音楽ひと筋だった私が、音楽業界・音楽人仲間と距離を置こうと思った理由8つ

NEET株式会社(以下、ニー株) 取締役 3期生の ゆるい学長 です。

現在の私は主に「労働法」や「労働問題」などに関する言及が多く、私自ら勝手に「労働法の賢者」なんて肩書きを名乗っています。しかし、それよりも前の私は「音楽一筋の人間」でした。もともと私は労働法はおろか法律自体にまったく興味はなく、私の古巣は音楽業界です。その名残として時々Twitter上で自分のことをDJ学長と言ったりしています。

まず始めに、私と音楽とのつながりと音楽活動の経歴を簡単にご紹介します。


【 ゆるい学長の音楽略歴】

アマチュア時代

・小〜中学時代にピアノを習う
・中学校は吹奏楽部
・高校は合唱部
・大学内外で趣味のバンド活動(ジャンルはRockやJazzに懐メロ、パートはボーカル・ギター・キーボードを経験)

下積み時代

・大学在学中に、歌手志望で色んな音楽事務所のオーディションを受けにいく(どこも惨敗)
・大学卒業後、東京都内の音楽専門学校(作曲専攻)に進学
・専門学校卒業後、バイトしながら別の作曲スクールで半年間学ぶ

プロ活動 以後
・2015-16年:音楽の仕事で初の有償案件に参画(自主制作映画のBGM担当)
・2017-18年:芸能事務所などには無所属のまま、有償のBGM作曲仕事を何度も受けていた。が、TVなどのメディア放映までには至らず目立った実績なし。
・2018年 末:NEET(株)の会社紹介ムービーに楽曲提供
・2019年3月:自作の曲がTV初放映(TOKYO MX)


これまでの簡単な活動歴はこんな感じです。
参考までに、私が今まで作ってきた曲の一部は以下のリンク先から試聴できます。
※ くれぐれも不正ダウンロードは禁止でお願いしますね ...!



私はこれまでメジャーデビューしていたとか、有名なホールでライブをやったことがあるとか、そんな目立った実績はひとつも無かったのですが、仕事としてクライアントからの要望を聴いて提案をしながら自分で作った音楽で報酬を頂戴するという経験はしてきました。本来であれば、このままずっと生涯に渡って音楽業界にどっぷり浸かっていこうという気持ちでいるはずでした。しかし、これまでの音楽活動をしてきた過程で様々な経験をして「私はこの業界から距離を置こう」と思うに至りました。とはいえ、完全に音楽活動を辞めたり業界との関わりを完全に絶つわけではないので、ここでは「距離を置く」という表現を敢えて使っています。その理由は後で述べることにします。

なぜ突然、こんな回顧録のようなことを描きたい衝動に駆られたのかはうまく説明できません。ただ、ここから一歩前に進んで新しいことを始めるためには、心の中の ”引っかかり" をなくして心の整理をつけたいと思い、この記事を書くに至りました。

私は今年2019年3月に、10年規模の音楽活動を初めて以来ずっと目標にしてきたことを何とか達成できました。が、この時を境に「音楽活動を辞めるまではしないけど、今後は音楽とは別分野で新たなチャレンジをしていきたいなあ ... 」と思うようになりました。

そんな私の内心とは裏腹に、長年の活動を見守ってくれた身内や友人からは「これからも音楽活動がんばってね!」「今後もっと有名な案件に関われるといいね!」という激励の言葉や今後の更なる活躍を期待してくれる声をたくさんもらいました。それは純粋にとても嬉しかったです。しかし、それでも私の心のどこかに何かが引っかかるような違和感を感じていました。この時点で私の心には「これからも音楽業界にどっぷり浸かってどこまでも登りつめてやろう」という気持ちはほぼなくなっていました。

幼少期からこの業界を憧れて夢を見てから、長い不遇の下積み時代を乗り越えて夢を叶えた今に至るまで、私は何を思い、何を考えながらこの業界を歩いてきたのか、今一旦ここで私の考えを文字起こししてから新たな分野で新たな挑戦を始めたいと思います。


