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空の青さを知っているか、波の音は聞こえるか 後編(6) テキスト版

はじめに

こちらは、創作漫画『空の青さを知っているか、波の音は聞こえるか』の場面解説を交えたテキスト版です。
ツイッターでも同様の内容のもの(画像解説付き)をあげていますが、note版ではテキストも一緒に掲載しています。

お好きな方でお楽しみくださいませ。

なお、前回のお話はこちら。

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空波後編(6) 1ページ目

【場面:放課後。赤母商店の二階、まいまいのおうち】

(後編(5)のつづき。引き続きマイ、シュウト、アデルとひなたの三人で会話をしているシーンから)

シュウト「見えないから、聞こえないから。最初からできないって決めつけてるだけじゃん。

ヒナらしくない!」

はっきりシュウトに言われ、何も言い返せず俯くひなた。

マイ「……ねえ、ひなちゃん」

マイ「一年前、ひなちゃん学校行けなくてうちに来たけれど、今とおんなじように聞こえなくても言葉が分からなくても、みんなの心を開いたのはひなちゃんだよ」

マイの語りとともに、過去にマイマイの家であったひなたたちの思い出が蘇る。

去年、マイマイの家の生徒に自己紹介をされるひなたの様子や、シュウトと取っ組み合いのケンカをしているシーン、そしてマイの誕生日に生徒みんなで楽しそうにお祝いをしているシーン。

(中央にみんなで作ったホールケーキを前に差し出すひなた、ひなたの右脇にシュウトとアデル。左脇には他の生徒の子供たちが微笑んでマイを見ている)

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マイ「そんなひなちゃんは、本当に何もできないのかな」

マイの言葉にハッとなるひなた。

【場面:朝、ひなたの家、自室】

カーテンの隙間から朝の柔らかい日差しが部屋に差し込んでいる。

姿見を見ながら、ひなたが※補聴器(耳穴型)を着けている。その表情はどこか引き締まっていた。

補聴器
老化や病気、障害などの理由で耳の聞こえが遠くなってしまった人が聴力を補うために装着する機器。

補聴器にも様々な種類があり、耳掛け型や耳穴型、骨伝導式などが存在している。また、最近はカラーリングなども豊富になってきている。

なお、ひなたが作中で装着していている耳穴型はつけていてもあまり目立たないタイプのもの。

[ 参考]オーティコン
https://www.oticon.co.jp/hearing-aid-users

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【場面:夕方、白ヶ丘高校の1年4組、ホームルーム】

クラスの委員長の女子と副委員長の男子が、黒板の前で文化祭の出し物のアイディアを皆に募っている。

その中で一人真剣に何かを考えている様子のひなた。

(黒板にはクラスで出し合ったアイディアの一覧が書かれている。

右からおばけやしき、コスプレ喫茶、演劇、屋台【焼きうどん、クレープ】)


【場面:放課後、白ヶ丘高校の1年4組】

ホームルームが終わり、人がまばらな教室。

部活に行こうとしている生徒以外はすでにほとんどが帰宅している。

しかし、ひなたはまだ何かを考えているのか自席に座ったままだった。

答えがなかなか出せないひなたの頭に、昨日のシュウトの言葉が湧き出る。

シュウト「ごちゃごちゃ考えんなよ」

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シュウト「ただヒナのやりたいことやればいいよ」

シュウトが自分の頭を指さして不敵に笑い、アデル、マイもひなたを見てやさしく微笑んでいる姿が思い浮かぶ。

シュウトの言葉に押され、席を立つひなた。

鞄を抱え学校を勢いよく飛び出す。

ひなた「(なぎさ…!)」

渚を思い夕焼け空の下でひなたが駆けていく。

【後編(6)終。次回投稿はこちら】


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