「ヨガ」の定義と種類
「ヨガ」ときくと、どのようなイメージを浮かべますか?
一般的に、日本で「ヨガ」という言葉が指すものとしては、戦士のポーズ・ハトのポーズといった「ポーズ」をであることが多いです。
私が通っていた大手ホットヨガスタジオでも、高温度・高湿度のスタジオの中でひたすらヨガのポーズをとって、滝汗を流し、運動不足解消やダイエット・エクササイズ目的のエンターテインメント要素が強かったです。
しかし、ヨガ発祥の地インドでの「ヨガ」の定義は全く別物です。
まずは、「ヨガ」≠「ポーズ」ということをそのまま記憶してください。
インドヨガは4種類ある
結論から言うと、「ヨガ」=「人間が健康に楽しく生きるための哲学」です。
上記は私が定義した言葉ですが、Wikipediaには以下のように記載されていました。
ネットで調べてみたところ、「心身を鍛える修行法」とか「苦しみから解放させるメソッド」と定義している人もいました。
○○ヨガという言葉はとてもたくさんあって、インド内でも流派とか伝統とか色々あるみたいなんですが、実はその元となる教えは大きく分けると4種類に分けられます。
ラージャヨガ Raja Yoga
カルマヨガ Karma Yoga
バクティヨガ Bhakti Yoga
ジュニャーナヨガ Jnana Yoga
日本で教えられているヨガは大体「ハタヨガ」とか「アシュタンガヴィンヤサヨガ」だと思いますが、「ハタヨガ」「アシュタンガヴィンヤサヨガ」は「ラージャヨガ」の分類に属しています。
ややこしいですよね。
①「ヨガ」=「人間が健康に楽しく生きるための哲学」
※ポーズをきめることではない
②「人間が健康に楽しく生きるための哲学」は4種類
と思ってもらえれば大丈夫です。
ラージャヨガ Raja Yoga
ラージャヨガとは、自分の心と身体を観察しコントロールする方法を鍛えるヨガです。
インドの哲学者パタンジャリによって編纂されたヨガの経典『ヨガ・スートラ』に示されている「八支則」の教えに沿って行われます。
別名クリヤヨガとも呼ばれます。
有名なハタヨガ・アシュタンガヴィンヤサヨガも八支則の教えのもとに構成されたヨガです。
めちゃくちゃややこしいのですが、「アシュタンガヨガ」と「アシュタンガヴィンヤサヨガ」は全く別物で、「アシュタンガヨガ」はパタンジャリが定義した八支則のことを指し、「アシュタンガヴィンヤサヨガ」は太陽礼拝などポーズをシーケンスで行うアーサナのことを指します。
何回も言いますが、本当にややこしいです。
カルマヨガ Karma Yoga
カルマヨガとは、日常生活における行動から、自分自身の本質を学ぶヨガです。
カルマヨガは、ヴェーダの中で大切にされているダルマ(調和・秩序)を基準に自身の行動を選択し、行動の結果に見返りを期待しない生き方を推奨しています。
カルマとは「行動」と「行動の結果」を意味する言葉で、人間にはカルマが存在しているから行動することは必須で避けられず、その結果も自ずと返ってくるという教えです。
また、インド哲学的にいうと、人間の身体はただの入れ物で、その中にある魂が真実であり、人間が死んだ後もその魂は別の身体に移って別の人生を送るサイクルになっています。
仏教でいうところの輪廻転生ってやつですね。
これをカルマヨガの教えと融合させると、現世の「行動」は現世の「行動の結果」を生み出し、現世の「行動の結果」は来世の「行動」を生み出すことになります。
現世で悪い行いばかりして、悪い結果を受け、それを繰り返していると、悪いカルマの沼にはまってしまいます。
なので、カルマヨガでは日常生活から善い行いをしましょう、という指針があります。
Do Good, Be Good ですね。
バクティヨガ Bhakti Yoga
バクティヨガとは、神を愛することで悟りを啓くことができるとされているヨガです。
神は自分の魂とつながっていて、悲しみや苦しみはそのつながりを軽視していることによって引き起こるものなので、神を愛し信仰することで幸せを導くことができるという考えがあります。
手段としては、マントラを唱えたり、アサーナをとったり、経典を読むことで神への信仰を示せるとされています。
Youtubeで検索すると、山奥の洞窟で修行しているヨギーが何時間も神の名前を唱えている動画があったりします。
ジニャーナヨガ Jnana Yoga
ジニャーナヨガとは、瞑想を通じて精神を鍛えるヨガです。
「知識のヨガ」とも呼ばれていて、アーサナなど肉体的な手段ではなく、瞑想法を用いた精神的な方法で、自分自身と向き合います。
ジニャーナヨガは精神面を鍛えることに特化したヨガですが、行動のヨガであるカルマヨガと神への信仰を極めるバクティヨガが身についていることが前提として、さらなる精神の強化をするために存在しているヨガです。
大仏が、座禅を組み、手は手のひら天井向きで親指と人差し指をくっつけて膝の上に置いているポーズですが、あれはジニャーナ・ムドラーと呼ばれていて、瞑想のときによく使われるポーズです。
まとめ
一般的に日本で行われているヨガは、ポーズをとることを目的としていますが、ヨガは生きるための哲学というのが正しいです。
哲学の先生は、「ヨガ=Wisdom」と定義していました。
Wisdomは知恵・賢明・分別と訳しますが、健康で楽しく生きていくための知識や知恵がヨガに凝縮されています。
正しい知識を正しく理解することがヨガを実践するということです。
概念的な話が多くてわかりづらいですが、4つのうち一番オールラウンドなのはラージャヨガで、ラージャヨガは心技体を鍛えるのにとても効果的だと思います。
日本人は無宗教の人が多いので、神とか教えといってもあまり信じない人が多いのではないかと思いますが、完全に信じなくても、自分がいいと思ったメソッドをピックアップして生活に取り入れるだけで、生活の質が変わると思います。
結局それがカルマでやるべき行為で・・・となるんですけどね。✌