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No.19 GTO Wizard Blogの解釈記事【Equity Realization】
本記事はGTO Wizard Blogを私なりに解釈し、友人に説明するならどのように書くかな?と再まとめしたものとなります。
今回の記事は「Equity Realization」になります。
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本日の記事はEQR(Equity Realization)について、説明をしていく。EQRはEQの概念をより深く考えることができる。ポーカーをやっていく上では必須な内容となるため、本記事はしっかり読んでみてほしい。
さぁ、少しずつレベルアップしていくために座学をしていこう。
■ EQとEVについて
まず初めに「EQ」について再度説明をすると、「相手のハンドまたはレンジに対し、自身のハンドが平均してポットのどれだけを獲得できるか」となる。例えば、10bbのポットがあり、自身のハンドが40%のEQを有しているのであれば、長期的に4bbを得ることができるということである。加えてEQは、その他ポーカー指標とは異なり、簡単かつ正確に計算できる点が良い。例えば、以降のベットが無いと仮定し、自分のハンドのポットシェア率を理解することで、当該状況下のハンド価値を大まかに把握できたりもする。
ただし、「以降のベットが無いと仮定」できない場合には注意が必要だ。エフェクティブスタックが増え、ベッティングストリートが残っているほど、EQによるハンドのEV予測は難しくなる。
一つの例として、オールインした場合を考えよう。オールインは5枚のカード全てとショーダウンが確実に約束される。この場合、「以降のベットが無い」状態になるため、EQからEVを正確に導き出すことができる。
(筆:EQとEV間に変数が増えず、簡単に導き出すことができるようになりますね!)
反対に、ディープスタックのNLHEにおけるプリフロップのアクション決定を考えてみよう。スタックはポットのサイズよりも大きく、ショーダウンの前に3つのベッティングストリートが存在している。その結果、A6oやK2o等の比較的良好なEQを持つ一部のハンドは、65s等の低EQのハンドよりも EV が小さくなる。これは65sのほうが「プレイしやすい」からである。
(筆:何かしらの変数が増えて、EVに影響している。ことがわかりますね。)
■ EQR(Equity Realization)について
「EQR(EQRは%で表される)」は簡単に言うと「ハンドのプレイしやすさ、プレイアビリティ」の変数である。これは「特定の状況でハンドのEQをどれだけ実現することができるのか」を示す。一応、用語としてお伝えしておくが、EQRが100%を超えるハンドは「自分のEQをオーバーリアライズしている」といい、逆にEQRが100%未満のハンドは「自分のEQをアンダーリアライズしている」という。
(筆:EQRが100%だったら、長期的にみるとそのハンドは100%のEQを実現します。これは何を言っているかというと、EQ通りにEVが導き出される。ということですかね。)
EQRはEQとEVの間の架け橋である。EVの計算式を下記に記載しておこう。
EV = EQ × EQR × pot
(筆:EQRが変数として現れ、EQの実現性を補正しています。)
■ EQのオーバーリアライズについて
ハンドのEQをオーバーリアライズさせる方法を2つ紹介しよう。
① 有利なポットの際にポットを膨らませる。
これは基本的にバリューベットである。一応他にも相手のブラフや弱いハンドからのミスバリューベットをコールした際にも、EQがオーバーリアライズすることがある。
② EQのあるハンドをフォールドさせる。
ブラフが適切な例として挙げられるが、相手が強いハンドをフォールドした時にも、EQがオーバーリアライズされる。
■ 簡単な例を紹介
プロップにて君はAA、相手は72oを持っている。ポットは$100だ。
この場合、AAのEQはポットの88%であり、$88を獲得できることになる。さらに君は$100を勝ち取るためにオールインし、相手がフォールドした場合、全てのポット$100を獲得することになる。これはAAのEQの114%に相当する。
もし相手がコールしてくれれば、さらに良い結果になる。ポットは$300に膨れ上がる。君のハンドは88%のEQを保有していて、長期的に$300 × 88% = $264 を得ることができる。投資分のベット$100を差し引くと、平均$164、つまりEQの186%を獲得することになる。
(筆:AA、愛してる。)
今回の例は、EQをオーバーリアライズしている。これは、強いハンドの素晴らしい点の1つである。強いハンドは多くのEQを有するだけでなく、ポットを大きくするためにベットをしたり、相手にEQを放棄させることで、そのEQをオーバーリアライズさせることができる。
■ ブラフについて
直観に反すると思うが、かなり弱いハンドはEQをオーバーリアライズする傾向が見られる。それはハンドが「良い」わけではなく、単にEQが非常に小さい場合、上回るパフォーマンスを発揮することがそれほど難しくないからである。例えば、リバーのブラフはEVが低い傾向がある。賢い相手は、ブラフが有利になるような頻度でフォールドすることはない。
(筆:MDFの観点ですね。皆さんももう完璧でしょう!)
