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No.16 GTO Wizard Blogの解釈記事【Mathematical Misconceptions in Poker】
本記事はGTO Wizard Blogを私なりに解釈し、友人に説明するならどのように書くかな?と再まとめしたものとなります。
今回の記事は「Mathematical Misconceptions in Poker」になります。
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※息子が産まれてから、ポーカーの勉強をさぼってました。自分のペースで投稿は進めていきます。
今回の記事は数学的な要素が満載だが、今まで学んできたポットオッズやMDFについてより深く記載する。本記事を読めば、読者の方が勘違いしている点を洗い出すことが可能だ。これまでの復習も可能であるため、時間のある時にゆっくり読んでほしい。
さぁ、またAKが滑った人もしっかり座学していこう。
■ 一覧表
今回も何度か掲示している一覧シートを確認、座学をしていく。必要な時にチラチラ確認してみよう。
![](https://assets.st-note.com/img/1717154445512-gDiNgiskMI.png?width=1200)
【注】αとMDFはファーストベット(レイズされたら×)にのみ正しい値となる。
■ 定義の再確認
各種用語の定義を再確認していこう(定義を単純化した)。
ポットオッズ
コールするために必要なEQ
MDF
相手のブラフをベットとチェックの間でインデファレントにするために必要なディフェンス頻度
α
打つブラフの必要成功率
バリュー/ブラフ%
ベットレンジの構築に必要な情報
■ 良くある誤解について
ポットオッズ
「これはポットオッズを満たしたEQを有するハンドだ。だからコールしよう」
ポットオッズの定義は「コールをするために必要なEQ」である。しかし、EQとバリューはイコールではないことに注意しよう。
例えば、相手が 10bb ポットに 5bb をベットした場合、コールを正当化するには、20bb ポットの 25% (5bb) を少なくとも獲得する必要がある。
(筆:5bbを投資しているわけですから、投資分は返ってこないといけないですよね。なのでポットオッズはコール後のポットと投資分の比になっているわけです。)
しかし、ソルバーは十分なEQを有するハンドをフォールドし、十分なEQを有さないハンドをコールに回すことがある。これは、一般的なEQの計算では、EQR、ポジション、インプライドオッズ、レンジアドバンテージ、ポストフロップ等の君のハンド価値に影響するファクター無視していて、ストリートではチェックダウンされると仮定している。
(筆:逆に言えばチェックダウンの仮定を置けるのであれば、それらファクターが無視できるということですね。オールイン=全チェックダウンになるので、最強ですよね。反対の立場でAIされている場合でも、単純にポットオッズとEQのみで判断しても問題ないです。)
MDF
「全てMDF通りにディフェンスを行う」
MDFの定義は「相手のブラフ(EQ=0)をEV=0にするために、ディフェンスする必要がある頻度(レンジの上位〇%)」である。MDFは、相手がブラフで利益を出さない(ブラフにて、君がエクスプロイトされない)ようにするための最低ディフェンス頻度である。
重要なこととして、明らかにブラフが不十分な場合は、MDF に従う必要はない。なぜならば、理論値よりも十分なブラフがない場合にはそもそもブラフにて利益が出ることはない。だから、MDFの定義からズレてしまうのである。
さらに、チェックバック時に相手のブラフがEVを有しているのであれば、相手をインデファレント(ベットとチェック)にさせるほどワイドにディフェンスする必要はない。彼らのブラフがチェックバック時にEV=2の価値がある場合、君がオーバーコールして、EV=0になったとしよう。そうすると、君はオーバーコールの状態になっているため、相手はブラフをしない=バリューヘビーでベットすることで君をエクスプロイトすることが可能だ。
筆:例えば、ポットベットをされている場合、MDFは50%となる。MDFに従うとすれば、50%をディフェンスする必要があります。
ややこしくなるかもしれないので再度お伝えすると、MDFはEQ=0のブラフハンドを「EV=0」にして、ベットとチェックの間でインディファレントにします。
なぜEV=0となるかについては、MDFの導出過程でそのような仮定を置いているからですね。
では、ベッターのブラフEVが0であると仮定して、EVの計算式を実際に解いてみましょう。
(ブラフが成功した時のEV)×(相手のフォールド率)+(ブラフが失敗した時のEV)×(相手のコール率)= 0(←ブラフのEVが0になると仮定しているため)
上記式を以下に置き換えてみます。
ブラフが成功した時のEV:p(ポット)
ブラフが失敗した時のEV:- b(ベット)
相手がコールする確率:c
相手がフォールドする確率:1-c
p × (1-c) + (-b) × c = 0
(p - pc) - bc = 0
p = pc + bc
p = c (p + b)
c = p / (p + b)
この「c」は「ブラフのEVを0にした時の相手がコールする確率」になります。それは定義上、MDFになるのです。
MDF = p / (p + b) が導出されました!
