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本命未満。女として満たしてくれた人

彼は、ロマンティックで
少女マンガのように
きゅんきゅんさせてくれる人だった。



スキンケア
ヘアケア
脱毛
アートメイク
筋トレ
ホワイトニング…

私以上に美意識が高かった。

年齢より-10歳は下に見えた。

Googleマップには、
おしゃれな飲食店が
たくさん登録されていた。

彼は、
努力型のイケメンだった。

お互いに、
寂しさをうめるため、
体目的で出会った。

二度と会うことはない相手かもしれない。
お互いに未来に期待を
していなかったからこそ
初対面から気を使う必要がなく
居心地が良かった。

何度目かのデートから
昼間のデートもして、
恋人だと錯覚するような関係だった。

わたしを見つけると
満面の笑みで両手を広げ、
人目を気にせずにハグ。

今日もかわいいね。
髪型変えた?

じっと見つめて
私の頬を触りながら
たくさん褒めてくれた。

エスカレーターでは、
顔をむき合わせて、
キスをする。

一緒に過ごす時間は、
必ず体のどこかが触れ合っていて
自分の一部のような感覚だった。

私は彼に、
数えきれないほど
「好き」と言った。

彼からの
「好き」は
なかったけど、

代わりに、
「ありがとう」
「かわいいね」
の言葉をたくさんくれたので
満足だった。

彼との時間は、
過去のどの男性よりも
ロマンティックで
女として満たされて
とろけるように幸せだった。

わたしはこれまでの恋愛は、
すべて見返りを求めていた。

好きと言ったら、
好きと返してほしい。

デートに誘ったら、
次は誘ってほしい。

彼に対しては、
自分と同じ見返りは求めなかった。

自分が言いたいから好きと伝える。

デートに誘いたいから誘う。

とてもシンプルな感覚だった。

彼は、まったく同じものを
返しはしなかったけど、
別のもので、
同じくらいのエネルギーを
自然に返してくれていたから
求める必要がなかった。

ある時、
自分を強く自己否定したくなる
つらい出来事があった。

誰かに抱きしめて、
すべてを受け入れてほしかった。

彼に、
「あなたは私にとって大事な人」
とLINEを送った。

いつもは、
返事はいらないと
理性で抑えていた。

だけど、今回は、
彼から安心させてくれる言葉を
待ってしまった。

既読はついた。
数日経っても
返事はなかった。

強がってたけど、
本心は、言葉で私に対する
愛情を伝えてほしかった。
安心感がほしかった。

彼とは、
時間をかけて、
本物の愛を育めていると
信じたかった。

返事が欲しい。
抱きしめてほしい。

そう求めることができない
見えない壁が私たちの間にあるのを感じた。

私は、やっぱり
どんな時も、
いつでも、
味方で寄り添ってくれる
パートナーがほしいんだと
切実に思った。

自分を幸せにする為に、
同じように信頼で固く結ばれる
パートナーを見つけよう。

そう思って、
始めた婚活で、
出会ったのが
今のパートナーだ。

パートナーと付き合いだして数日後、
彼から「会いたい」と連絡があった。

彼からの連絡がなくて、
悲しかったのが、
婚活を始めたきっかけだった。
だから、彼に対する
未練もあった。

でも、
パートナーと付き合うと決めた時に、
私は自分を幸せにするし、
自分を幸せにするのと同じくらい
パートナーと向き合おうと
覚悟を持っていた。

だから、
彼とはきちんと
お別れすることができた。
※別れの話は、別の機会に
記事にまとめようとおもう。

女として、
沢山満たしてくれて
行動で愛情をくれた。

初めて、
見返りを求めない経験をさせてくれた。

彼と過ごした時間は、
確実にわたしをぐんっと
成長させてくれたんだ。

彼とパートナーを比べてしまう自分もいる。

彼は、私を女としてたくさん満たしてくれて、紳士で毎回素敵な時間を作ってくれたエンターテイナーだった。私といる時はわたしを満たすことに全力を注いでくれていた。彼は、少しずつ私に心を開いて弱さを見せてくれていた。でも、素敵な男という仮面を外させることなくお別れしたのだ。

パートナーは、女として満たしてくれる感覚はほとんどない。エスコートはしてくれないし(なんなら私を置いてスタスタ先に行ってしまう)、目一杯おしゃれしても褒めてくれたことはない。でも、人生を共にする相方として、一人の人と人。自分らしく、背伸びしない立ち振る舞いから、私に安心してくれてるのかなあという心地よさも感じている。これから私たちの関係がどう変化していくかわからない。でも、今のところ、日々愛おしさが増している。

パートナーと付き合いだして、
古傷からメンヘラ発動しそうになったり、
マッチングアプリに
逃げそうなこともあった。

でも、こうやって
パートナーとの関係を振り返ったり、
セフレとの体験を思い返すことで、
日々、自分にとって大事なことに気づいて、
古傷が癒やされているような感覚がある。

自分にとって
必要なことが起きているんだなあと、
改めて思うことができた。

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