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ショー「Dream Chaser」には月組の思い出が詰まっている

毎日すこしずつ「桜嵐記・Dream Chaser」のことを書いています。

最初は「あんまり?」だったDream Chaser

ショー「Dream Chaser」が発表になったとき、正直「うーん」と思ってしまいました。月組は久しぶりのショーで、前回はクルンテープ。タイ。オーソドックスなショーが見たいなあと思っていました。

「ル・ポアゾン」や「シャルム!」のような路線のショーが好きなので、Dream Chaserのメインビジュアルの近未来的な感じ?にがっかりしてしまったのかもしれません。

ところがところが。実際に見てみるととても構成のバランスが取れたショーで、見せ場も多く、大好きなショーになりました。

Dream Chaserとは夢を追う人、の意味ですが、私にとっては月組の思い出、夢(記憶)がいっぱいに詰まったショーです。

もうここからは、妄想と錯覚のオンパレードなのですが、私にはこう見える、という見解を書いてみます。

他の方が読んでも何の得にもならないです…

1. 第一章 プロローグ

ショーの始まりに大階段があって、トップさんが一人既にスタンバイしているスタイルは昔から大好きな手法。幕開けから嬉しさでいっぱいになります。

りょうちゃんの見事な体格(奇跡の等身バランス)が強調される全身赤の衣装が素敵です。一目見て「アーサー王」に錯覚。アーサー王の衣装が本当に好きなのですが、それに通じる王者感が満ち溢れています。

2. 第二章 情熱(スパニッシュ)

美園さくら・鳳月杏・暁千星がタンゴを踊るシーン。さくらちゃんの衣装がピガール狂騒曲で着ていたウエストを強調したドレスに似ていて、ガブリエルに錯覚してしまいます。美園&鳳月カップルは、一瞬、ピガールに戻ったような既視感。

(しかし毎回、恋敗れて走り去ったありちゃんが凶器を持って戻ってくるのではないかと下手袖を見てしまう癖が治らない)

3. 第3章 ミロンガ

ミロンガはヤンさん(ANJIさん:安寿ミラさん)の振り付け。クルンテープの素晴らしいデュエットもヤンさんの振り付けでした。ヤンさんの振り付けはヤンさんが振り付けしていると知らないで見ても目を引く斬新さと美しさ、独特のスタイリッシュなかんじがあります。

ミロンガを見ると、いつも2017年のグランドホテルを思い出します。

フラムシェン(海乃美月)&フェリックス男爵(珠城りょう)のダンスがそれを思い出させるのか、あのスモーキーカラーのお衣装がなんとなくドイツ感を醸し出しているのか。古い、ちょっと埃っぽいホテルが舞台のように錯覚します。

4. 第4章 I'll be back

れいこさん(月城かなと)を中心に、K-POPアイドルグループさながらのスタイリッシュでエネルギッシュなダンスが繰り広げられるシーン。ここではどうしても、『カンパニー -努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)-』を思い出してしまいます。

月組合流直後のれいこさん、カンパニーではアイドルグループの一員でした。どうしてもあれを思い出してしまう。

5. 第5章 DAWN(暁)

このシーンは、とても不思議ですね。エキゾチックで和風ロックのような。ここではいつも、クルンテープのるりさん&退団者メインのシーン「タドーバイ」を思い出します。

エキゾチックで群舞(そしてちょっと意味が分からない)という共通項だけなのですが、ここではいつもるりさんを思い出してしまいます。

のちにアフロ祭で重用されることになったこのシーン。毎回初めのシーンはアフロか否か(afro or not)を確認してしまいます。これはもう月担の性(さが)ですね。


6. 第6章 Hymn of life(生命の讃歌)

ネットでも同じ意見が見受けられました。どうしてもこのシーンは、カルーセル輪舞曲の「飛翔」のシーンを思い出させます。

あのシーン、皆さんはどう解釈していますか? 私はコロナ禍でエンターテインメントの灯火が消えかけ、皆が苦しみ落胆するなかで、りょうちゃんが希望の光となって皆を励まし、勇気づけ、前を向くような解釈でとらえています。

7. 第7章 フィナーレ

あっという間にフィナーレです。

私は以前から、さくさく(美園さくら)を「もったいないな」「ちょっとかわいそう」と思うときが多々ありました。トップお披露目の夢現無双が二番手るりさんの退団公演ということもあり、さくさくが「トップ娘役おめでとう!」と言われるシーンは極端に少なくなりました。

一度スカステの公演直後のスカイレポートで、トップ娘役おめでとう!と月組メンバーからうちわ(!)を送られていたかな? それ以外で、公演などでりょうちゃんが言及した記憶がありません。(あるのかも。私がるりさん退団公演ということで記憶が飛んでいたらすみません)