しかし、ブラフに使用したハンドは通常ショーダウンで勝つ可能性がほとんどなく、ブラフによるごく小さなEVはほぼEQ=0の状態でショーダウンするよりも優れる結果となる。
(筆:五十歩百歩感ありますが、お話として軽く読んでいただければと思います。)
■ EQのアンダーリアライズについて
EQをアンダーリアライズするハンドはマージナルなハンド、つまりショーダウンで勝つ可能性は十分にあるが、バリューベットするほど強くないハンドである。EQRがどのような定義であったかを改めて考えてみよう。それは、「プレイアビリティ」によるものであった。ではマージナルなハンドはプレイアビリティがあるか?を考えてみるとアンダーリアライズする理由も自ずとわかってくるだろう。強いハンドはポットを大きくすることで恩恵を受け、弱いハンドはブラフでの恩恵を受ける。ベッティングで苦しむのはマージナルなハンドだ。自分より強いハンドに対してペイアウトしてしまうか、弱いハンドをフォールドさせてしまうかのどちらかになってしまう可能性が高いのである。
以下にEQをアンダーリアライズしてしまうアクションを紹介しておこう。
①ポットを膨らませるのは、基本的にはNG
ポットオッズの観点からコールが正解であっても、フォールドの場合もある。ショーダウンに持ち込める方法があるのなら、資金を投入しない方が良いだろう。
②ショーダウンで勝つチャンスがある場合のフォールド
EQを放棄する際のマイナス度合いを考えよう。リバーでアウツが1枚しかないハンドをフォールドしたとしよう。実際、このハンドはほぼ勝つ見込みはなく、それほど損にはならない。しかし、ベストハンドをリバーブラフにフォールドさせられた場合、大きなミスとなる。
■ EQRの見積もり方
注意すべきことは、「EQRが高い、だからこのハンドは強いハンドだ。」には必ずしも結びつかないことだ。「ブラフについて」の項で、非常に弱いハンドはEQがオーバーリアライズされやすいが、一方でEVは低いことを説明した。
直接的には結び付かない指標ではあるが、EQRとハンドの(ざっくり)EQを組み合わせることで、ハンドの実際の価値とそのハンドに投資してよいかについて、感覚を磨くことができる。
EQRは常に状況に左右される指標だ。ポジション/ボードテクスチャー/スタックの大きさ/各プレイヤーのレンジの構成等の要素に依存する。情報が無いと「A9oは良くないハンドだ」と判断が出来ないのと同じように、「A9oはEQRが低い」というような結論を導き出すことはできない。ソルバーが導き出すEQRは、両プレイヤーが将来のストリートで均衡戦略をとった場合の仮定によるものである。残念なことに、実際のポーカーではそんなことはめったに起こらない。実際のゲーム上では、ハンドの将来のEQRを推定することしかできない。
その推定のためのTipsを紹介しよう。
①OOPだと、どのハンドもEQRは低くなる。
②後のストリートでバリューベットやブラフができると予想されるハンドはEQRが高くなる。これには、そもそも強いハンド/インプライドオッズのある(捲り目のある)ハンド/ブラフを実行する上で重要なブロッカーを保持しているハンド等が挙げられる。
③マージナルな強さのドローハンドは、マージナルなハンドと同様にEQRが低くなる。
④EQRは君と相手が後のストリートをいかにうまくプレイするかに依存する。もし君がバリューベットやブラフの機会を逃した場合、ソルバーほどのEQを得ることができないだろう。逆に相手がそのような機会を逃す/君のバリューベットに対してペイオフしすぎる/君のブラフに対してフォールドしすぎる場合、君はソルバーが表示する以上のEQを実現できるかもしれない。
⑤君のレンジの大半が弱いハンドで構成されている場合、一部の強いハンドがより多くのEQを実現する。同様に、君のレンジの大半が強いハンドで構成されている場合、一部の弱いハンドはより多くのEQを実現する。
⑥強いレンジがより多くのEQを実現する理由はフォールドEQを生み出すからである。弱いレンジはフォールドさせられることが多いため、EQRが低くなる。
■ OOPのEQR
以下画像は、MTT(トーナメント)のES50BB、HJ vs. BBのSRP、フロップJ♥T♦9♥における、BBのEQRを示している。注目すべき点はほとんどのハンドでEQがアンダーリアライズされている点である。
では、EQRが100%を超えているハンドについて、なぜEQをオーバーリアライズしているか、考えていこう。
![](https://assets.st-note.com/img/1717899622935-hNNYZaoKcm.png?width=1200)
BBのレンジの中で強ハンドはストレート/セット/ツーペアとなる。BBのレンジは広く、大多数が弱い。そのため、一部の強ハンドはナッツでなかったとしても、全てオーバーリアライズする。弱いレンジに対して、相手はアグレッションをもって攻撃してくるだろう。だから、一部の強ハンドがより多くチップを獲得できるのである。
