風向きはきっとまた変わってしまうから(後)

とても贅沢なことだが、TOKIOは鉄腕DASH・TOKIOカケルという冠番組2種を抱えている。各番組・特番は彼を画面から消すことに尽力した。(日テレの番組でTOKIO結成秘話とか言いながら、彼の存在を抹殺した嘘エピソードを踏み絵のようにリーダーが見せられてた時は心底腹立ったけどな)

TOKIOのクリーンなイメージは、全くもって揺らがなかった。私はそれにもびっくりした。どんな稀有な存在やねん。

ありがたく思いつつも、私にはふつふつとある感情が沸き立っていた。


音楽、もうせんの?


あの会見少し後に収録されたおさんぽジャパンにて太一がピアノでLOVE YOU ONLYの自パートをストリートピアノで暗譜で、愛おしそうにさらりと弾いてのけたのは泣いた。

しかし、それ以降音楽方面の一切は彼らから感じられなくなっていった。更には音楽番組で過去映像が使えない。せめて音楽配信解禁を!と思ってみても重い腰が動かない。

長瀬がこだわりの人だから、彼のベースでないと嫌だと思ってるんだろうなぁとか適当な希望的観測を勝手に抱いてみたり。4人でNEO TOKIOとしてベース抜きで音楽作ろうよ、その音楽を私は愛したい!とか、そもそも何で農家がネタとして成立するか知ってる?あなた達の本業がバンドだからだよ!とか思ってみたりもした。

TOKIOのいない音楽特番は、まるで気の抜けた炭酸だった。なんせ彼ら、ガヤに全力出してた唯一無二の存在だった。FNS音楽祭とかも見えないところで他のアーティストを客席から盛り上げてた。そこがぽっかりと抜けた。

ほんのちょっと音楽が流れたり、映像が流れたりで沸いたりもした。太一の地下スタジオ公開に心が躍ったりもした。でも、彼らが新しく音楽を始める兆しは見えなくて。バラエティーの彼らは存分に楽しませてもらっているけれども、音楽は、本業はいつやるんだよってずっと悶々としていた。


そんな中で季節の風物詩、長瀬退所の飛ばしニュースがちらりほらりと定期的に上がってくる。バンドTOKIOの柱は言うまでもなく長瀬である。ボーカルであり、作詞作曲編曲者であり、音楽プロデューサー的役割でもある。あくまで飛ばしだし、と口では言いつつも気が気じゃなかったのはご理解いただけるだろうか。彼がいなくなるということはバンドTOKIOもできなくなるということだ。

だから25周年の節目に彼らの功績を残したくて、40分超232曲メドレーというあの気の狂ったモノを作った。大好きじゃなかったら作ろうとすら思わないよそんなの。


そしてコロナ禍に突入する。

エンタメ業界が壊滅的なダメージを受け、バラエティー番組の作り方も根幹から揺さぶられた2020年の上半期。誰もかれもが見えない敵に精神をすり減らしていった半年間。

そこにきてのお気楽さんぽの楽曲提供。更に一番大きかったのは今年5月の太一ブログでの未発表歌入り新曲。正直嬉しかった。少し音楽活動再開の可能性も見えてきたのかもしれない、と思った。

私は彼らの音楽が大好きなんだよ。長瀬のハイトーンボーカルに時代がやっと追いついたと思ったのに。声質の似ている太一の下ハモの安定感が抜群で長瀬の声とよく絡むし、リーダーのソプラノ上ハモは弱いけど華を添える。楽器もそれこそ超絶技巧を持ってるって訳じゃないけど、それぞれが奏でる心地よい音の重なりに身を委ねることができて…

淡い期待を抱き続けた2020年7月22日。



…終わったなぁ…



株式会社TOKIOという未知の可能性、想像の斜め45度以上をかっ飛ばしてきた3人のTOKIOを誇らしく思うのと同時に、バンドTOKIOの終わりを突き付けられた。なんだかんだ笑いに持っていってはぐらかしているけど、一旦の区切りをつけるということに変わりはないだろう。

私の愛していたバンドは、2018年4月末のあの日にもう。


一生TOKIOを応援すると誓った。その絶対的不文律が、今私の中で揺らいでいる。5人だとは言ってくれているけれども、心の繋がりはわかってるしずっと5人なのも知ってる。けれども、でも。

5人でわいわいやってるのが好きだった。一人一人でも十分強いのに、5人揃った時の「あたいって最強ね!」感が好きだった。何より、5人の音が声が重なってハーモニーを作り出す瞬間が何よりも大好きだった。


とりあえず3月までは4人を推して参るけども。

…私はTOKIOの株主(という名のファン)になれるんだろうか。

わからない、その時が来るまで何もわからない。

これが今の正直な気持ちです。その時が来たら、「何悩んでるんだよ私」とここに書いてある事を笑い飛ばせたらいいなとも思っていますけど。


ぐっばい、わーるど。

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