やる気を出すほど絵を描けなくなった、2024年の迷走
皆さんこんにちは!「心と体に寄りそうケアイラスト」を描いております、中尾友香です。
この記事は、カッコーさん主催の「ストックイラストアドベントカレンダー2024」に参加させていただいております。
ストックイラストに関わる素晴らしい記事ばかりなので、クリスマスまで是非お楽しみください✨
迷走を続けた2024年
今回の記事は、ストックイラストの記事としてはあまりお役に立てないかもしれません。何故なら、私は2024年はストックイラストをほとんどお休みしていたからです。
今回、参加してもいいものかと悩みましたが、私と同じ悩みを持つ方に少しでもお役に立てればと思い、書かせていただきます。
2024年は、私にとって大スランプの時でした。
昨年、アドベントカレンダーに参加した時、私は「2024年は自分にとって変革の時になるだろう」と確信していました。
やりたい方向性が見え、悩みに対する対処法を自分なりに見つけ、後は描くだけ!という状態になったからです。
しかし、「モックアップを作ろう!」「ポートフォリオを作って営業をしよう!」という段になって、急に何を描けばいいのか分からなくなってしまいました。
目指す方向性とキャッチコピーが決まったのに、何を描けばいいのか悩むなんて不思議な話ですが、本当に頭が真っ白になってしまいました。
「成功しなければならない」という自分へのプレッシャー
「なぜ描けないのか?」
その答えは、私が自分自身に対して必要以上に厳しいハードルを与えていたからです。
「絵の仕事以外してはいけない、時間が限られているのだから」
「成功しなければいけない、皆が応援してくれているのだから」
「すぐに結果を出さなければいけない、貯金もなくなってきているのだから」
「絶対投げ出してはいけない、生涯の仕事にしたいと思っているのだから」
「認められなくてはいけない、仕事にしたいのだから」
等など…
自分に対して「こうあるべき」という姿を押し付け、自分にプレッシャーを与え続けていました。
突然ですが、私は宮崎駿さんに憧れています。
作品ももちろん大好きですが、一つの仕事に命と時間すべてをかけて取り組む姿、私もそんな風に何かに情熱を注いで生きていきたいと思っています。
ですが、自分の現状はどうでしょうか?
絵を描く手は止まり、アイディアを出す創造性がなくなり、育児と家事に振り回され、年齢に応じた体調不良にも振り回されています。
私は人生を半分くらい生きてきて、中途半端だった40代までの自分にとても後悔がありました。だから、残り半分の人生は何かに情熱を燃やして生きていきたい、結果をきちんと残したいと強く思っています。
そう思えば思うほど、やる気を出せば出すほど、実際何も生み出せていない自分に葛藤し、プレッシャーで手が止まってしまう。
悪循環です。もう自分では抜け出せませんでした。
オンラインサロンへの参加で見えた新しい視点
私は自力での解決は不可能と判断し、5月からクリエイター支援のオンラインサロンに入りました。
このオンラインサロンは年に一回クリエイター祭りを開催し、その内容に「目から鱗」が連発していたので、きっと何かを変えることが出来ると思いました。
このサロンへの参加は、私にとって大成功だったと思います。
一番最初に「ケアイラストって何?誰のために描くの?分かりやすいって、誰に対して分かりやすいの?」と質問され、私は上手く答えることが出来ませんでした。
私の根本的な問題はここにある、と気がつきました。
ここが定まっていないから、自分は何も書くことが出来なくなっていると。
なので、5月にこの質問をされて以降今に至るまで、ずっとこの質問に向き合う生活をしてきました。
また、活動に参加する中で、あらゆるジャンルのクリエイターの取り組みを見てきました。色んな生き方をしていい、仕事のやり方はいろいろあるのだという事を教えてもらいました。
「絵を生涯の仕事にする=絵の仕事以外はやってはいけない」という認識を変えられたことが、自分にとってとても大きな発見になりました。
固定給で得られた安心感
「絵の仕事以外したら負け」な意識でいましたが、金銭面の問題と「人の役に立つとはどういうことか?」を考えるため、葬儀場でアルバイトを始めました。
日々色んな方と接し、それぞれの人生に触れ、人の役に立つとは?を考えさせられます。
1人作業でなくチームで動くため、「どうすれば伝わるか?」「相手に安心感を与えて仕事をすることが出来るか?」を意識するようになりました。
その人の置かれている状況を考えるのは、絵の仕事をする上においても重要なことで、やってよかったと思いました。
何より、毎月一定のお金が入ってくるというのは、自分の心を安定させるのにとても大切なのだという気づきがありました。
「早く成功しなくては」という焦りに金銭面が大きく影響していたので、この焦りを落ち着かせないと冷静に次の事を考えることが出来なくなっていたと分かりました。
絵のアルバイトで初めて分かった「自分の描きたい絵」