また大半の♥のFDはEQをオーバーリアライズするが、弱いドローについては対象外である。3♥2♥のEQRは87%だ。この理由は弱いドローはリバー以前にEQを放棄させされる可能性が高く、またフラッシュをヒットした場合でもより強いフラッシュにぶつかるリスクがあるからである。実際、3♥2♥がフラッシュを作った場合のEQRは高い。しかし、そのリワードはより良いドローの場合よりも低く、このハンドがEQをアンダーリアライズする他の全てのシチュエーションを補えないのである。
また、このボードではSDだけではEQをオーバーリアライズすることはできない。4枚ストレートボードになった場合、特にフラッシュも成立するとただのストレートでチップをたくさん獲得する事は難しい。QJが100%以上のEQRを有するのはQ♥を持っている時だけだ。しかも、かろうじて100%を超える程度である。だが、QJには66%ものEQがあるため、アンダーリアライズしたとしても、悪いハンドではないのである。
(筆:EQRを加味しても、60%のEQは実現できるわけですからね。)
![](https://assets.st-note.com/img/1717899646855-Bi0BzzOaAZ.png?width=1200)
より一歩、深い点を見ていこう。上記では上のSDを確認したが、下のSDはひどい結果となる。通常、ペア+OESDは強いハンドであるが、98sはEQRを加味したEQが25%以下である。このボードではボトムペア自体強くなく、下ストレートをドローすることも特に価値があるわけではない。
(筆:このハンドはナッツになる可能性がないので、インプライドオッズが低いですね。)
BDFDがある場合はEQRが50%近くになるがそれでも50%である。
(筆:EQRが上がる理由はFDのみではありません。例えば、9♦8♦でセミブラフができたり、別の98sのコンボがEQを放棄させられるようなシナリオでも、♦がターンに落ちたことによるプレイアビリティ向上等が挙げられますね。)
![](https://assets.st-note.com/img/1717899665138-UmQX6WNUMv.png?width=1200)
■ IPのEQR
IPのHJは、BBよりも効果的にEQを実現することができる。
以下図は同シナリオにおけるHJのEQRである。
![](https://assets.st-note.com/img/1717899687094-WF70skknCI.png?width=1200)
注目すべきはHJのEQRが全体的に高いことである。OOPに比べ、どんなハンドでも良いパフォーマンスを示している。
(筆:実際、強いレンジを持っていますし、相手から得られるフォールドEQも大きいため、それら要因も重なっていると思います。)
例えば、HJのA♦2♦はほぼ100%のEQを実現するが、BBの場合、2%以下だ。これはHJのレンジが強く、弱いハンドでもブラフで利益を上げることができるからである。一方、BBはフロップベットに対して、同じハンドをフォールドせざるを得ない。だから、2%という厳しい数値になる。
■ EQRの利用方法
これまで説明してきたEQRの理解をハンドのEQの推定と組み合わせることで、ベットを続け、君自身でポットを大きくしてよいか?について、良い判断を下すことができる。例えば、このJ♥T♦9♥のフロップで33% Cbetに対するBBのフォールドレンジは以下の通りだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1717899753379-OBKkgOf4u0.png?width=1200)
33%のポットベットでは4:1のオッズがつくが、大多数のハンドは20%以上のEQを放棄する。
これはなぜなのだろうか?
実際、EQが44%あるにもかかわらず、97oがフォールドするケースもある。もしこのベットがオールインであるならば、ボトムペア、下のSD、またエースハイでさえ、コールする可能性がある。しかし、本アクションではフロップでそのエクイティを放棄しなければならない。なぜなら、今後のストリートで厳しい決断を迫られ、ショーダウンの前にEQを放棄させられる事が多いからである。
(筆:例えば、ボードに対して、自身のレンジに残っている各ハンドのEQRを予想するトレーニングをしても良いかもしれないですね。ソルバーが提示する高プレイアビリティのハンドと自身のプレイアビリティ感覚を近づけておくことは良い訓練だと思います。)
■ まとめ
EQRはEQとEVの間の架け橋である。実際のプレイでは、これらの値を正確に知ることはできない。君のハンドのEQを見積もり、本記事のガイドラインに基づいて、そのEQがオーバーリアライズするか、アンダーリアライズするかを判断すれば、EQだけで考えるよりも正確な決断が出来るだろう。
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