圧縮



長崎は今シーズンから4-4-2システムを採用しています。

このシステムはDFとMFの4-4の2ラインの間が急所になります。

このライン間のスペースを消すために、4-4ラインは圧縮してスペースを消して守ります。



シーズン序盤は、この危険なスペースが管理できず、ピンチを招くシーンが目立ちましたが、新潟戦から角田がボランチに入るようになって、角田が周囲にコーチングしながら、見事なスペース管理を披露。中盤の守備が安定してきました。



さて、徳島戦です。徳島には言わずと知れたJ2最高のボランチ岩尾がいます。中央にスペースがあれば鋭い高精度のパスが前線のアタッカーに供給されます。



J1クラブが、札束でひっぱたいて本人が嫌がっても拉致して連れて行ってくれないかなと、敵からすれば思うばかりの好選手ですが、お金でもカテゴリーでも動かない男の中の漢岩尾。それだけ徳島のサッカーにもやりがいを感じているのでしょう。実力、精神的にも徳島の中心選手です。


つまり、この試合まず長崎がやるべき事は、(いつも通り)中央は堅く閉ざすことです。そこは非常に徹底されていました。

試合をおっていきます。
試合が始まると徳島がボールを持ち、長崎が守るという図式になります。その辺は観る側もする側も予想できた展開ですね。


そこで3バックのチームを相手にしたときの長崎の守備の問題点が早速現れます。

ハマらない3バックへのプレッシング


徳島は最終ラインからショートパスを繋いで前進してきます。

徳島のDFは3人。それに対してプレッシャーをかけにいく、長崎の前線は2人なので、徳島は常に数的有利な状況でのビルドアップを行います。呉屋がボールホルダーを追いますが、岩尾もビルドアップに加わって4対2となると長崎のプレスは全く意味をなしません。

玉田は岩尾へのコースを監視してると思うのですが、見てるだけって感じですね。岩尾は簡単にパス回しに顔を出してきます。徳島は左右CBがパスの出口になることが多くなり、簡単に前進が可能な展開となり、さあ長崎の野郎をたこ殴りにしてやるぜ!っていう下準備ができあがるのでした。。



図は、左CB内田がボール保持した際のシーン

亀川からすれば、表原がドフリーなので表原が気になり、イサンミンとの間にスペースができます。

そのスペースによりできたDFラインの裏を、何度かとられたところで、長崎最終ラインはたまらず撤退します。

ここから前半残り20分以上、長崎は自陣で引いて守ることになりました。


長崎が引いて裏のスペースを消したので、ここからはサイドでの攻防となります。



お互いのシステムの嚙み合わせ上、最もマークが宙ぶらりんになるのが、表原と杉本の両WB

長崎は中央に圧縮しているので、大外にいる徳島WBは、長崎の選手から遠い位置にいる。というシステム上のギャップが生じます。

徳島からすれば、これを利用しない手はありません。長崎は中央を堅く閉ざしているため、手薄なサイドを攻略すれば、中央の守備に楔を打ち込むことができます。


では、長崎からすれば、この2人には誰が対応すればいいのか?


この対応は、両サイドで異なる対応をとります。

徳島の右WB杉本へは、翁長が活動量とスピードを生かして、杉本にパスが出たらダッシュで追いかけて、香川と挟み込む。題して、翁長頑張れディフェンスを実施します。

逆のサイド徳島の左WB表原への対応は、表原にボールが入ったら亀川が迎撃に出て1人で対応。

翁長と香川で挟み込める右サイドはさておき、亀川は長い距離を迎撃に出ては、最終ラインの持ち場に戻る、1対1の対応をするという高負荷な仕事を余儀なくされます。
しかも、野村が虎視眈々と亀川が空けたスペースを狙っているので、なお対応は難しい状況。
右とは違って、左は亀川過労死ディフェンスですね。
亀川には私からMOMをあげたい。