そんなさくさくが、トップ娘役を従えてビシバシ踊るシーンが見たいなあと思っていたのですが、それが叶ったのがこのフィナーレです。しかもさくさくにぴったりな深いワインレッドのお衣装もとてもすてきで。一つの夢がかなった思いでした。

デュエットダンス

りょうちゃんとさくさくの最後のデュエットダンスがこの曲、この構成、このお衣装で、本当に良かったと思っています。

まるで桜の花びらのようなピンクの美しいグラデーションのドレス。非常にクラシカルで少しレトロでもありますが、さくさくの雰囲気に、そして桜の名前を持つ彼女にぴったりです。

「気持ちで踊っているような」とさくさくが表現したあの、無理のない、流れるようなしっとりとしたダンスもとても素敵です。

古澤巌さんの「愛しみのワルツ」。大好きな曲になりました。

りょうちゃんとさくさくの関係性は、退団インタビューや宝塚GRAPHで少し驚くべき内容を含めて紹介されています。知ったあとにデュエットダンスを見ると、本当に感慨深くて。宝塚を見ているというよりも、とても尊い人間ドラマ、ノンフィクションのダイジェスト版を見ているような気持ちになります。

黒燕尾

私は月組の黒燕尾が大好きです。群舞!とかスタイリッシュ!よりも「エネルギッシュ!」「パワーチャージ!」というかんじがして、とにかく元気が出ます。

ピガールの黒燕尾も「アリナミンV」というかんじで大好きだったのですが、今回の黒燕尾も至高の出来栄え。ここだけでもチケット代のもとは取れそうな勢いです。

そしてなんといっても、汗たま。つゆだくのりょうちゃん。デュエットダンス~黒燕尾~男役七人との群舞~りょうちゃんのソロダンス、とまるでりょうちゃんの体力の限界を試すような構成です。

次第に汗ばんで、美しい額にびっしりと汗をかくりょうちゃん… こうしてテキストで書いているだけでも胸の奥がじんとするような、崇高なものです!

そしてどうしてもここで思い出してしまうのが、ちなつさん(鳳月杏)主演の「デジタル・マジカル・ミュージカル」『出島小宇宙戦争』のフィナーレです。

あのときのちなつさんの、フィナーレのソロダンスを見たときの衝撃はきっと一生忘れられません。宝塚の男役として、一人のダンサーとして、一人のエンターテイナーとして、あのダンスはとても衝撃的でした。スカステで録画したシーンを何度再生したか分かりません。

「あんなシーンを、りょうちゃんも持てたら」と思ったのを今でも覚えています。その夢がかなって、とても嬉しかった。りょうちゃんはりょうちゃんならではの、パワフルでエネルギッシュな、つゆだくの、あせたまの、すてきなダンスでした。きっとこのシーンも一生忘れません。

(銀橋間近のお席でりょうちゃんを見たとき、まるで湯気でもあがっているようなホワホワの湿度の高いお顔を目の当たりにして、今までに感じたことのない感情を持ちました。憧れでも尊敬でも愛でもない…感謝?感謝に近いのかもしれません。「お母さん、生んでくれてありがとう」©植田紳爾 とりょうちゃんの母君に言いたくなりました)

BADDYを思い出させる幕の降り方

最後の最後。BADDYの「わちゃわちゃしながら各自、自由に踊りながら客席も意識せずに目線もばらばらなうちに幕が下りちゃうパターン」が大好きだったので、これに近いものがDream chaserでも再現されていて、とても嬉しかったです。

このシーンはいつも風間少年(風間柚乃)のわちゃわちゃぶりが話題ですね(笑) 私が見たときは、風間少年がロケットダンスのように足をあげながらシャンシャンを振っているのを隣のありちゃん(暁千星)が見て、「こうやるの…?」というかんじで真似をし始めていました。

ありちゃんを見て「そうっす!こうやるんすよ!」とでも言うようにやんちゃにほほ笑む風間少年。すぐ隣で長すぎる足をびゅんびゅん上げて自在に踊り始めるありちゃん、で幕、でした(笑)

いつもこの時、風間&暁を見て、りょうちゃんを見忘れてしまうので、次回はなんとしても風間の誘惑に負けずにりょうちゃんを見たい。

この時、まじめすぎる我らがトップスターりょうちゃんは、特にひねりもなく、「フゥー♪」「イエーイ!」と若干昭和なテンションで一人盛り上がっていて、それはそれで見るのが楽しいのでした。

…というわけで、読んでも何の得にもならない駄文を書いてしまいました。これはこれで、私の思い出ということで…




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