On Funding - The Denominator Effect by Mark Suster

こんにちは。シリアルアントレプレナーでUpfront VenturesのGeneral PartnerのMark Susterより、"On Funding — The Denominator Effect"をお届けしたいと思います。
https://bothsidesofthetable.com/on-funding-the-denominator-effect-375bbc2d6a7f

On Funding — The Denominator Effect

先日、投資家が分散したポートフォリオを持つことを考えるためのFundingについてポストしました。私が"Shots on goal"と呼んでいるものです。
その中で言いたかったのは、アーリーステージのスタートアップに投資する前に、どのディールが急激かつ大幅に上振れするのかを知ることは、不可能に近いということです。
つまり、15-20%の素晴らしいディールをつかむためには、十分な数のディールを持つことが重要だということです。
もし30-40のディールに投資したなら、1~2つの案件がリターンの大半を占めることになるでしょう。

ここでは、分子を実際に投資した案件数とし、分母は検討した案件数と考えます。
私のファンドでは年間12件ほど投資し、投資検討は数千件しているので、投資実行率は0.2~0.5%です。
これがベンチャーキャピタルのビジネスなのです。

新米キャピタリストやエンジェル投資家に対し、一貫して言っているアドバイスをご紹介します。"分母にフォーカスしなさい"ということです。

あなたが起業家との10回のミーティングに出たとしましょう。
きっと少なくとも3件は魅力的な案件に出会うはずです。
しかしながら、90日で100件のディールを見ると仮定しましょう。たとえ何も投資する必要がないとしても、4-5件はとても魅力的な案件に思えるはずです。
しかしながら、この4-5件は、最初の3件とは重複しないと思います。
さらには、年間で1000件のディールを目にした時、きっとあなたは300-400件に投資しよう(最初の10件のうち3-4件が魅力的だと思ったものと同じ割合です)とは言わないはずです。
おそらく、7-8件は本当にやらなければいけない案件として目立って見えます。ただし、これもまた100件中の4-5件とは異なるでしょう。

ベンチャー投資は数のゲームです。
たくさんの案件を見なければ、本当に素晴らしいものを見分けることはできないのです。
私のアドバイスはシンプルです。
1. とにかくたくさんのディールを見なさい。そして本当に素晴らしいものをパターン認識する必要があります
2. ディールを急いではいけません。数をこなせば必ずディールフローの質はあがるし、見極める能力もあがります

また、私はフォーカスすることが重要だと思います。
今日はフィンテックディールをみて、明日はサイバーセキュリティ、次の日はクリエーターツール、ではパターンを見極めることも、優れたものとは何なのかという知識ももつことはできません。

分散したポートフォリオを持つためにはたくさんの投資を行う必要があります。ただし、その投資はもっともっと多くの潜在的な案件(分母)から生まれている必要があります。

ディールソーシングについて

ここからはいつも通り私の感想をだらだら書きます。
日本と海外(特にアメリカ)のVCと比較したとき、大きく違うなと感じるのがディール総数です。
この記事の中では、投資実行率は0.2~0.5%だったとありますが、日本のVCでここまでできているファンドは少ないと思います。
私がいた独立系ファンドは、アーリーステージに投資しており、さらに2号目のファンドだったこともあり、流れてくるディールは比較的多いほうだっと思いますが、それでも投資実行率は2~5%台だったと思います(一桁違いますね)

ではなぜそうなってしまうかというと、日本のスタートアップの方が数が少ないからなんです。
それがゆえに、"フォーカス"も難しい現実があります。
記事の中にもあるように、アメリカではセクターフォーカスし、知見を集中させる流れが随分前から強くきています。
一方、日本ではせいぜい、セクターフォーカスできているのはヘルスケアとBtoB SaaSぐらいではないでしょうか。
その他は"IT"という、くくりがあってないような、オールラウンドに投資するファンドがほとんどです。
さらに問題を深掘りしますと、日本のスタートアップがなかなか増えない理由に、そもそもの日本の市場規模の大きさと成長性の問題があります。
市場規模は決して小さくはないですが、大きくもない。さらに少子高齢化社会で成長する市場が限定的であるがゆえに、新しい事業も生まれにくくなってしまっているのです。
中長期な目線で考えれば、
・海外進出を最初から視野にいれて事業を立ち上げるスタートアップを増やす(日本のスタートアップが勝負できる市場を広げる)
・日本進出を支援する名目で海外スタートアップにも投資する(日本のスタートアップに限定しない)
ことが必要かなと思います。
一方で、個人ですぐに取り組めることとしては、自分でセクターフォーカスを決めてその中で全てのスタートアップに会うことはできると思います。

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