そんなこんなで、サイドで1対1の攻防を繰り返す両チーム
長崎は、マイボールにしても徳島の効率的なプレッシングにあい、反撃の糸口も見いだせずに前半終了。

徳島は、前半ハイペースに飛ばしているように見えましたが、選手が適切な場所に配置され、奪われても奪い返すのも容易にできる。
一方長崎は、「特定の選手(呉屋、翁長、亀川)が異常に走らされている」状態で前半が終了します。


さて、前半だけで見えてくる長崎の問題点ですが


1.3バックに対するプレッシングをどうするか。

2.相手WBへの対応はどうすれば最適なのか。

3.そもそも主導権を握り返すにはどうするか。


ということになります。

長崎が今シーズン3バックのチームに対して、抱いている問題点は前半だけで顕著に表れていました。


ではでは、ハーフタイムを挟んで後半。長崎は問題を解決するために1つのチャレンジにでます。


「数的同数プレッシング」

2人で足りないなら、徳島DF3人に対して3人でプレスするぜ!試合の主導権を奪い返しに行きます。

殴られっぱなしでは危険だし消耗するので勝負に出ました。マークは、翁長が田向、玉田が石井、呉屋が内田。


結果として、数的同数なので、DFラインへプレッシャーはかかるようになりましたが、ここで奪う!というのはチームでオーガナイズされていません。
あくまでビルドアップを阻害するだけ。中盤から後ろとの連動性も乏しい。高木長崎のプレッシング戦術に見慣れていると非常に荒い。
追いかけることでミスを誘うくらいできると御の字ですが、徳島は組織的なビルドアップで長崎のプレスをかいくぐり、「同数プレスで主導権奪取作戦」は失敗します。そして、前半と同じように撤退する長崎。


そのため後半もサイドでの攻防を中心となり、試合終盤、前半から何度も防波堤の最前線で迎撃し続けた長崎のサイドの選手が続々と限界を迎えます。

一方で徳島も消耗で前半のような1対1を仕掛ける回数が減っていき、気迫で長崎守備陣が跳ね返す。結局、ゴールを気迫で守り抜きゲームセット。


無失点で終わる事が出来ましたが、長崎は、ゴール前で跳ね返せればオッケーという手倉森式「割り切り」をしているので、徳島のワンツー侵入や単純なクロスは比較的跳ね返しやすい攻撃だったかなと(十分怖かったけどな!)

徳島は、ロスタイム最後のシーンのように内田が表原を追い越して深く抉ったような攻撃が繰り出したかったところですね。

3バックのチームへの対策ですが、既に書いたとおり、システム上のギャップをどう解決するかというのが今後の課題です。

J2では3バックを採用するチームが多く、恐らく今シーズン何度もつきまとうでしょう。

手倉森監督の究極の目標は、主導権を握って逆にギャップを利用する。なのでしょうが、それには年月をかけて長崎の組織、個人能力を高めていかなければなりません。

今後の手倉森監督に注目です。


そしてもう一つ。長崎の選手が消耗したことは、この試合に限っては、

徳島は適切なポジションを取り、自らのポジションを崩さずに効率的にプレーし、長崎はシステムの嚙み合わせのギャップを埋めるために非効率に走り続けた。


これでは無いかと思います。

また、玉田、大竹という攻撃能力が高い選手を起用するのであれば、守備一辺倒の試合展開は避けたいところです。

彼らのセットプレーをはじめとした1発で試合を変える能力は疑う余地もなく、今シーズンの長崎の最大の得点源ですので、長期離脱を避けるためにも、逆に夏場は大切に起用していきたいところではないでしょうか。

また、玉田、大竹、角田と90分持たない選手を3人スタメンで送り出すのは非常にリスキーです。(角田は明らかに限界がきても90分走ってます。凄いです。脱帽。ただ角田の長期離脱が最も困る)

6月も過密日程の中を戦います。

選手のやりくりとコンディション調整も注目ですね。



次は、6/2アウェイで千葉と対戦です。

あれ、千葉も3バック?とりあえず見守りましょう。

喜作のソーセージを食べに私も行きたいと思います。

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