内科専攻医を終わらせるためのTips
こんにちは。内科専攻3年目になる蟹工船といいます。
このノートは、これから内科へ進むためのかた、進んだはいいけどマジで内科のdutyが多くてクソだと思っている方になんとか内科を続けていただくために、とにかく内科専門医試験を受けられるようになるにはどうしたらよいのかというのをまとめてみようと思い、書いています。
これから我々にとって長い冬がきます。専門医を取らないという選択もあるでしょう。個人的な気持ちとしては、自分の学んだ証のためにとるだけとって、更新するかはまたその時の時代で変わりそうです。専門医があって使える場合というはそう多くはないかもしれません。転職の時の外来単価交渉に使えるくらいだと思います。それでも、なんとなくでも内科にきて、続けるためになるべく早く内科専門医試験を受ける準備を整えて、自分の望んだ科の勉強、あるいは自分のしたいことに時間を割きたいものですね。では、早速本題に入ります。内科専門医試験の受験資格についてです。
・j-oslerでの症例登録、病歴要約の完了
・3年間で合計6回の学会参加
・3年間で最低2回の筆頭演者または筆頭著者として学会あるいは論文発表
・3年間で医療倫理・医療安全・感染制御に関する講習会へ最低6回参加、JMECC参加
・地域医療への貢献についてや自己評価・CPC
・3年間の勤務
これが3年のうちでやらないといけないことです。一つ一つみていきましょう。
j-oslerでの症例登録、病歴要約の完了
これが一番嫌。マジで最も時間がかかります。しかし、症例登録の理解によって必要なタスクがかなり減ります。
下記の画像をごらんください。
内科学会で発表されている疾患群の一覧です。わかりにくくて大変邪悪です。
ここで示されているのは大まかにいうと、56種類の疾患についての短い感想文160個+ちょっと気合いれたレポートを29個書いてください、ということです。よってみなければいけない部分は下記になります。
だいぶ簡素になりました。ここを埋めることになります。で、左側の緑の部分をみていただくとわかるのですが、この症例登録(感想文)のところ、終了要件全部足しても56には到底届かないんですね。なので、この最低数を守りながら症例登録を56個稼ぎます。それが最低限必要なことです。
それ以降はどの分野が被ってもいいので自分の専門領域の患者さんの入院をとりあえず登録しまくることで合計160個稼いでください。付け加えると、消化器と内分泌代謝は必要な症例の分野がかぶらないように指定を受けているので気をつけてください。
どんなふうに症例登録をかけばよいかというと下記が公式サイトで公表されている文例になります。
お察しのことかと思いますが、完全に感想文です。文献不要、お気持ちを述べてショートサマリーをつけるだけ。はじめるまではかなり腰が重いですが慣れると早くなります。
これをやるにあたり、とても重要なことが一つ、あります。
指導医の先生と、仲良しでしょうか?
どうしてこれが重要かというと
症例登録は専攻医と、指導医以外はみません。指導医が承認さえすれば終わりです。
ですから無用な添削に時間をかけるより、ささっと終わらせても大丈夫、ということをきちんとアピールする必要があります。指導医の先生は我々専攻医よりも圧倒的にこの制度について不慣れです。仲良しであればある程度の融通は聞きますし、作業量が圧倒的に減るでしょう。三年目を超えて他科のローテートをするとそちらの指導医が添削をすることになるのですが、
初期研修の症例は80症例まで、使用できます。
56疾患をうまくいけば全て初期研修で埋めることも可能になるわけです。
もしできれば三年目から自分の科での研修が可能となります。
症例登録に対して必要なことのまとめです。
・56種類の疾患+自分の科の入院ないしは外来症例104症例をやる
・なるべく指導医の先生と仲良しになっておく
・退院サマリーを作るならそのときに一緒にやってしまう
このくらいでしょうか。これが整うだけでだいぶ違います。
次、病歴要約についてです。
あんまりこちらは書くことがありません。症例登録にさっさと見切りをつけて退院サマリーからこつこつ転記しましょう。A4の紙2枚に収める必要があるので不要なところは削ります。下は公式ホームページからの書き方の抜粋です。
これは良いとされる文例ですが、マジでこれでいいの????で頭おかしくなりそうでした。関係ない分野の無為な所見はガンガン削りましょう。
一番発狂しそうになるのは血液データ所見なんですけど、誰かのテンプレもらってください。それが一番早いです。私のでも良いのでそのうちどっかにつけとくので足しひきしてください。(今未定です)また、こちらの考察は文献の付け足しが必須なので内科診療リファレンスなどを適宜ご活用ください。内科診療リファレンスをすこれ。
病歴要約も当然面倒くさいです。無論裏技などありません。コツコツやるしかないです。クソですね〜〜〜〜〜。
あ!あと剖検症例は昨今なかなかいただけないことが多いので、出たら必ず入れてもらってください。地味にこれが大変です。
病歴要約のコツについてのまとめです。
・検査データの転記がだるいのでテンプレを作るか誰かにもらう
・文献検索はつらいので内科診療リファレンス等をすこれ
・マジで裏技はないのでこつこつやる
・剖検症例を握りしめろ
なんかもし、裏技でたら記載します。多分ない。
3年間で合計6回の学会参加
はいでました、コロナウイルス流行で次々オンラインになりつつある学会。現地に行かなくてもいい。お金さえ払えば行ける。
一応年2回の計算のようです1年まとめて6回でもいいようです。
しかし………総会は高い。先生方の専攻の総会への参加はやぶさかではありませんが、内科学会総会。
¥10000!!!!??????!!!!
