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いつかは「AVANTI」

今日はラジオ収録だった。収録というとかっこいいけれど、入居しているシェアオフィスの共用スペースで、マイクをつけたiPhoneをチョコパイの箱の上に置いて行う極めて簡素なものだ。

校正と校閲の会社鷗来堂の社長であり、かもめブックスの店主でもある柳下恭平さんとラジオをはじめて半年。配信回数は20回を超えた。特段リスナー(こっぱずかしいが他に表現が見つからない)が増えている気はしないが、友人が減った気もしないので、このまま続けていきたいと思う。

(よかったら、聞いてください)

今、こうしてラジオをやってはいるが、これまでの人生、ほとんどラジオを聞いてこなかった。中学生のとき、友だち何人かが聞いていた番組を聴こうとしたけれど、ちっともおもしろいと思えなくて以来ずっと、ラジオを聞かずに生きてきた……という話を今日の収録でしたのだけれど、これはぼくの記憶違いだったと収録後に気づいた。ひとつ、大好きなラジオ番組があったことを思い出したのだ。

土曜日の夕方、親の車に乗せてもらって滋賀の田んぼの間を走っているとき、何の気なしに流れてくる「AVANTI」という番組が大好きだった。「東京いちの日常会話を盗み聞きする」というコンセプトのこの番組は、いわゆる業界人から学者にいたるまで、さまざまな種類の専門家が出演し、週替わりで、自らの専門分野について語っていく。何がいいって、みんな自分のやっていることを心底嬉しそうに話すのがよかった。東京には、こんな風に仕事を楽しんでいる人がたくさんいるんだという希望があった。

もう放送が終わってしまったので、人生の目標のひとつだった「じぶんも出演」はかなわないけれど、「自分のやっていることをたのしく語れる人は相当かっこいい」という価値観をぼくに残してくた「AVANTI」には感謝しかない。

番組は終わってしまいましたが、ポッドキャストは残っているのでよかったら聞いてみてください。出てる人がみんなかっこいいんだ、これが。