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塩味の紅茶

今日はお引越しをした。
人生初の引っ越しで内心わっくわくだった。

10年以上ずーーーーっと早く家を出て一人で暮らしたいとせがんできたのだ。今日その夢がようやく叶った。
憧れてた生活が始まって、旦那と2人暮らし。まだ初日で慣れないところとか片付かないところもある。これからが楽しみだと思いつつ、わたしはどこかで絶対に泣くんじゃないぞと無理をしていた。

いわゆるホームシック。家を出たひとなら経験している人は多いのではないかと思う。わたしも例にならって見事なまでにホームシックになった。
ホームシックあるあるなのかわたしだけなのかはわからないが、実はわたしは先週辺りから毎晩泣いている。ホームシックが実家を出てから起こるものだとしたら、これはプレホームシック、もしくはただのガキのわがままかというくらいには泣いていた。

わたしは割とTwitterやら通話やらプライベートやらで、やたらと家族の愚痴を漏らしていた。(まあ実際その時はムカついてムカついて仕方のなかったことではあるのだが)
うちはかなり考え方が古い家で、社会人になってからもなお門限があった。しかも4人家族でほぼ毎回何においても3対1になるくらいには家族と思考や好みが合わなかった。
わたしがいいというものは変なものを見るような目で見られていたし、最近でいうところの「毒親」に近いものすら感じていた。
でもその反面、わたしは家族がだいすきだった。いっつも見てるのか見てないのかわからないようなテレビがついていたり、変な動画を見てゲラゲラ笑う声だったり、あれやれこれやれとうるさく言われる日々だったり、家族の好きなものであふれて栄養バランスとは…と思えるような(でも味はどれも美味しい)ご飯だったり、いつまでも懐かないくせにぴいぴいと鳴くインコだったり。
たしかに毎日いかなる時もそれだと嫌に思えてくるものなのかもしれない。でもこれがわたしの日常だった。うるさいけどみんながみんな家族を思っていたし、喧嘩をしつつも一緒に遊んだりご飯を作ったりしていた。

他所の人からもよく言われていたが、うちの家族はかなり仲がいい。そうなんですよね〜〜ニコニコとしてしまうのがどこか恥ずかしくていやー…と誤魔化していたが、わたしは内心ちゃんとわかっていた。だから家を出たくても出たくなかったし、出たとしても家族を泣かせてしまうようなことは絶対に嫌だった。

毎日泣いていたと言ったが、いつも1人でいるときに誰にも言わずこっそり泣いていた。気付いていて黙っていたのかもしれないが、わたしは極力静かに声を殺して泣いていた。
家を出る時も今後の予定の話をしている時も、涙ぐんでしまう時もあったが適当に誤魔化していた。今日家を出た時も駅まで送ってくれたときも、いってきますと言ってきた。1度も親の前で泣くことなく実家をでた。
10年前のわたし、お前は夢が叶うと1人静かに号泣することになるぞ。

今日の夜は旦那と2人暮らしが始まっていたのでお休みと寝ようとした。が、ふと親と姉のことが頭をよぎってしまった。今頃何してるかなとか、まだ起きてテレビ見て晩酌でもしてるのかなとか。それがもうだめだった。ダムの決壊か?というくらい泣いた。
旦那も家を出て一人暮らしをしていたので、ホームシックだなこれはと、わたしが泣き止むまでそばにいて、温かい紅茶を淹れてくれた。しょっぱかった。

流石にこれからは毎日泣くことはないだろう。寂しさは抱えていくのかもしれないけど、そういうのは新生活や仕事や結婚による手続のあれこれなどによって、段々と日常を書き換え溶け込まされていくはず。だからこういうことを書くのは今日だけ。

明日は手続きと生活に必要なものをあれこれ揃えていくぞ

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