風向きはきっとまた変わってしまうから(中)

その日は5人が久々に表紙を飾るTV LIFEの発売日だった。休憩の時にご飯を買いに同僚とコンビニに出かけ、ついでに雑誌の棚もチェックした。やっぱ入ってきてないなー(当地は2~3日遅れ)とか言いながら「もはや生活の一部なんですよ、TOKIO」と笑ったのを覚えている。

夕方、そんな同僚から第一報を受けた。「そんなこともあるでしょうね」とか、なんとか必死で取り繕った。だけど「すいません、ガチで一切触れないでください!」と言い加えた。色んな同僚や上司や先生やらから波状攻撃を受けたら、やられてしまう。仕事中なのに。そんな思いだった。

一応手元に置いたスマホ、仲間たちのグループLINEがぐるぐる回り始めた。止まらない通知音を聞きながら、ひたすら平静を保って残業に臨む。

こういう時の各種テレビ局はあまりにも残酷な掌返しをするものだと各芸能人のスキャンダルで知っていた。SMAPの一連でジャニーズ事務所はそういった撤退戦に弱いのもわかっていた。「キスをしてしまいましたことを」って何それぇ?


家に飛んで帰って、きっとワイドショーのみならず普通のニュースでも取り上げるだろう、見てしまえば仕事に影響するほどの大ダメージを受けるだろうと踏んで即部屋に引きこもった(大正解だった)。表紙のTV LIFEも全回収されたらかなわない、と東京の友達に1冊確保を頼んだ。CM、冠番組、福島…考えれば考えるほど、グループ全体のダメージがでかすぎる。

どうしよう、明日も明後日も仕事だ。

朝は絶対めざましテレビをつけるのが習慣な親と同居している。やむを得ず、両親が起きる前に家を出て優雅にカフェでモーニングを取る事にした。職場は皆気遣って、その話題は出さないでくれた。仕事が終わったら、即家に帰って部屋に引きこもる。

大型連休前の、ハイパークリーンイメージで売ってるグループの数え役満スキャンダルは興に乗り、特に他の話題もないようで連日連日報道が繰り返された。(ビビットのMC国分太一拷問ショー1週間は絶許案件)

※オタクはある意味知っていた。東日本大震災でDASH村ができなくなり、島開拓とかいう斜め45度をかっきって突き詰めた結果、第何次かわからんけどブームがきて、めちゃくちゃクリーンなイメージがグループ全体について。それがあまりにも清らかな水すぎるから、元は田沼なのに大丈夫かと心のどこかで心配していた。中でも心配なのが彼なのも。(だから「そんなこともあるでしょうね」と口を突いて出た)


そんな中の『したことは消えない、でもしてくれたことも消えない』という福島発のメッセージ。とてもありがたかった。彼らが築いてきたものの大きさを思い知らされた。


それでも最善手は解散しかない、と私は思っていた。個人も大きな仕事を持っている現状、TOKIOという屋号が足枷になってしまう。とても悔しかったけど、それが最善だと思った。

しかし彼らは継続を選んだ。

とてもびっくりして、自分の浅薄さを恥じた。茨の道を自ら進む、それでこそTOKIOだとも思ったし、誇らしく思った。4人のTOKIOを全力で推そう。そう覚悟した。

もう一つ驚いたことに、各社CM。クロネコヤマトさんは契約期間満了まで待ってくれたし、フマキラーさん、福島県は継続起用を決めてくれた。これも彼らの人徳の成せる技だった。


そして誇らしく切ない、ぬるま湯漬けの2年間が始まる。

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