地方会に参加しましょう、それしかありません。
2021年でもこんな感じです。一回1000円、なんか毟り取られるようでむかつきますがとりあえずお金払いましょう。で、お金払ったときの領収証が参加証明になるのでとっておいてください。もちろん無くしても再発行可能です。
こういうやつですね。後々提出が必要になります。
学会参加のまとめ
・領収書はデータで保存しておく
・総会は高いから地方会がいいぞ
はい次
3年間で最低2回の筆頭演者または筆頭著者として学会あるいは論文発表
これに関してはもういうまでもなく頑張るしかないです。楽なのは筆頭演者になってポスター発表一択です。さっさとやるしかありません。(当方はあと一回分必要ですトホホホ〜)
論文などのまとめ
・がんばれ
・添削が面倒だから素早くやっておくこと
・がんばれ
はい次
3年間で医療倫理・医療安全・感染制御に関する講習会へ最低6回参加
ああ〜〜〜〜めんどくさい。院内でかならず行われている研修会です。おそらく大抵病院のためにもかならず出席が義務のはずですので問題ありません。しかし場所によっては現地で聞かなければだめ、webでの後日の視聴はだめ、というFxxxxxxxxxKな病院があるので気をつけてください。年間スケジュールは確認しましょう。
しかし、これに関してはお金で解決する方法があります。
webコンテンツにお金を払って動画を視聴、クイズに答えて参加証明を得る、です。
まず内科学会提供のe-learning
こちらから
医療安全のみ、一回ですが参加回数が稼げます。
また、専門医機構の提供している講習会があります。
こちらから
提供内容はこんな感じです。
完璧やんけ。
というわけで受講忘れてしまったり、そもそも参加証明ができなくなってしまった先生は上記でなんとかなりそうです。
講習会についてのまとめになります
・マジでどうしようも無くなったら金で単位を買える
はい次
地域医療への貢献についてや自己評価・CPC
最後、終了登録をする際にいままでの自分の評価などを行う必要があります。もともと専攻医をしている時、半年に一回、指導医と自分の自己評価を行っていたり、疾患の理解についての評価を行っていたと思いますがあれです。当院での説明会で、自己評価は一番最後の三年目の評価だけは絶対にやれ、と言われたのでここだけは必ずやりましょう。ほかの部分は無視してどうなるのかはやったことないのでわかりませんが、ひたすら心を無にして☆をクリックしまくりましょう。それしかありません。
地域医療への貢献
これ存在が意味不明で、当院では在宅医療をしておられる先生へ1日勉強に着かせていただくイベントがありましたが当方は出産でいけておりません。やらなくても大丈夫そうだったので地域医療うんぬんのために病院内でなにか独自のイベントをしたりするのかもしれませんね。
なにをしたらよいのか、担当の上の先生もよくわかってなかったです。
ので、大丈夫です。
CPC?よく知らないけど年一回参加義務らしいので参加してください。
地域医療や自己評価についてのまとめ
・特にない
・☆を無心でクリックしろ
はい次
3年間の勤務
これは普段から常勤扱いで当直もされておられる先生はなんの問題もありませんでのそのままで大丈夫です。問題になるのはお子さんのいる先生や、産休の先生、ご家族の介護などがおありになる先生です。
内科学会によると、専門医は中断期間が3年のうちに6ヶ月まではあっても良いようで、最短で内科専門医の受験資格を取得するためにはこの間にライフイベントをなんとかする必要があります。(もし無理でもはみ出た分の時間分を働けば翌年以降問題なく受験できます)
また、当直が難しい場合もあると思われますが、これも義務ではありません。
当院はシステム上時短勤務を取らないと当直業務が発生するので時短申請をしておりますが、この場合でも就労時間などによって常勤扱いにしてもらえる場合も多いので、病院とご相談ください。
一応、内科学会で示されている研修についての大事な部分は下記の二つです。ここから引用しています。
・研修期間30カ月以上が必要です。そのうち、常勤での研修が12カ月以上必須、残り18カ月は非常勤を含めることも可能です。
・「研修(常勤)」と「研修(非常勤)」は週当たりの勤務時間を指す区分であり、実際の雇用契約とは関係ありません。施設側と非常勤雇用で契約されている場合でも、週31時間以上の勤務実態があれば「研修(常勤)」をご選択ください。
