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「俺の信じるお前」を信じることにした話。

「30超えて、社会人10年ぐらいやって力をつけたとき、ふたりで一緒になんかできたらええな」

7年ぐらい前のある夜、終電後の三軒茶屋でそんな話をしたのを、ぼくははっきり覚えていますが、あいつはとんと忘れているそうです。守られる約束というか、実現する未来というのは、そんなもんなのかもしれません。

株式会社ツドイに、松田直樹が加入しました。

1985年生まれでぼくと同い年の松田は、同志社大学在学中からヨーロッパ企画(劇団)、ボロフェスタやみやこ音楽祭(どっちも京都のフェス)といった現場で要職を担い、映画配給会社に新卒入社。

2012年、株式会社SCRAPに転職。リアル脱出ゲームをはじめとした多彩なイベントを6年間つくり続けた、経験豊富なプロデューサーです。社内でも重要なポジションにあったであろう松田を快く送り出してくださった株式会社SCRAPの加藤さん、飯田さんには感謝しかありません。

実はもうすぐ創立一周年をむかえる株式会社ツドイは、松田の加入を前提につくった会社です。イベント経験に乏しいぼくが「編集とイベントの会社」を立ち上げたのも、パートナーが松田だったからに他なりません。

というかもっと言うと「今井と松田が一緒に働くには何かいいか」「どの角度で串を通せば、互いのスキル・経験・コネが活かせるか」を考えた結果だったりします。

友だちと一緒に働くためにつくった会社。会社の存在意義というのはその規模によって変容していくものだと思っているのですが、少なくとも今のツドイは、そのためにあります。

なんて生っちょろい設立理由なんだと思われるでしょう。ぼくもそう思います。そんなんではじめていいのか悩んだこともありました。でも、本当だから仕方ありません。

このふたりで会社をつくることが、いちばんおもしろいものがつくれて、ストレスなく働ける。それは世の中のためになるし、結果としてお金ももらえる(はず)。という仮説に基づいています。今、その正しさを証明している途中です。

松田は、共通の知り合いにしょっちゅう、「なぜ今井なのか?(もっといい選択があるでしょうに!)」と聴かれていますが、ぼくは「なぜ松田なの?」と聴かれたことがありません。いい機会なので、書いておきたいと思います。

松田は、自分の「おもろい」にウソをつかない人間です。10人が9人おもしろがっているものでも、自分がピンと来なければ憶せずそれを口にし、理由を語り、自分がズレていると思えば学ぼうとします。

また、自分の「おもろい」をかたちにする能力とガッツを持っています。ぼくが出す企画を、誰より早く、世界一厳しい目でチェックし、眼鏡にかなうものであれば全力で力を貸してくれます。

そしてぼくは、松田が32年の人生で培ってきたセンスと、ぼくとの信頼関係に基づく「今井それ、おもろいな/おもんないで」を何より信用しています。

ものをつくる人であれば、そんな人間がそばにいることの心強さをわかってくれるのではないでしょうか。ぼくのパートナーは、松田以外あり得ませんでした(なんて恥ずかしい文章なんだ)。

鴎来堂/かもめブックスの柳下恭平さんはぼくらを評して「ふたりが一緒にいれば、ツドイは絶対にダサいことをしないだろうし、もししてたら、それは何かを試しているんだと思う。本当にいいコンビだね」と言ってくれました。

ツドイのダサい/ダサくない(≒おもろい/おもんない)の基準は松田にあります。そのうえで、最後はぼくに決めさせてくれるし、立ててもくれるっていう、まあほんとにありがたいですね。書いてて顔が赤くなってきました。

松田加入の一報を聞き、ある友人は言いました。

「今井のすごさは未だにわからないけど、松田をツドイに入れたことは本当にすごい」

これ以上の褒め言葉がありましょうか。

ツドイの松田です。よろしくお願いします。

Photo by 飯本貴子