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明日学校に行かない子は、君以外にも何万人もいる。

もうすぐ8月が終わる。すでに新学期が始まっている人もいれば、これから始まる人もいるのかもしれない。

自殺総合対策推進センター によれば、中高生の自殺は8月下旬から9月上旬にかけて増加すると言われている。
学校が始まるこの時期に憂鬱な気持ちを抱える子どもたちは多い。

実は僕自身も「学校に行きたくない」と強く思っていた時期があった。

中学生の時、全寮制の学校で生活していた僕は、そこでいじめにあった。誰の目も届かない寮の部屋で、容赦なく叩きつけられる悪意。
そして味方が誰一人いない生活に耐えられず、結局僕は中学2年生の終わりに退学をした。その選択肢をとるまでの苦しさや葛藤は今でも忘れられない。

周囲が当たり前にできている「学校に行く」ことが、自分はできない苦しさや劣等感。
そして、今「学校に行かない」という選択肢をとった時、この先自分はどうなるのかという不安。当時の僕と同じように、今、様々な感情に悩まされている人たちはも少なくないと思う。

でも、僕は大人になって気づいたことがある。

それは「不登校経験者は社会にたくさんいる」「不登校になってもその後の人生はなんとかなる」ということだ。

だから、学校に行くことが本当に辛いならば、一旦行くのをやめてみてもいいと思っている。僕が「キズキ共育塾」という不登校・中退の方を対象とした塾を運営するようになって、ますます強く思うようになった。

今日は、「不登校になっても大丈夫」ということを伝えたいと思い、いくつかの統計データを紹介したい。

不登校は、もう珍しくない


「みんなが当たり前にできることを、なぜ自分だけができないのか」と悩んでいる不登校の人も多いと思う。

しかし、このデータを見てみてほしい。

文部科学省の調査によると、小学生と中学生を合わせた不登校者数は、平成3年は6万人だったが、平成29年には14万人以上にのぼることが分かっている。

(平成29年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」)

また、「割合」でみても年々増えており、不登校は珍しいものではなくなりつつある。
中学生の場合、平成3年では100人に1人が不登校だったが、平成29年には100人に3人の割合に増えた。

(平成29年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」)

グラフは用意できなかったが、小学校・中学校・高校を合わせると、この3年で毎年1万人ずつ不登校の人数は増えている(平成27年17万人、平成28年18万人、平成29年19万人)。
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ここまで数字で示したものは、文科省の定義する「年間30日以上の欠席」をしている不登校の子どもたちの話だ。
つまり「保健室登校」「30日未満であるが一定期間学校に行けていない」子どもたちは含まれていない。

そこで参考にしたいのが、日本財団が2018年に行なった「不登校傾向にある子どもの実態調査」だ。この調査では、中学生を対象に、「保健室登校」「教室で過ごしながらも学校に通いたくないと思っている子」にも焦点を当てている。

調査によると、上記のような不登校傾向の中学生は全国に推定33万人いるとされている。
文科省定義の「不登校」と合わせると、約43万人の中学生が顕在的・潜在的な不登校層となる。
つまり、
全体のおよそ13%、10人に1人の生徒に不登校傾向がある。

こう考えると、不登校はもう決して珍しいことではない。

「僕、私だけができていない」と孤独感を感じたり「みんなと同じように頑張らなきゃ」と思っている人は、他にも同じような人がたくさんいることをぜひ知ってもらえたら嬉しい。

不登校になったら、未来は暗いのか


僕が運営する、不登校・中退の方を対象とした塾「キズキ共育塾」で、本人や保護者の方からよく聞く言葉がある。

それが「今不登校になったら、将来とても困るはず」というものだ。そう思う気持ちもよくわかるのだけど、この言葉は少し正しくない。

少し古いデータになるが文科省が、平成18年度にかつて不登校だった子どもに対して5年後の状態を調査したことがある。
それによると不登校だった生徒のうち81.9%は、20歳の時点で就職、または就学していることがわかる。

多くの子どもたちは不登校の経験があっても就職や進学をしていることも分かる(一方、就職・就学していない2割の生徒に対してサポートが必要であることは言うまでもないだろう)。

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また、こちらのデータもみてほしい。これは内閣府が平成30年に実施した生活状況に関する調査のデータだ。
満40歳から64歳までの方を対象に行われたこの調査では、初の中高年のひきこもり調査として話題になった。

ここから分かるのは、現在ひきこもり状態にある40歳から64歳のうち、高校生時点で不登校の経験があるのは4.3%、小・中学校時の不登校経験者もは2.1%と、とても少ない。

中高年のひきこもりの原因の多くは「仕事」や「人間関係」であって、「不登校が継続したこと」ではないことが分かる。

社会には、当たり前のように不登校経験者がいる


不登校や中退者に向けた学習塾「キズキ共育塾」を始めてもう8年がたった。そして、時折昔の卒業生から連絡をもらう。

誰もが知るような外資系IT企業に勤める人もいる。マスコミに行ってテレビ番組を制作している人もいる。
進路に迷って大学を一旦休学した人もいる。就職先が合わないと感じつつも日々仕事をこなしている人もいる。

本当に人それぞれの道を歩んでいる。

もしかするとあなたの身近いるあの人もは、昔不登校だった経験があったかもしれない。
不登校だったキズキの生徒たちも、多くは皆それぞれの社会で「普通」に生活をしている。

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現在、キズキ共育塾には500名以上の生徒が通ってくれている。これまでの卒業生は1,500人以上に登る。

僕自身も学校が辛かった時代、そして中退をした経験があるからこそ、同じような思いをする人が少なくなるように、と思いながらこの仕事を続けてきた。

もし今悩んでいる人がいれば、一人で悩まずに、ぜひキズキに相談に来てもらえたら嬉しい。

キズキ共育塾 https://kizuki.or.jp/

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