私は音楽活動をしてきた過程で出会った人たちや直接お世話になった方々のことを決して否定したいわけではありません。でも、これから書く内容がどうしてもそのように聞こえてしまうようなら、関係者各位にはお先にこの場で謝罪します。これは私がこれまでの活動の中で、音楽業界やそこに携わる人々が創り出している風土について率直に感じてきたことなので、ただ単に「最初は純粋に情熱をもってこの業界と関わってきたけど、よくここを体験したら私の人格&価値観と音楽業界の風土がミスマッチだった件」だと捉えていただければ幸いです。


前置きが長くなりました。ここからが本題です。
私が長年腰を据えてきた音楽業界とその人々界隈から距離を置きたいと思った理由をここで告白します。「誰得!?」という内容であるのは承知の上で、ただ私の心にケリをつけるために書いてみました。

自分の心の中の声を洗い出してみたら「それはどこの社会でもある話だよ〜」といわれるような音楽業界以外の社会でもあり得る理由と、音楽業界特有の環境による理由の2パターンに大別されます。なかにはどっちつかずな理由もありましたが、そこまで厳密に分ける必要もないかと思うので思うままに理由を綴っていきます。


【 音楽ひと筋だった私が、音楽業界・音楽人仲間と距離を置こうと思った理由8つ 】

〜音楽業界外でもあり得る理由〜

1. 常にマウント取り&見栄の張り合い
2. 権力者に気に入られないと出世できない
3. ジェンダーが根強く残る
4. いつも飲み会を断りきれない雰囲気
5. 労働法を守られない風土
6. クセが強いもの同士、合理的な話し合いが不可能


〜 音楽業界特有の環境によるもの 〜

7. 非喫煙者にはツラい環境
8. 常に爆音環境で難聴になりそう



ここから1つずつ詳細を書きます。


1. 常にマウント取り&見栄の張り合い

これはどこの社会でもありますよね(笑)
現に、今こうしている間にもTwitter上なんかで日々いろんなところで行われている行為ですが、音楽業界でもマウント取りと見栄の張り合いは半端なく多くて嫌でした。「おれは有名タレントの〇〇さんと同じ芸能事務所に所属しているから、フリーのお前よりえらい」「20代までにメジャーデビューしてない奴はオワコン」などなど、いろんなマウント取りに遭遇しました。

また、私が昔使っていたのSNS上で絡んでいた作曲クリエイター界隈ではSNSでの楽器・音楽機材自慢も多かったです。ミュージシャンや作曲クリエイターの友人知人たちが新しく買った作曲用PCや高価なブランドの楽器・音響機材などを写真つきで「my new gear !」という文字とともにSNSに投稿されているのは日常茶飯事でした。これにはいつも過度なライバル意識や無駄な購買意欲を掻き立てられてしまっていました ... (^^; そんな感情に振り回されているうちに、私もだんだん精神的に疲れていきました。

2. 権力者に気に入られないと出世できない


これも古い体質の一般企業でもありえそうなお話です。
音楽業界は矢鱈とバブル世代を中心としたプロデューサー陣の権力が強く(あくまで私の肌感覚ですが)、新人や若手ミュージシャンはそのプロデューサーを称する "権力者" に気に入られないとメジャーな有名案件が回って来にくくなります。前に有名アイドルグループのドキュメンタリー番組でも同じようなことを聞いた覚えがありますが、アイドルだけでなく、ミュージシャン・作曲家界隈でも事情はほぼ同じです。

プロデューサー陣と考え方が全く合わず「それは違うと思います」と反対意見を言うだけで即干されるリスクは常にあります。「有名案件で仕事が欲しけりゃ俺からのパワハラに耐えて当たり前だろ!?」と暗に言われているかのような空気感は、権力者に盾突きたい反骨精神をもった私にはとても胸糞悪いものでした。今成功している系ミュージシャンたちの中には、こういった圧のある上長からの数々のパワハラを経験してやっと有名案件に辿り着けた人たちも大勢います。彼らは決してそれを口には出しませんが。


