グループホーム事情~テラスハウス編

3か月がかりで、やっとグループホーム見学までこぎつけた。高次脳機能障害をもつ25歳息子の「自立十年計画」の一環だ。

グループホームはザックリ分けると、この2タイプとなるらしい。
・一軒家で共有スペース(リビングダイニング、お風呂)と各自個室
・マンションタイプで、1フロアが共有スペース、各自独立した一戸を利用

息子が「ただいま~と言って帰ってこれるタイプのほうが寂しくなくていい」というので、最初の見学はシェアハウスタイプのところにお願いした。シェアハウス、というとテラスハウスを連想する。

テラスハウス

『テラスハウス』は、通称「テラハ」と呼ばれる、縁もゆかりもない複数の男女がシェアハウスする様子にカメラが密着したリアリティ番組です。2012年から2014年にフジテレビ系列で放送され、その後ネットフリックスやフジテレビオンデマンドで2020年まで配信されていました。

テラスハウスは東京や軽井沢、ハワイなどを舞台にしたいくつかのシリーズがあります。世界からも注目されていた、日本のリアリティ番組シリーズです。複数の男女が繰り広げる友情や恋愛、夢などの青春ドラマを映し出しています。


この程度の意識でグループホームを検討しようという親もピンボケだが、息子もひどかった。最近何に影響されたのか、毎朝のお支度に時間がかかり洗面台に1時間はへばりついている。知らん顔をしていたが、今朝さあ、出かけようと息子の顔を見るとバカ殿のような白塗りだった。息子曰く日焼け止め入りファンデで、時間がたつとなじむ、らしい。(そんなことはなく、現地についても死人のような顔色だった)

初めてのグループホーム見学で気合が入ったらしいが気合の入れ方が間違っている。

こうしてテラサ親とバカ殿息子は見学へ向かった。

坂の多いわが町のご多分に漏れず、そのグループホームも狭い階段の途中にある、車の横づけできない立地だった。しかし交通の便はとてもいい。

こちらの希望は
・路面電車が利用できる立地
・歩く範囲でコンビニ、スーパーがある
・週末実家へ帰れる距離
・食事つき
・スタッフ常駐

なんとこれ全部クリアだった。

だからと言って文句なしにOKかというと、そう簡単ではなかった。

ピカピカのキッチン
髪の毛一本落ちていないお風呂、洗面所
両親の介護の経験から医療スタッフとなり
グループホーム経営に至ったというオーナーのお人柄
毎日声掛けしてくれ、健康チェックも定期的にしてくれる。

年金で賄える利用料でこれだけのサービスをしてくれるなんて
望み以上、

のはずだけれど、食事の説明を聞いたところで、ひるんだ。

「食事希望の方には、〇〇(食材配達サービス業者)を使って
スタッフが調理し、利用者さんはそれをもって自室で食べていただきます」

食事は自室で。一人で。

息子がトレイをもって自室へ行き、一人でテレビを前にもぐもぐ食べる景色が浮かんだ。

息子はこれから先ずっとそんなふうに一人で食事するのだろうか。

「縁もゆかりもない利用者同士が繰り広げる青春ドラマ」、ではないことくらい、いくら底の浅い私にも分かっている。

でもどうしてもグレーで重い気持ちがぬぐえない。

これが、グループホームで生活する現実なのか。

息子は昼から友人と約束があるというので中華街でチャンポンを食べた。

今日のは最初の見学だったから
いろいろ勉強になったね、
でもほかにもあるから、
一通り見学してから、
ゆっくり決められたらいいね・・・・・・

息子がどう受け止めているか、推し量る余裕もなく
自分のショックを持て余した
グループホーム見学第一回目だった。




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