・つまり、週31時間働く期間(常勤)が12ヶ月、それ以外を非常勤にしてもよい
ということですね。お子さんが生まれるご予定の先生などはこれをしっているかいないかでも変わりそうですので、もっとわかりやすいところに掲示して欲しいものです。
3年間の勤務についてのまとめになります
・当直等をこなされている常勤の先生は問題ない
・ライフイベントで6ヶ月はお休み可能
・週31時間働く期間(常勤)が12ヶ月、それ以外を非常勤にしてもよい
といったところでしょうか。
まとめ
いままでだらだら書きましたが、やっぱり一番のネックはj-oslerですね。邪悪な制度だなあと常々思います。認定内科医と大差ないと思われることも多い中でそんなわけねえだろうがと常々侘しくなっている次第です。
悲しいことにこの精度には裏技がありません。まあ当たり前かwwwwww
ともかく、やはり一番はコツコツやることです。
症例登録の56疾患群を全て初期研修の間にゲットできれば天才です。
(初期研修と後期で全く違うところに行かれる場合はもう行った先の病院の方が良いかもしれません、それか、これだけは使いたい、という症例のサマリー、各種データをかならず手元に残しましょう。病歴要約に使えそうななるべくシンプルなものがよいです。)
また、誰か上の先生や、twitterで同志を募って一緒にやったり、joslerへの呪詛をはいたり、どのように進めたのかを聞くのは大事です。幸いなことにtwitterには専攻医の先生が多くおられますし、なんと私の観測範囲ではかなりの人数が終わっているのを目にします。(なお当院はお察しの状況です)
周りがやっているというのはとても大事なことです。焦ります。眺めるだけでもいいですので、気が向いたら交流をとってみてください。
最後に
ここまでだらだら読んでいただいてありがとうございます。
もし、無事に研修をおえることができれば、そこでもう専門医の受験資格はありますので、もし試験に落ちても一から研修し直すことも必要ありませんし、どこかハイポ病院へ行ったり、自分の行きたい病院にうつってしまったとしても試験は必ず受けられます。(内科学会にメールで聞きました。下記が回答です)
(一つ目の質問は勤務時間についての質問なので省いています。)要は受験資格さえ得られればどこで受験しようが勝手だし誰かの許可もいらないということです。これに関しては最高だと思います。
これからFxxxxxkin内科専門医制度にのる先生、今乗って苦しんでおられる先生になにか手助けできないかと考え、joslerの症例などについてのチェックシートをつくることにしました。こちらpdfでの提供ができなさそうなのでnoteではpng形式にします。画像荒れてしまうようでしたらどこかのサイトに適当にアップします。
下のチェックシートと下記のURLの中身を全て印刷して、ファイルにまとめてください。症例登録や病歴要約の疾患群についてまとめながら、逐一チェックすることできっと終わるはずです。
気が向いた時に使ってくださるととても、嬉しい限りです。
内科専門医を終えるために必要なセット
・バインダー
なんでもいいけど下の書類をまとめるためのものです。私はこういうの使っています。表面が傷つかないので。(アフィリンクはるか真剣に悩んでやめました)
・研修手帳を印刷する
ここのサイトを印刷して全部いれましょう。これで必要な疾患群を見られるし自分の進捗のメモには使えます。症例のIDとか載せとくと便利です。
・今後内科専門医終了のためのチェックシートを作成してこちらにのせます。
エクセルに七転八倒しているので少しおまちください。
こんなもんですね。すみません。
チェックシートができたらまた適宜追記します。
いっぱい書きましたがとにかく裏技も、楽に過ごす方法もありません。それ故にクソなんですけど、なんとかみんなで励まし合って受験資格を得られるように頑張りましょう。(当方2021年4月現在病歴要約12 ,症例登録117)
なにかありましたらTwitterのDMまでご連絡いただけますと幸甚です。
ここまでおよみいただきありがとうございました。
内科専攻医 蟹工船 拝
2021.4
追記ですがJMECC忘れてました。すみません。これもまあ……やるしかないんや(私はまだやってないぞい)今のところどこも募集してないのでとってない先生は最悪もうコロナ措置で先送りするしかないのでそっと見なかったことにしてください…