※一度、ご自身で解いてみてくださいね。
そして、相手のブラフにEVがある場合、理論上よりオーバーコールすることになります。ただし、それは理論上なだけであって、実践ではオーバーフォールドで問題ないです。
α
「αの数値通りに意思決定をしてしまう」
αはEQ=0%のブラフの必要成功率を示す。実際リバーより前だと、ほとんど全てのハンドはEQを有している。またαは複数ストリートでのブラフ(を行えること)も考慮していない。そのため、実践で考慮すべき点を考慮しきれていないことが実情だ。
(筆:基本的にリバーやAI等で考慮したらいいと思います。)
Value/Bluff %
「どの場面でも、レンジの構築に使用する」
バリュー/ブラフ比は「バリューハンド→全てナッツ」「ブラフハンド→EV=0」であると仮定した場合、且つ「リバー」でのみ正しい値となる。バリュー/ブラフ比は、マルチストリートとなるとかなり複雑になる。
基本的なガイドラインとしては「1/3→1/2→2/3 ルール」を使用したらよいだろう。
→フロップではレンジの内1/3 がバリュー、ターンでは 1/2、リバーでは 2/3 のバリューが必要となるルール
ただし、これはベットのサイズやポーラライズなどの要因に依存する(詳細は、GTO 計算ツールを参照)。
※ブロッカー効果やレーキのため、通常はこのチャートが示すよりもわずかにバリューヘビーにすることをお勧めする。
■ 計算式の整理
各種値の計算式を下記に整理する。
Pot Odds
コール額 / (コール後のポットサイズ)
α
ベット / (ベット + ポット) or リスク / (リスク + リワード)
MDF
1 – α
Bluff%
ポットオッズ
※Value% = 1 – bluff%
■ 例1)ベットする。
君はリバーで10のポットにハーフベット(5)する。
ではまず「ポットオッズ」の計算から始めよう。
Pot Odds = コール額 / (コール後のポットサイズ) = 5 / (10+5+5) = 0.25 = 25%
相手はショーダウンにより、1/4回以上勝てるハンドでコールすべきである。
次に「α」だ。
α = ベット / (ベット + ポット) = 5 / (5+10) = 0.33 = 33%
君はEQ=0のブラフを損益分岐点にするためには、相手を少なくとも3回に1回フィールドさせなくてはいけない。
次に「MDF」。
MDF = 1 - α = 0.67 = 67%
相手は君のEQ=0のブラフに利益を出されないようにするため、レンジの67%をディフェンスする必要がある。
(筆:言い換えると、君のEQ=0のブラフをベットとチェックの間でインディファレントになるように、レンジの67%をディフェンスする必要がある。になりますね。)
最後に「バリューブラフ比」を求めよう。
Bluff%はポットオッズであるため、25%となる。そして、バリューは75%となる。よって、バリューブラフ比は「3:1」となる。
(筆:これは相手のブラフキャッチャーをコールとフォールドの間でインディファレントにするベットになりますね。)
■ 例2)レイズに直面している場合
例1のハーフベットに対して、相手は15のレイズを返してきた。
始めに「ポットオッズ」を計算しよう。
Pot Odds = コール額 / (コール後のポットサイズ) = 10 / (10+15+5+10) = 25%
君はショーダウンで4回に1回は勝てるハンドでコールする必要がある。
次に「α」。
α = ベット / (ベット + ポット) = 15 / (15+15) = 50%
相手はEQ=0のブラフを損益分岐点にするために、君を少なくとも2回に1回はフォールドさせなくてはいけない。
次に「MDF」
MDFは50%である。そのため、君は相手のブラフをインディファレントにするために、レンジの50%をディフェンスする必要がある。
最後に「バリューブラフ比」だ。
Bluff%はポットオッズ=25%となる。そして、バリューは75%となる。よって、バリューブラフ比は「3:1」となる。
(筆:どちらの場合もベットサイズは 50% ポットベットでした。しかし、αとMDF は同じではないことに注意しましょう。これは、ハーフポットベットのリスク比がハーフポットレイズと同じではないためです。例 1 では、10 に勝つために 5 のリスクを冒していましたが、例 2 では、15 に勝つために 15 のリスクを負っています。)
■ GTOと実践応用
次のグラフはベットサイズの変化に応じて、今まで学んできた変数がどのような関係であるかを示している。これらはよく見る数学定数の黄金比で交差している。
![](https://assets.st-note.com/img/1717222868779-gTThh3dTAR.png?width=1200)
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筆:確認できることで使える内容を列挙していきましょう。
ベットサイズが無限に近づくについれ、ブラフ比が50%に近づく。
