RSIの基本

RSIとは

Rapid sequence intubation。
鎮静と同時に筋弛緩し、換気しないで挿管することで、嘔吐のリスクを最小限にする。

RSIの適応

緊急挿管の第一選択として、グローバルスタンダード。メリットは、①圧倒的な1st pass success(初回成功率)、②嘔吐回避なので、Crash airwayじゃない → Difficult airwayじゃない → RSI!という決断。

基本ステップ seven P’s

Preparation Preoxygenation Pretreatment Paralysis and Induction Positioning Placement with proof Postintubation management

Preoxygenationの意義

RSIの基本コンセプト「鎮静と同時に筋弛緩し換気しないで挿管」するためには、時間の猶予が必要。換気なしで酸素化が維持される猶予が。そのために「とにかくSpO2 100%」を目指す。SpO2 100%になると、健常成人では、8分間の無呼吸でもSpO2>90%が維持される。小児、肥満なら半分の4分。ロクロニウムによる筋弛緩は通常1分、遅くても2分なので、Difficult airwayがなければ、余裕で挿管を終えられる。RSIの高い初回成功率も、これを保証する。

フェンタニルの位置づけ

緊急挿管時の麻薬は、集中治療・人工呼吸管理の麻薬とは意味づけが異なる。集中治療では、鎮静と鎮痛を別に考え、しっかり鎮痛することで、良好な覚醒を目指す、というもの。一方、挿管時の麻薬は、患者が痛くないようにしてあげよう、ではない。「交感神経刺激により悪化する病態で、それを避ける」ため。脳圧上昇疑い、SAH、AMI、心不全、大動脈解離、など。まとめると「頭と心臓ではフェンタ使おう」。

また、RSIではないけど意識下挿管でも役立つ。
その他では必須ではない。、、なら使ってもいい?

フェンタニルの使用が周挿管期の低血圧に関与する、という文献あり。使うときは、挿管直後の血圧低下を覚悟する。鎮静と筋弛緩のタイミングRSIの基本コンセプト「鎮静と同時に筋弛緩し換気しないで挿管」なので、同時投与。三活にシリンジ・ダブル・セット。両薬を投与したら、秒針のある時計を見る。1分〜2分で筋弛緩が完了し、挿管できるはずなので。

RSIの危険は?

CVCIに陥りそうな状況。Cannot ventilate, cannot intubate.

自発呼吸に頼っている状況。自発呼吸がなくなると維持できなそうな患者。
①上気道狭窄。圧倒的に自発呼吸により換気が維持されている。BVM換気困難が予想される。
②重度代謝性アシドーシス。自発呼吸による過換気がpHをギリ維持している。呼吸止めるとアシドーシスが進行して心停止しそう。
③重度呼吸不全。自発呼吸により酸素化and/or換気がギリギリ保たれている。※preoxygenationが成功するかどうか。挿管後の集中治療で筋弛緩がデメリットになりそうかどうか。

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