あのおにいさん
私が幼稚園児のころ、小学校高学年の姉のクラスメイト男女が7〜8人くらい家に遊びに来て、そのなかに私と遊んでくれる男の子がいて、私が二段ベットの上から、そのおにいさんが床から、ビーチボールを投げ合いっこしたり、ドアを「Hello!」ってふざけながら開けてきたり、とにかく笑わせてくれるおにいさんで、たぶん私はゲラゲラ大ウケしてたと思うんですけど、誰かに
「ゆりちゃん、あのおにいさんおもしろい?」
って聞かれた途端、恥ずかしくてうつむいて何も答えられなかったの覚えてる。うつむいた時に見えた自分の服のボーダー柄もまだうっすら覚えてる。
そのあと姉が
「ほら遊んでないで話し合うよ!」って言ってて、
「なんだぁ、もっとずっとあそんでくれてていいのに」
って密かに思ったの覚えてる。
あのおにいさんの顔もうっすら覚えてる。
何十年経ってとうの昔に当時のおにいさんの年齢を追い越しても、私のなかではずっと「おにいさん」である。
あのおにいさん、まだ独身だったら私と結婚してくれないかなぁ。
もううつむいたりしないから。
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