No.14 GTO Wizard Blogの解釈記事【The Value of Fold Equity – Experiment】
本記事はGTO Wizard Blogを私なりに解釈し、友人に説明するならどのように書くかな?と再まとめしたものとなります。
今回の記事は「The Value of Fold Equity – Experiment」になります。
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今回の記事は読者の皆さんにも馴染みのある用語の「フォールドEQ」についてである。何気なく使っているフォールドEQについて、深堀をしていこうと思う。
さぁ、今晩も座学をしていこう。
■ フォールドEQについて
「フォールドEQ」という用語はポーカー界においてとても曖昧な表現である。まず、フォールドEQという用語ではあるのだが、「EVの方程式」であり、「EQの方程式」ではない。フォールドEQの古典的な定義は次の通りである。
EV = (フォールドの頻度 x ポットサイズ)。
しかし、この定義には大事な部分が欠けていて、「フォールドEQは君のハンドに相対的なものである」という点だ。別の言い方をすると、相手をフォールドさせることで得るEVは、相手のフォールドレンジと君のハンドとの関係性(相互作用)よって決まる。例えば、君がドミネイトしているハンド(要するに勝っているハンド)だけをフォールドさせた場合、チップは得られたがフォールドさせる意味はあったのだろうか?
以降の章において、実験と測定を通じて本概念を探っていこうと思う。最終的な目標は、フォールドEQの相対的な価値について、より具体的に考える方法を提供したい。
■ 実験の概要
これから、以下3つの実験について説明をしていく。
フロップのフォールドEQ分析
ターンのフォールドEQ実験
リバーのトイゲーム実験
■ A❤2❤2♦のフロップ分析
BTNがオープンし、BBがコールするSRPの場面である。フロップはA22tt(tt = ツートーン)である。
以下に示す図を確認すると、アンダーペアになるほどベット頻繁が上がっている。これはなぜだろうか?
(筆:一度、理由を考えてみてください。ポーカーにおいて、考えることはとても重要です。)
では、BB のフォールドレンジに対する、EQを計算してみよう。計算結果は次のとおりである。
【結果】
ランクの高いペアは、BBのフォールドレンジに対してEQを有していて、ブラフベットにてEQを放棄する必要はない。そのため、ブラフによるベットをする誘因が低くなるのである。
(筆:ここでのベットはバリューベットにはならず、ブラフベットになります。)
KKはBBのフォールドレンジに対して、98%のEQを有している。そのため、あえてKKでブラフベットをして、相手のフォールドレンジをフォールドさせる意味はない(筆:チェックでも、ほぼ勝てるレンジを降ろす意味はないよね。ってことですね)。逆にベットをしてしまうことで、相手のレンジを強めてしまい、自身の首を絞める可能性が高くなってしまう。よって、KKにはフォールドEQを得るための誘因はなく、KKよりも弱いハンドにコールをして貰うことでしか利益を得ることができない。
一方、33 はフォールドレンジに対して、EQが76%となっている。これは、相手をフォールドさせた場合、多くのオーバー(捲り目のある)カードをフォールドさせたことになる。よって、33はKKに比べて、フォールドEQの価値が高くなる。これが、KKに比べるとベット頻度が高くなっている理由である。
【結論】
フォールドEQの価値が高くなれば、ベットにより誘因を与える。
よりバルネラブルなポケットペアは、よりベットする傾向となる。
(筆:バルネラブルとは、脆弱なEQを持つという意味です。シンプルにEQRが低いハンドと考えてくれると良いかもしれません。EQを実現しにくい=脆弱なEQと表現しています。)
■ K♦8♥2♥9♦のターンEQ実験
次にターンのスポットを見ていこう。
ボード:K♦8♥2♥9♦
ポジション:BTN 対 BB
プリフロップ:BTN オープン、 BB コール
フロップ:BTN cbet 33%、BB コール
ターン:BB チェック、BTN は90%のポットベットかチェックの選択肢がある。
本実験では、BBのXR(チェックレイズ)ブラフの強さを変更し、アクションに与える影響を観察する。
次の 3 つのシナリオを見ていこう。
① GTO(ベースライン)
② 強力なバリュー/完全なトラッシュを含んだXRレンジ
③ 強力なバリュー/ドローを含んだXRレンジ
① GTO(ベースライン)
(筆:バリューとして、ツーペア以上をベットし、ブラフでドロー系を打っていますね)