→言い換えると、ブラフの割合は最大でも50%となります。
ポットベットのαとMDFは「50%」となる。
→ポットベットから更にベットサイズが高くなるとMDFは下がっていきます。そのため、ポットベットを境に50%を上下する。と覚えておくと、実践で利用できるかもしれません。
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■ ポットオッズは理論的な指標
プリフロップ→ターンでは、ソルバーが十分なEQを有するハンドをフォールドしたり、十分なEQを持たないハンドをコールするスポットがたくさん見つかる。ただし、ポットシェア (全てのポストフロップ変数を考慮したと仮定した場合、当該ハンドだとポットの何%を得られるか)に注目すると、ポットオッズは常に正しい指標となる。
例えば、ポットサイズのベットに直面しているとしよう。コールして利益を得るには、当たり前だが平均してポットの1/3 を獲得する必要がある。これは不変なことなのである。
(筆:すみません。正直、この訳にはピンと来てないです。割と無視めに読んでください)
■ MDFとαについて
「MDF」と「α」はよく誤用されるため、悪い評判を受けている。これらは実戦でのポーカーで役立つ厳密な法則というより、理想化されたトイゲームでの指標に近い。「MDF」と「α」 は「ブラフがEQ=0」の原則に基づいている。よって、ブラフは「EV=0」となるように設計されている。何度もお伝えするが、実際このようなことは滅多に起こらない。
「MDF」において、実戦でのポーカーに必要なことは、せいぜい「相手のブラフをチェックとベットの間でインデファレントにする」だけで十分である。もし、ブラフに EV=1bb (チェック時)があるとしよう。そして、君がオーバーディフェンスし、それらのブラフをEV=0にした場合、相手は単純にブラフを一切しないことで君をエクスプロイトできるのである。そう考えると、相手は自分のEVを下げるアクションを取る必要は全くないため、簡単にエクスプロイトしてくるだろう。
初心者プレイヤーは、誤ったコールやブラフを正当化or納得させるために本指標を使う。下記は大事なことなので改めて認識を正してほしい。
「MDF」は相手のオーバーブラフを防ぐ策である。もし、相手がオーバーブラフをしていないのであれば、ブラフキャッチャーでのコール頻度は「0」にすること。
筆:下記記事を改めて確認を頂ければ、より理解が深まると思います。
またこちらも頭に入れておこう。
一般に、ソルバーはOOPよりもIPにて、 MDFに沿う形でディフェンスする。それは弱いハンドでチェックバックすることはインポジションでより価値を有するからである。
In general, solvers defend much closer to MDF in position than out of position. That’s because checking back a weak hand has more value in position.
(筆:↑すみません、上記blogをそのまま訳したのですが理由がイマイチわかっていません。わかり次第、更新させていただきます。IPは理論値通りに守り、OOPの方がオーバーフォールドする理由…。)
■ グラフで実際に確認しよう
実際にBTNからのc-betスポットにて、「ソルバーがBBでフォールドする頻度」と「MDFの理論値」を比較してみよう。これは1755 フロップ&complex ソリューションにて、20%~200% までのサイズをグラフにしている。
下記のグラフが示す通り、BBはどのサイズにおいても、MDF と比較してオーバーフォールドしていることがわかる。
![](https://assets.st-note.com/img/1717223237682-FRTLD4VID2.png?width=1200)
次にIPでのディフェンスを確認するためにブラインドヘッズで見てみよう。
(筆:レンジとしてはIPでも、OOPでもBBはレンジ的に不利な状態となります。ポジションの有無によってどうなるかを確認しましょう。)
下記のグラフが示す通り、全てが一致しているわけではないが、全体的にMDFに近いレンジをディフェンスしていることがわかる。
![](https://assets.st-note.com/img/1717223256078-8LWRcpFj3o.png?width=1200)
■ まとめ
戦略的に覚えておくと良いこと
最後に紹介した図からわかるように、IPではMDFに近いレンジでディフェンスが可能だ。また、OOPの場合にはある程度オーバーフォールドしていこう。
必ずおさえておくこと
明らかに相手にブラフが少ない場合はMDFに従ってディフェンスしないこと。ブラフキャッチャーは全てフォールドしよう。
相手がEQを有するハンドでブラフしてきている時、そのハンドのEVを0にする必要はない。ベットとチェックでインディファレントにできるようにコールをするだけで良い。
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