開発管理システムはなぜハードウェア開発で普及しない?
回路設計に6年携わる傍ら、個人的なIoT機器の開発でソフトウェアの開発も行なっていました。
ソフトウェア領域では、たくさんの開発管理ツールがあります。バージョン管理と課題管理を行うGitHubや、課題管理に特化したAsana, Wrike, redmineなどがあり、Slackなどのチャットツールと手軽に連携できます。これらツールを使うことで、全員が共通のツールを使ってプロジェクトの最新進捗を知ることができ、今誰が何をやっているのか簡単に把握できます。このようなサービスがここ15年ぐらいでどんどん出てきていて、ソフトウェア開発をより効率的に行えるようになりました。
一方で、ハードウェア開発では、多くの会社がエクセルか、Googleスプレッドシートで開発管理を行なっています。一部の会社ではソフトウェアの管理ツールを取り入れていますが、個人・チームごとにバラバラに管理されていることが少なくなく、最新の進捗を知るのに結局人づてに聞いて回る必要が出てきます。
この差について、今まで調べてきた自分の考えを書こうと思います。
一番のポイントは、ハードウェア開発の要素を分けた時ざっくりメカ設計とエレキ設計がありますが、この2つでは設計の粒度が違うということです。1つの製品に対して筐体は基本1つだけなので、メカ設計では製品そのものに対してタスク・課題が紐づくことになります。一方で、電気設計では、1製品に複数基板があることは珍しくなく、基板ごとにテストを行いますし、基板ごとに担当者が違うこともあります。なので電気設計では基板それぞれにタスクを紐付けるほうが都合が良いのです。このようにメカ設計とエレキ設計ではタスクを紐付けたい粒度が違うので開発管理ツールを分けたいというモチベーションが起き、1つの製品に対し複数のスプレッドシートや管理ツールが扱われているのが現状です。
もう一つは、単純に今まで安価で汎用的なハードウェア開発向けの開発管理ツールがなかったということもあると思います。大手ならSIerに会社専用のツールを作らせているところもありますが、それはお金があるところだけです。中小ではなかなか難しく、開発管理するならスプレッドシートしかないということになり、その状況が20年以上も続いているのではないでしょうか。
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