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ただしい「二次会」への向かいかた

先日、その日はじめて打ち合わせをしたKさんと「どうでしょう。このまま飲みに行くってのは」という流れになり、ラム肉を食べに行った。電話で席をとり「下町バル ながおか屋 神保町店」に入る。気軽でおいしいので、最近は迷ったらここだ。

しばらくしてうちの副社長の松田と、かねてから「あの人は、ちょっと別格だと思う」とぼくにKさんのすごさを聞かせてくれていた友人Mも合流。20時から3時間、オフラインでしかできない話を中心にたのしい時間を過ごす。お会計。

雑居ビルを出て「楽しかったですね。今後もなにとぞ……」なんて話をしているうちに、神保町駅へと降りていく階段の前に着いた。通行の邪魔にならないよう、降り口の端に寄って立ち話をする。1分ほど会話が続いたところで松田が「もう1軒行きましょ!」と言い放ち、全員でそのまま2軒目に移動。そのままま4時間。お会計。4人が4人とも、(たぶん)大満足で帰路についた。

3時間のいい飲み会を、7時間の忘れられない夜にした松田の「もう1軒行きましょ!」。身内ながらいい仕事だったなと思う。ぼくにはできない。

二次会の誘いというのは難しいものだ。

まず言い方。参加を強制するような大声は品がないが、この先に何か楽しいことがあると期待させるだけの勢いと元気がなくてはならない。言葉選びも大事だ。「もう1軒行きます?」と疑問形で投げかけて、それぞれが時計まわりに「どうします?」なんて顔色をうかがいはじめてしまうのもNG。じわじわと場の温度が下がってしまうからだ。ただ挙手を募るのではなく、「自分は行く意志がありますよ」と手を挙げながらの「提案」だからこそ、温度を保てるのである。

状況把握も忘れてはいけない。今日は何曜日で、1次会の飲みっぷりから各人の残タスクと明日の予定に目星をつける。最悪タクシーで帰る場合に、常識的な距離かもチェック。店選びも肝要。すぐに入れそうな店はあるか、そこがダメだったときの代案はあるか。1次会の店とかぶってはいないか。寝そうな人、つぶれそうな人はいないか——。

これらの条件を総合的に判断し、適切な音で発声ができたときのみ、全員が前向きな気持ちで二次会に向かえるのである。難易度高すぎ。

そういう意味で、先週松田が発した「もう1軒行きましょ!」は、手前味噌ながら完璧ですばらしいものだった。状況把握力と決断力の高さを見せつけられたようで、ちょっとくやしい。

そうそう、二次会と言えば、社会人1年目、元テニスサークル部長の同期が「二次会行く人ー?って聞いて、迷ったやつは全員置いてくようにしてる。そんなやつ、来ても盛り上がらないじゃん」と言っていたのに感心したのを思い出した。合理的だ。彼は、同期でいちばん早く課長になった。

店選びとか席割りとか注文とかお会計とか二次会とか。飲み会には、仕事をするうえで大事なことが詰まっていますね。

そして、本論とは全然関係ないけど、ここからはじまることがたくさんありそうな、すっごくいい夜でした。