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発達心理学に興味があるので「インテグラル理論/ケン・ウィルバー著」を読んでみた

こんにちは、株式会社TO YOUの岩下です。

noteを唐突にスタートしてnote運営の思惑通り始めたらなかなかやめにくい感じになったので、息を切らしながら30回まで毎日更新を続けましたが、力尽きてしばらく休みました。

2,000字目安で続けていましたが、結構大変ですね。。。

今日は久しぶりにnoteを書いてみることにしました。これからは気楽にやっていきたいと思います。

私は最近インテグラル理論という本を読みました。

実は2002年にA THEORY OF EVERYTHINGの訳書は出版されていますが、それが2019年6月にあらためて新訳として発表されたという見た目とは裏腹に意外と古い本です。

2002年といえば日韓共催のワールドカップがあった年で、私はまだ小学生でした(体育館でみんなで試合観戦した憶えがあります)。

内容的には20年前の本なのですが、今読んでも新鮮で、むしろやっと時代が追いついてきた的な雰囲気が漂っています。

さて前置きはこのくらいにして、ざっくり概要をまとめてみましょう。

筆者は発達心理学をベースに学問分野を超えて分析をするメタフレームとなるインテグラル理論を提唱しています。

◼️発達心理学
◼️インテグラル理論

◼️発達心理学

発達心理学とは、心(知性)の成長や発達を研究する分野である。言い換えれば、人間の内面がどのように発達していくのか、あるいは、意識がどのように進化していくのかを研究するのである。(p42)

以下では筆者による発達の諸段階(ウェーブ)を書き出しの一言のみ抜粋。

・ベージュ(古代的-本能的な段階)
基本的な生存活動の段階。

・パープル(呪術的-アニミズム的な段階)
思考はアニミズム的である。

・レッド(「力のある神々」の段階)
部族集団と区別された「個」がはじめて出現する。

・ブルー(神話的秩序の段階)
人生には意味があり、目的があり、方向性がある。

・オレンジ(科学的達成の段階)
この段階において、自己はブルー段階の「群集心理」から脱出し、個人として真理や意味を探し求めるようになる。

・グリーン(「感受性豊かな自己」の段階)
共同体主義的であり、人間の絆を重視し、エコロジーへの関心が高く、ネットワーク的に思考する。

・イエロー(統合的な段階)
人生とは万華鏡のようなものである。

・ターコイズ(ホリスティックな段階)
世界全体を包括するホリスティックな体系を生み出す。

進化心理学または発達心理学という名称もあって誤解されることが多いが、これらは入れ子構造であり、濃淡のある特性であり、優劣ではないと筆者は再三指摘しています。

例えば、グリーン段階の人はそれまでのベージュ、パープル、レッド、ブルー、オレンジの全ての段階の要素があり、その上でグリーンの要素を獲得していると説明できますね。

だからこそ、マトリョーシカのような入れ子構造であって、階段のように一度上がったら前の要素を全部置いてくるということではありません。

どれだけ人間の絆を重視して、エコロジーへの関心が高いグリーン段階の人であっても命に関わる戦争や飢饉など極限状態ではベージュやレッドの要素が発現しやすくなるでしょう。

ただし、発達段階を進んでいって、より多くの要素、視点、選択肢を持っている方が、目の前の状況によりうまく対処しやすくなるのではないでしょうか。

これが発達心理学の簡単な概要です。

では次にインテグラル理論を説明してみます。

◼️インテグラル理論

インテグラル理論はメタフレームとして、より視野の広い分析を多くの対象について展開するための手助けとなりそうです。

4つの視点からものごとを考える癖をつけましょう、という感じです。

◼️自己や意識の領域
◼️文化や世界観の領域
◼️脳や有機体の領域
◼️社会制度や環境の領域

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ここでいうと、先ほど説明した発達心理学は左上の自己や意識の領域を中心にしていると考えていいでしょう。発達心理学をベースに組織論として研究したティール組織という本のテーマは左下を中心に右下の象限もちょこちょこ入ってきます。

右上に該当するのが例えば脳科学や西洋医学など、右下には建築学や情報伝達の方法や地政学的な構造をテーマに取り上げる領域です。

4つの象限は(個人or集団)と(内面or外面)の組み合わせで分類されていますが、完全にそれぞれ独立しているわけではありません。

例えば、個人の心理的な興奮を取り扱うのは左上象限ですが、その時の脳の変化を観察するのは右上象限にあたり、両者は密接な関係があると言えるでしょう。

Aさんが怒っている時、個人の心理的な側面だけで分析しても本質にはたどり着けないかもよ、もっと他の視点(左下、右上、右下)でも考えてみよう、という風に使うのだと私は理解しました。

はい、ここまでがインテグラル理論に書いてある主張のとても大雑把な内容です。

これを読んで私は何を思ったのか。

コミュニケーションがうまくいかない時に、発達心理学の考え方とインテグラル理論のフレームワークを思い出して当てはめていくと、便利かもしれないと思いました。

会社やチームで議論しているときにどうも意見が食い違って並行線の議論になってしまうような場合の打開策として使えるかもしれない。

Bさんの意見は発達心理学でいうとブルー段階の視点で、インテグラル理論のフレームワークでは左上の話しかしてないな、ちょっと形式的だったり主観的すぎるかもしれないよ、という風に。

そうやって意見や主張を整理していくと、それぞれの立場や意見が客観視できるようになって、今はどの段階の視点で議論したらいいのかなと考えられたら、建設的な議論になっていくように思えました。

相手の色を見極めて説明や提案の仕方を変えるようなこともできそうです。
Cさんはオレンジ強めだから定量的なデータをいつもより手厚く用意しておこう、とか。逆にレッドの闘争心掻き立てると目が輝いてくるんだよ、とか。

または自分自身の意見を考える時にも。

オレンジの気持ちで考えれば、こうすべきだけど、自分の中のグリーンがそれは違うと言ってるんだよな、みたいに使いこなせるとひとつレベルアップできるような気がしました。

第24回:たった一人を熱狂させる/真似ぶの先には無駄があるでプロ雀士のコピペを試みた話のように、お手本となる人ならこうするんじゃないか、と考えることがありますが、それをもっと幅広く抜け漏れ防ぎながらやるイメージでしょうか。

つまり、私はこの

◼️発達心理学
◼️インテグラル理論

が気に入ってしまったというお話でした。

以上、長くなりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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