ゴミ箱と優しさ。

あなたが一番心を動かされた経験は?

心を動かされた、、かー。心を動かされる経験って、どんどん流れて行くんよね。
その時は動かされても、時間が経つと、忙しい日々の中に消えて行く感じ。
でも風化せずに残っている記憶は、ある。数えられるくらいやけど、いっぱい。

何を持って心を動かされたというんやろう。そうやね、僕の場合やと、自分の行動を変えるきっかけになった瞬間が、一番心を動かされたというのにふさわしいかもしれない。

そういう意味だと、圧倒的に深々と突き刺さっている一つの言葉がある。10年以上前にもらった言葉。
言葉と、その言葉に至るやり取りだけを取り出すと、思い出すのも喋るのも恥ずかしいんですよ。

「うちはゴミ箱ちゃうねん」

文字に起こすと10文字程度。それだけの言葉が、10年以上も生きているんです。自分でもびっくりやわ、ここまで引きずられるなんて。多分、少なくとも20年は引きずっている自信が有る。

大学のサークル仲間から言われた言葉。
その時の環境、周りに不満だらけの自分が、話を聞いてくれる女性に愚痴りまくっていた時に言われた言葉。
言われた瞬間真っ青になった。怒らせたかなあ、怖って。うっわー、恥ずかし、って。

そっか、愚痴ってゴミなんや。自分が吐き出すゴミ。
ゴミを投げつけて、かっこ悪い男やなー。って。
気づいた。ザクっと、突き刺さった。
愚痴ると怒られる。愚痴ると嫌われる。愚痴るとかっこ悪い。愚痴るとモテない。
なんか、そう、その15秒くらいで、悟ったんですよ。長い年月を積み重ねたわけではなく、半強制的に。

悟ったっていうけど、楽になる悟りではないからね。
全ての苦しみから逃れるために何十年も修行して、座戦して、苦行を積み重ねて菩提樹の下で悟って、全ての苦しみは自分の心に原因があるんだやっほい降りてきた、と気づいて涅槃に至るのとは訳が違って。そんなに苦しまずに気づいたんですよ。めっちゃ楽に気づいてしまった。

これがめっちゃ辛くってさ。いや、自分に必要な言葉やったと思うんやけど。
愚痴ると声が聞こえるんだわ。ゴミを人に投げつけんなアホって。あーやっちまったって、しょっちゅう後悔するんだわ。

声が聞こえると次に何をするようになるかって、言い方に気をつけるようになるんですよ。
自分の感情をぶつけない。嫉妬とか、自分への同情とか、感じさせないように。
話し方が超客観的になる、ある意味他人事、本気でそう思っているの?と問われるようになる。
若干感性も鈍くなるんだよな。

なんて厄介な言葉だ!世の中愚痴をいう人と言わない人だと、愚痴を言う人の方が多いやん?
と言うことはですよ、共感が得られなくなるんですよ。なんて厄介な世の中だ。って愚痴ってもしょうがないのだけれども。

厄介なんやけどさ、ほんま感謝しているよ。遠慮なくぶつけてくれた友達には。
余計な言葉で周りにゴミをばら撒くこともないし。

そ、これが僕の心を動かし、行動を変え、習慣を変え、人生を変えてくれた言葉。

でもね、この一言だけじゃないんです。もう一つ、あるんですよ。

「お前さ、ずば抜けて優しいよね、自分が言いたくなった言葉を相手がどう受け取るかを想像できるじゃろ。言いたいことを飲み込める人は少ないんだって。聖母マリアか、お前くらいじゃけえ。」

と関西に来て4年経っても広島弁を貫く友人は言ってくれた。言われた時はふーん、そか、なんでマリア?という感じ。そう言う見方もあるんやなー、こいつ俺のこと好きなんやなってw (お前が女なら結婚しとるけー、と言われたこともあるけど)

その時は、それだけだった。なんとなくそこまで言ってくれる友達って、ありがたいよなーって、それだけ。

その言葉が生きたのって、本当にきつく、しんどくなった時なんですよ。
追い込まれるんだ。なぜか。人がいいからなのか、求められると応えたくなる性格だからなのか、自分のキャパを考えずにやりたくなるんですよ。(そいや、自分のことを後回しにし過ぎだと言われることもしばしば)
そんな時に限って否定ワードが積まれていくんです。自分も自分に積み上げるし、周りからも積み上げられるし。ネガティブスパイラル。あー、出口が見つからんなあ。やばい、疲れてきた。って。

そいつはそんな時に優しさって言葉をもっと練り上げてくれたんだ。優しいって言葉は使いやすいやん。ある意味軽く、安っぽくなる言葉。そんな言葉を昇華して味付けしてくれたんだわ。

「お前の優しさって、多分しんどいじゃろ。考え続けても答えが出んときよくあるから。じゃけえ、お前がそれだけ考えて、ひねり出した答えって、間違ってないけーね。たとえやったことが失敗でも、周りを傷付けたとしても。お前が考えた末の結果なら仕方ないって」

うん、この言葉は効いたわ。何年も。だって、間違ってないって言ってくれるんですよ、徹底的に考えることが条件やけど。自分のやり方は正しいんだって、背中を押してくれるんです。迷っても迷っても、前に進めるんですよ。

そ、この言葉は2つともセットだ。自分を自分たらしめてくれる言葉たち。
自分1人では生きていないんですよ。周りに絶対誰かがいるんですよ。完全に1人だったら楽かもしれないけど、究極的には生きる意味がないよね。自分が何かをすること、与えることによって、周りからも与えてもらえるんですよ。だったらさ、ゴミは自分で燃やしてエネルギーにするのが良いんじゃないか?人にぶつけずにさ。そやって器大きくしていけばいいんじゃない?

根っから前向きな人には敵わんけど、後ろ向きの割りにはなかなかいい言葉をもらって、健全に生きてるんじゃないか?って、自分で自分を褒めてやりたい。ほんまありがとう、お友達AさんBくん。俺は変わらず生きてるよ。もらった言葉のおかげで10年辛かったよ。でも、助けられたことは、もっともっとあるんですよ。うん、ほんまありがとう。

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