仕事をしたかった私が海外駐在帯同を決めた理由

私は今、夫の海外駐在帯同で北ドイツの片田舎で過ごしている。

夫のドイツ駐在の話が出たのは、会社員の卒業とコーチとしての独立を決意した矢先のことだった。

正直、開業に向けて本腰入れてやっていくぞ!というタイミングだったため、山ほどあるやりたいことリストが進まなくなることには相当ヤキモキした。

帯同せず日本に残りコーチとしての活動を進めるという選択肢もあった。

ではなぜ帯同することにしたのか?

今回はそのことについて書いてみたいと思う。

もし、私と同じように、自分のキャリアと海外駐在帯同との間で揺れている方が読んでくださっているとしたら、一事例として参考になる点があれば嬉しい。

帯同を決めた一番大きな理由。
それは
自分や家族にとって、欲しくても買えないような期間になる。今しかできない経験になる
からである。

私自身、5歳の頃に1年間、父の仕事でカナダに滞在した経験がある。
30年以上経った今でも、当時見た景色、出会った人やその時の表情、心に残ったやり取り等が鮮明に思い出される

美しい紅葉、ヒラヒラ舞い落ちるメープルの種、よく道端で見かけたリス。
雪の急角度の滑り台や氷に埋まったコイン、コートについた雪の結晶❄️
いつも可愛がってくれたレジのおばさん。
クラスのみんなに折った折り紙をプレゼントしたら、母が折ったと思われたこと。
お弁当のおにぎりの海苔を気持ち悪がられたことよりも、隣の子の弁当がバナナチップスだったことに衝撃を受けたこと。
いじめてくるクラスの男の子から守ってくれたインド人のSUMITAちゃん。帰国後しばらく文通したのも良い思い出。
靴ひもの結び方を優しく教えてくれたスペイン人の男の子。
夢にまで出てきたフランス語の怖い先生。
逆立ちができるようになった体操教室。
ピアノ教室で上手く弾けず悔し泣きしたら、家の男の子がハロウィンの気味の悪いお菓子をくれて更に泣いたこと。
他にも、たくさんの思い出が脳裏に焼き付いている。

折に触れ、家族で当時の思い出を話すこともある。家族で共通の思い出を話せるということも、なんだか幸せな感じがあるのである。

当時はシャイで殆ど喋らなかったが、英語の発音は少し身につき、英語が好きになった。
英語が好きだったことで、学生時代海外に興味を持ち、ひとりで渡米や渡独したりなど刺激を得て世界が広がった。

確実に、私の後の人生にインパクトを与えた1年間だった

私がそうだったからといって、4歳の長女にとってどんな経験になるかはわからない。
だけど、ここでしか得られない刺激を受けたり、言葉の壁を越えて友達と仲良く遊んだりした経験は、きっと何かしら自信になるのではないかと思う(思いたい)。

0歳の次女は大きくなったとき、ドイツにいたことは何も覚えていないかもしれない。
だけど、一緒に旅行に出かけたり、一緒の思い出を作って後で「赤ちゃんのときこんなところにいたんだよ」と写真を見ながら話したい。

夫にとっても、次女が歩けるようになるまでの貴重な期間を一緒に見られること、家族で苦労しながらもあちこち旅行に出かけたりした思い出は何にも代え難いことだろう。

コーチとしての活動はもちろん早く進めたい。ウズウズするくらい。
だけど、帰国後からでもできる。
一方でドイツに家族で今の年齢で住んでみる経験はもう来ない。

住み慣れた地元、通い慣れた保育園、在宅ワークという安定。
それよりも、見ず知らずの地に冒険に出てみる、今しかない機会へのワクワクの方が勝った

色々大変だろうとも思ったけど、それらを家族で乗り越える経験も絆を深める機会にできそうで良いなと思った

希少で貴重な経験になる
コーチとしての活動開始は遅れるが、これらの経験はキャリア上も土壌の肥やしになると思った。
これがいちばんの理由。

次に大きな理由は「ワンオペ育児を極力避けたかった」から。

第一子出産後、上の子が3歳になるまでの間の激務×ワンオペの期間は当時の自分には大変過ぎて私は作業マシンと化した。
第二子出産後すぐのワンオペなんて、想像しようもんなら拒絶反応が出るため、これに関しては筆もここで止まる。笑
なんというか、最低限人間でありたい。笑

3つめは「こどもとの時間を持ちたかった」から。
第二子妊娠を機に会社員を辞め個人事業主になることに決めたため、育休は無く早めに復職しないと長女が退園になってしまう状況だった。
だが本音は、せめて次女の卒乳くらいまでは一緒にいたかった。
長女との時間も取り直す機会だと思った。
長女が生まれてきてくれてから、私がいちばんずっとそばにいた。
だけど、一緒に居られていない感覚もあった。
ワンオペだと、一緒に家にいても動画を観てもらいながら家事をしていたり、疲れて遊ぶ元気を残せなかったり、常に脳内は未完了の仕事で占められていたり…
もっと笑い合いたいのにできない。
そんな葛藤をずっと抱えていた。

ドイツに行ったら、特に保育園に入るまではずっと一緒に過ごすことになる。
お子2人と過ごすのは大変だろうけど、そんな時間を持ちなおせるのも何かのメッセージのように感じた。
(これに関しては、単純に一緒にいる時間を持てるようになることと、向き合えることは別であったことを後に実感することになるのだが😂これについては別で書きたい)

色々と私なりの理由を述べたが、あまり悩まず決められたのは、自分の中での価値基準がある程度クリアだったからだと思う。

希少で貴重な選択肢をとって冒険し、新たな刺激を得に行くこと。
家族と気持ちを通わせながら過ごすこと。
これらの価値基準を大事にした

あわせて、死ぬときに悔いのないのはどちらの経験か?問うてみても、直感的に答えが出た。

これらは、キャリア迷子だった時期に自己理解ワークに取り組んだり、コーチングを通じてクリアにしておけていたことが糧になっていたと思う。

もし、自分のキャリアと駐在帯同との間で葛藤している方が読んでくださっていたとしたら、
自分が大事にしたい価値基準
・死ぬ時に振り返って悔いのない選択はどれか

ということを軸に整理してみることをおすすめしたい。



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