よみびとしらず
ずっと固執していた。
子どもの頃から、見返してやるんだということに。
取り憑かれていたのほうがしっくりするかもしれない。
ずっと、ぼんやりした風景だけを見ていた。
見返してやりたい人たちは、私もその人のことを普段思い出さないように、その人たちも私のことを忘れているだろうな。
物語の主人公に憧れた。
私の人生の主人公は、いつだって私なのだけど。
いつでも私は私になろうとは思っていなかった。
誰かになりたかった。私のことは嫌いだった。
だから、私は私のことをわかっていない。
たった何年間、この世界に存在するだけ。
知っているつもりで誰のことも知らない。
よみびとしらずさんの言葉にハッとした時間があった。
その人のことを想像する。
あったこともない、知らない人。
見えない人のことを私の頭は探している。
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