シン・ニホン 1章

前回のような新書の2時間ほどで読める本であれば、週一回の本まとめ投稿が可能かと考えていたが、2回目にしてそこを挫折していく。今回の本はシン・ニホンで、総ページ数が430ほどありページあたりの情報量も多いので、分けてまとめる。少しずつでも続けることが重要であると自分に言い聞かせて慰めつつ、早速まとめに入る。

一章では、技術が現状の世界にどのように作用しているのか説明しながら、100年前くらいの少しの過去と現在を認識して比較をすることで近似的に現在を微分(傾きを知る)し、著者の考えも合わせて未来のイメージを掴むような章になっている。

現在進行形でどのような技術革新が起きているか、そのような革新によって、どのように未来は変化していくか(線形か指数か)、そもそもAI(AIという言葉は定義が曖昧で可能ならば使いたくないが、一般的には理解がしやすいので使う。本記事では大量のデータを収集してDeep Learningなどを利用して何かしらのアウトプットを出すことと定義する。)とは、従来のPDCAとは異なるデータドリブンなサイクルとは、未来での重要な価値とは、が主な内容で、中で特に面白いのが三つ。

まず一つ目に、未来の変化については著者の結論からいうと指数関数的になるというところ。AlphaGoなどの例を挙げながら、技術的な成果の量と頻度が明らかに上がっている、というのが著者の根拠だが、線形関数の係数が徐々に変化する場合を考えると、その変化工程はミクロ的に指数関数に見えるが、結局は線形であることも考えられる。よって指数関数であり続けるためには継続的にAIレベルの革新がより短い頻度で起こることが必要になってくるが、本当に起こるのだろうか(また、物理的な限界や人間の動物としての能力の限界も存在すると思うので、かなり長期で見ればtanhかもしれない)。ただ、自分が生きる数十年に関しては指数関数的であると自分も考えるので、本書の内容は積極的に参考にしたい。

次に面白いのが、AIによって、改善サイクルが変わるというところ。今までのサイクルと変わるのが、フィードバックできる情報量の多さ、フィードバックを含めたサイクルの速さ、判断を計算機が代替する、というところ。AIの導入レベルは段階的に存在して、一番低いレベルが現在人が実現できている機能を単純に代替するレベルで、サイクル自体を革新するのは高いレベルである。逆に現状でその段階まで活用できている企業はかなり先進的で、日本にはほとんどない。このサイクルを導入するためにビジネス自体を変えても良いくらいにこのサイクルのインパクトは高い。

三つ目に、そのサイクルなどのAI技術が浸透した社会で重要な価値は夢の構想力だというところ。日本が今まで必死に教育機関(?)で作り上げてきたような習ったこと、言われたことをマシンの様に実行する人の価値は希薄する。価値が高まるのは、今の延長線上にない未来を妄想(英語的な意味でのデザイン)できる能力である。内容的には以上。

感想としては、こういう話はこの本に限らず語られてきているが、では実際どのように行動すれば良いのか、があまりイメージできず、むず痒い。若者はチャレンジしろという内容は言われるが、現状では職を選ぶときにも、その職や会社の世間に浸透している箔とかが優先されるし(新卒人気のランキングで明白)、その世間一般の既存価値観から外れて挑戦ができるのは、ネジが飛んでいるか、本当に自信があるか、のどちらかの気がする。ただ、トレンド的には一部優秀な層からチャレンジする若者は増えている気がするし、そういった箔しか判断基準にできないような人も新陳代謝されると思うので、どの点からどういった原因でその価値観が変わるのかそれともいつまでも変わらないのか、は気になる。自分としては、まだそんな自信はないので、人からもらえる箔を捨ててチャレンジができるような自信を持った人間になりたいという思いを持ちつつ、先ず自信をつけたい。

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