ありがたいことに、何度かアルバイトで絵のお手伝いをさせて頂ける機会がありました。
もうそれが楽しくて楽しくて、やりがいがあって、絵がスランプだったなんて嘘の様でした。
そこで、私は「誰かが作りたい作品を一緒に作ることがしたい」のだと気がつきました。
誰かが作りたい作品には、明確なゴールや世界観があります。
その方と話し合って、より良い作品を仕上げていくという事が、自分にとって最高にやりがいのある仕事なのだと分かりました。
思えば、私が昔から描いていた絵はオリジナルの一枚絵などではなく、教科書で読んだ内容を自分で分かりやすくまとめたイラストだったり、小説の挿絵を自分なりに描いたものでした。
つまり、私はまず何かしらの情報をインプットして、そこで初めてアウトプットが出来るタイプのイラストレーターなのだと気がつきました。
自分の傾向がつかめたことは、かなり大きい発見でした。
依頼があれば、描けるのです。ならば、自分以外の人に具体的な内容の依頼をもらえばいいという事です。
例えば、自分の好きな一冊の雑誌を決めて、ここに依頼をもらったのだと思い込む。この雑誌に合うための絵柄を考え、表現を考える。
または、ChatGPTに依頼のシミュレーションをしてもらう。これはかなりいいなと思いました。参考に画像を添付します。
依頼する人のシチュエーションをもっと細かく設定すれば、より理想の依頼を作ることが出来るのではないかと思います。
デザインのイメージを画像出力することもできます。
デザインを考えるのが苦手な方は、こういった画像を参考にするのもいいのではないかな?と思います。
何故だか絵が描けなくなった方への提案
長くなりましたが、以上の紆余曲折を経て、私は悪循環から抜け出すきっかけをつかめたような気がします。
「何故だか絵が描けない」という方は、沢山いらっしゃると思います。
特にストックイラストはすぐに結果が伴うものではありません。
今自分が描いているものは正解なのか?
全然売れないからやっても無駄なのか?
何を描けばいいのかわからなくなってきた…と悩みが続くと、絵を描くことまでやめたくなることもあるかもしれません。
そこで、いくつか私が悪循環から抜け出せた提案と質問を皆さんにもさせてください
①そもそもあなたはどんな絵を描いてきましたか?
一枚絵を描くのが好きですか?ちょこっと落書きが好きですか?挿絵を描くのが好きですか?
売れる売れないの前に、自分の好きを思い出してみてほしいです。
あなたがずっと書いて練習してきた絵の中に、あなたが描きたい絵のヒントがあるはずです。
②絵が大好きでも、絵以外の仕事もしていい
イラストレーターだからと言って、イラストだけで生計を立てなければいけないわけではありません。また、ストックイラストは私たちの投稿をまってくれる滅茶苦茶懐の深いクライアントの様なものです。
描けないときは描けないでいいので、まずは金銭面の焦りをなくしてもいいかもしれません。
また、その仕事を通して新たなストックイラストのアイディアが生まれることもあると思います。
③無理しない、頑張れない自分を許す
時間の制限や状況、体調によって絵を描く時間が取れないことは沢山あると思います。うまく隙間時間を作り出せればいいのですが、そうは出来ない方、隙間時間では落ち着いて絵が描けない方、沢山いると思います。
今日も出来なかった…と落ち込むこともあると思います。
ですが、「今は」できなかっただけです。
数日後か数年後かわかりませんが、ふと描ける瞬間がやってくると思います。
その時の自分に絵を描くのは任せて、うまく出来ない自分を認めてあげるのも必要だなと思いました。
④人と交流する
オンラインサロンに入って、ストックイラスト忘年会に参加して、人と話すのって大事だなと思いました。
ネットの情報収集で満足しがちでしたが、1人では気がつかないうちに視野が物凄く狭くなってしまう事に気がつきました。
尊敬している方だったり、自分と同じ状況だったり、全く異なる状況の方だったり、沢山の方と接することによって、脳みそが凄く働くのを感じました。
話すのが苦手だったら、お話を聞くだけで十分だと思います。
とにかく、人の肉声を聞いて、その人のパワーを感じるのがいいなと思いました。
2024年を振り返って
2024年は、イラストレーターとしては殆ど活動できませんでしたが、自分の人生を考えるためにとても貴重な一年となりました。
色々気づいた事を書きましたが、これらは一年かけて最近やっとわかってきたことばかりです。
もう少し「私はこれを描く人です!!」と名乗るには、考えなければいけないことがあります。
しかし、大きなスランプではありましたが、少しずつでも絵を描くことはできました。
絵は仕事にしたいですが、それ以上に生涯向き合っていきたい生きがいです。
自分と絵との関係を、これからも考え続けていきたいと思っています。
長々と自分語りを書きましたが、ここまで読んでくださった方に、少しでもお役に立てる部分があれば幸いです。
長文をお読みくださり、ありがとうございました。