② 強力なバリュー/完全なトラッシュを含んだXRレンジ
BB のXRブラフレンジをノードロックしてみよう。バリューレンジはGTOと同じ設定にする (two pair+) 。また、ブラフは43oのみとした(43oのEQは約 5% であり、ピュアブラフに近いものとなる)。
結果を見てみると、BTNは全てのハンドをコールする。これは43oをフォールドさせる誘因がなく、レイズする必要が無くなったからである。もしレイズをした場合には、BBのナッツ級ハンドにドミネイトされ、43oのみをフォールドさせるだけとなる。
(筆:コールしすぎじゃない…?と思ったのですが、XRのコンボ数は15.45と表示されており、その内43oは12コンボあります。バリューが3.45、ブラフが12なため、圧倒的なブラフ過多です。そのため、ブラフキャッチャーを全てコールに回したんだろう。と推測しました。)
③ 強力なバリュー/ドローを含んだXRレンジ
次に、BB のXRブラフの強さを上げてみよう。BTNレンジの上位ハンドに対して十分なEQを有する多くの強力なドローを含めたレンジにて計算を進めた。
(筆:ブラフに捲り目のあるハンドが追加されました。)
BTN はXRに対してレイズ/フォールド戦略でアクションし、コールしないことを選択する。これはBB のブラフが強すぎるため、コールの価値が下がってしまうからである(筆:中途半端なEQのハンドでは抵抗ができません。)。さらに、BTNの継続レンジに対して、かなりのEQを有するブラフをフォールドさせる誘因も相まっている。
【結果】
本検証は「レイズの価値(実行するか)がフォールドEQと結びついていること」を示す。
相手のブラフ (レイズにフォールドするハンド) が弱すぎる場合、フォールドEQの価値は減少する。最適なアクションはレイズをぜず、コール/フォールドの2つのアクションとなる(②の実験)。レイズする誘因を持つ唯一のハンドは、相手のバリューレンジを更にポーラライズできる可能性のあるハンド(筆:クッソ強いハンドってことですね)である。しかし、十分に広いレンジでコールしている場合は、それらのバリューハンドはスロープレイに回る。
逆に、相手のブラフが我々のレンジ上位に対してEQを持ちすぎている場合(例えば、強力なドローが多すぎる場合)、フォールドEQの価値は大幅に増加する。これにより、たとえ強いハンドにAIされることになったとしても、フォールドEQの価値が高いため、レイズ/フォールド戦略が推奨される。
■ J♦︎T♦︎7♦︎7❤︎2❤︎のリバートイゲーム
OOP は以下にノードロックし、チェックバックした場合のIPを確認する。OOPのレンジは完全にポーラライズされている。
77 の 1 コンボ
9d8dの 1 コンボ
43o の 12 コンボ (ブラフ)
【結果】
IPは全レンジでチェックバックを行う。これはIPのレンジに対して、EQ=0である43oにフォールドされても、全く意味が無いからである。これはIPがベットをすると強いハンドにだけコールされ、弱いハンドにはフォールドされるベットになるからである。
次にOOPの「43o」を「32o」に変更してみよう。このハンドはIPのレンジに対して、45%のEQを有している。
【結果】
レンジの半分をベットするようになる。これはフォールドEQの価値が高まっているからで、ブラフの誘因がある。
■ まとめ
フォールドEQの価値は、様々な意思決定で考慮されるべき、基本的なインセンティブである。相手が君のレンジに対して、価値のないハンドをフォールドした場合、チェックと比べて、何も得ることができない。
① フロップの分析
フォールドEQはアンダーペアに対し、ベットをするか/しないかの意思決定に影響を与えることがわかった。
→フォールドEQを取るべきポケットペアとそうでないポケットペアが存在する。
② ターンの実験
相手のブラフの価値(強さ)を高めると、コールではなくフォールド/レイズする誘因が生まれる。逆に相手のブラフの価値が下がると、レイズではなくフォールド/コールするようになる。
→自分のレンジEQと相手のブラフEQを見定めて、現段階でフォールドさせる必要があるのかを考える。
③ リバーのトイゲーム
完全にポーラライズしたレンジに対してはベットする必要がないことがわかった。もし相手レンジの最下位ハンドにEQがあれば、ブラフする誘因が高まることがわかった。
→シンプルにフォールドEQがあれば、取るべきである。
結論、ベットを決める際には、相手のフォールドレンジの価値を考慮しよう。
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