3. ジェンダーが根強く残る


こちらも、日本社会だからこそどこにでもありそうな事案の1つであるような気がします。実は、音楽業界にもジェンダー(社会的な性差別)は存在します。前述の「パワハラに耐えて...云々」と同様に、セクハラも当たり前のように起こります。これはジェンダー反対主義である私にとってはとても耐え難いものでした。

「キミって、意外と若いんだね」
「キミはさ、もっと女子力を磨かないとね(笑)」
「おまえ、胸小さいよな。それでも女なんだ(笑)」

私が直接言われたセクハラ言葉はこんなところです。
それぞれ誰にどんな状況で言われたかは鮮明に覚えているのですが、個人を特定されると色々と不都合なので、ここでは敢えて割愛します。ちなみに、これらは枕営業は一切なしで、このくらいのことは平気で言われました。きっと、各所で活躍している女性アイドルや女性ミュージシャンたちはこれよりももっと卑猥なことを言われたりされたりしていることでしょう。

4. いつも飲み会を断りきれない雰囲気


これは「体育会系の会社あるある」みたいな事案でしょうか (^^;;
音楽業界はとにかく酒を飲む機会が多いです。「今日はこの業界で有名なゲストAさんが来ているのに、飲み会不参加になる理由がどこにある!?」なんていう圧をかけられることも。とにかく飲み会に行かない人は白い目でみられます。たとえ飲み会の雰囲気が苦手であっても、業界の有名人や成功している人とのコネクションを作るため、プロデューサー陣などの権力者にごまを擦って新規の仕事を得るために我慢して飲み会に行く若手も多いです。私もかつて、そうやって疲弊した1人でした。でも、いくら有名人本人の話をそばで聞けても、同業者と出会って色々と話し込んでも結局何の成果も上がらずで私にとってはとても不毛な時間でした。巷で誰かが言っていましたが「有名な実績がある人とは、自分もそれと同等な実績がないと即仕事に繋がることはない」のかもしれません。


5. 労働法を守られない風土


これはまさしくブラック企業(笑)
私が音楽業界に対して嫌悪感を抱いてしまった一番の理由がこの理由だと思います。労働法を学べば学ぶほど、いかにこの業界で「当たり前」とされている商習慣がブラック企業同然なのかか思い知ってしまったのです。

通常、芸能人やミュージシャンなどはマネージメント事務所と「業務委託契約」を結ぶのが一般的です。本来、業務委託契約とは、自分が個人事業主として相手方と対等に仕事をこなす契約です。それなのに、ブラック企業の正社員並みに裁量がなく働かされる芸能人やミュージシャンが殆どです。賃金未払いや違法な長時間労働トラブルで会社と闘っている雇われ芸能マネージャーさん、「やりがいがある仕事だから、修行だと思って」といって若手にタダ働きされるプロデューサーなど......この業界の「ブラック企業的な側面」を挙げ出したらキリがありません。

私はこれから、この業界のブラック企業性について労働法の観点から物申す活動をしていきたいです。完全に業界とは縁を切った外部の人間としてではなく、あくまで内部に残っている人間として。外部の人間として野次を飛ばしても、ただ「外野が騒いでいるだけだ」と言われて説得力がなくなるので、業界や業界人とは距離を置きつつ、この悪しき現状に物申していきたいです。


6. クセが強いもの同士、合理的な話し合いが不可能


これは自己主張が強い者同士が集まる場所ならどこでもあり得る事案でしょう。容易に想像できることかと思いますが、音楽業界は良くも悪くも個性的で自己主張の強い人がたくさんいます。私は、自己主張が強いこと自体は悪いことだとは思いません。ぶっちゃけ、私自身も自己主張の強い人間だと自分で思っています。ただ、自己主張が強すぎてお互いに途中から話の筋が通らなくなったり、今その話題について話すべきではない状況なのに一方的に脱線したことを話しまくる人も出てきてその場の空気が乱れまくる事案もよくありました。さすがにこれはマズいだろ...と、私は何度も思いました。コミュニケーションに難がある発達障害の傾向がある人も珍しくないので、彼らに対して適切に対応できる人がいないと険悪な雰囲気になりがちでした。これがよく酒の席で起こったりするから大変です。場の空気を乱しまくってもなお暴走する人に対して、私が「いいかげんにしな!!!」などと大声を張り上げて止めたこともありました。


