装幀について出版社は著者とどれくらいコミュニケーションをとっているか

出版社は装幀について著者とどれくらいコミュニケーションをとっているか問題。

有志舎の場合、
カバー:まず、永滝の方から「こういう方向性でどうか(画像を使うかどうかなど)」と著者に相談。それを踏まえてデザイナーに依頼し、3週間から1か月後くらいにデザイナーから数点の案(ラフという)を出していただき、その中から著者と永滝で相談して決める。カバーには内容紹介文を入れるが、その案は永滝が作成し、著者に相談。手を入れてもらって確定。
オビ:キャッチコピーも案は永滝が作成し、著者に提示・相談して確定させる。
というのが大体の流れですね(例外がないとは言えませんが)。

出版社によっては「装幀は出版社の専管事項だから著者には相談しない」という言うところもありますが、私は可能な限り(もちろん全てではない)著者と相談して決めています。
ただし、著者がラフを全部気に入らないからといって全くやり直しというのはやめてもらっています(微調整は可)。
デザイナーはプロなので、そこは尊重してもらいたい。
それに、大体は私も含めて素人が構想するデザインより、はるかに良いデザインをデザイナーは考えてきてくれるから、素人が細かく口を出すとかえって変なものになってしまう。
しかし、一方でデザイナーの「こうしたい」というものも経費や手間との関係で全てそのまま受け入れないこともあります。

そういうやりとりで時間も手間も掛かるし、それによって製作期間が延びるが、大事なことのために出版が遅れるのは仕方ないと思っています。

あと、これは装幀とは関係ないですが、「〇〇周年に向けて出版したい」という要望も全て断っています(どうしてもという場合は出版自体をお断りしています)。
こうしてオシリを切られてしまうと、私だけではなく組版事務所・印刷所・デザイナーみんながスケジュールを守るために無理をし疲弊する一方、「〇〇周年」だからといって売れ行きが良くなったことは一度もないからです。

だから、有志舎は「急いで出版したい」「いついつまでに出版したい」という著者には向いていない出版社だと思いますし、そもそも私一人で編集も販売も総務・経理も何でもやらないといけない「一人出版社」なので、そこは勘弁してもらいたいな、と。