〜 つづいて、音楽業界特有の環境ゆえに「距離を置きたい」と思った理由について解説します。 〜


7. 非喫煙者にはツラい環境


私は非喫煙者です。喫煙自由な環境は苦手です。
しかし、音楽業界ではミュージシャンも裏方スタッフも総じてタバコを吸う人が多いです。なんでそんなに喫煙が好きなのかとミュージシャン仲間に訊いてみると「自分の尊敬するミュージシャンが愛煙家だから感化された」といったような答えがよく返ってくるような...。

ライブハウス、音楽スタジオのロビー、DJクラブ、イベント後の打ち上げ会場など、音楽活動に関連する施設内の分煙もあまり徹底されていません。最近では少しずつ分煙化が進んできているところもあるとはいえ、まだまだ音楽以外の一般施設に比べたら完全分煙が遅れている印象があります。

喫煙自由な場所ではマスクをしていてもタバコの匂いは防ぎきれないので、非喫煙者の私にとってはとてもツラいです。(喫煙が好きなみなさん、ごめんなさい...!)


8. 常に爆音環境で難聴になりそう


みなさんはライブハウスでの音楽ライブや、アリーナ級の大きい会場でのアーティストのライブに行ったことはありますか? そこに行ったことのある方なら経験済みかと思いますが、小規模なライブハウスであれ、アリーナ級の大きなコンサート会場であれ、音楽系のライブでは常に爆音です。家庭用テレビの最大ボリュームよりも何十倍もうるさいです。それだけの爆音環境に長時間いたら耳がおかしくなります。アリーナ級の大きな会場で何年もライブをこなしている有名なアーティストさんでも難聴になって活動休止に追い込まれることもあります。

私が頻繁にライブハウスに出入りしていた時は、必ず耳栓を家から持参していました。ライブハウスの爆音は、耳栓を着用してやっと耳に負担がかからない「普通の音量」に聞こえるレベルです。場合によっては「普通の音量」よりも少し大きく聞こえることもあります。もはや耳栓なしではライブ会場には入れません。爆音環境に長時間ずっといることが年々つらくなっていきました。

ミュージシャンや音楽クリエイターは耳が命聴力を悪くしてしまってはプロとしての選手生命が絶たれるも同然だと私は思っています。私のように作曲をするクリエイターは、自作の曲の音データを最終的に整音する時に「適切な音量バランス」「音のこもり具合」「耳障りな高音の鳴り具合」など、一般の音楽リスナーが気にかけているよりも高いレベルできめ細かく音の性質や違いを聞き分けられるだけの聴力ないし能力が必要です。もしも難聴になってしまったら、すべての音が遠く聞こえてしまって適切な音量バランスが取れなくなります。また、常に周りの音がこもって聞こえるタイプの難聴になったら、自分で作った曲でどの部分が「こもって聞こえる」のか適切な判断ができなくなります。さらには、特定の音域が聞こえないタイプの難聴になったら「高音域が出すぎている」なんていう判断は不可能になります。

私の視力は極めて悪いレベルですが、音感や聴力には自信があります。しかし、聴力は年齢とともに落ちていくことはあり得ます。今の聴力をなるべく長く維持するためにも、爆音環境に身を置くことは避けることにしました。これも私が音楽クリエイターとしての生命線を失わないためです。これからの私の生活は音楽活動一本でやっていくつもりはないのですが、自作のBGM素材の販売はこれからも続けていきます。1年でも長く正常な聴力のままで音を創っていくためには、爆音環境から離れて自己防衛することが大事だと思いました。



音楽ひと筋だった私が音楽業界・音楽人仲間と距離を置こうと思った理由は、これで以上となります。

ここで今まで感じてきた「心のなかのモヤモヤ感」を文字起こししてみたら、新たな気持ちで次なる目標に向かえそうな気持ちになりました。これからも、私の気持ちが向く方向へ自分の人生を歩んでいきたいです。決して自分を殺すことなく。

ここまででかなり長文になってしまいましたが、最後までご覧いただきありがとうございました!


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