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つめたい海の底で きみが息を潜めて からだを小さくしている きみを傷つける者の怒号が響き…
雨風のしのげる 所にいたいんだけど、 時々雷もほしいなぁ いや、当たらないよ、 当てない…
ちゃぽん と水に 身体を入れると こどものような 手が見えた おふろの中の わたしは 無…
きみに触れると いつもは牢獄のようなこの身体が 歓びを感じる きみの無防備さや 気ままさが …
あなたを罵った夜に 今からその痛みと 期待と 諦念を 引き受けて生きていくのは 私だと知…
よく考えていました あなたでない人を 恋人と呼ぶとき、 私はどんな瞳をしているのか どんな…
世界は変わっていなかった 相変わらず空には雲ひとつなく、 訪ねた映画館はもぎりがいなくて、 話を聴きながらお茶が進んだ 店員のおばさんは年の瀬の挨拶を重ねていて、 焼き芋にはなぜか惹かれてしまう ずっと見通せる道は気が遠くなりそうだし、 電車の席は端っこがいい 風車の影が倉庫の白壁に揺れていた 世界は何ひとつ、変わっていなかった
雨の日は 傘で顔を覆えるから好き 隠された私の瞳は 誰かを睨め付けることも 君に笑いかけ…
泣きたいのに 涙が出ない そういうことがよくある 泣きたい、泣きたい と心の中で呟いてみ…
寂しいひと 寂しいひとが好き 傘に入るのを遠慮するひと 満員電車で反射した自分の顔を見つ…
ポケットに未来が入るなら 過去はどうやって 持っていけばいい 背負うのは重いが 踏んで歩く…
ことばがかれている 忘れはてた男の奥にある ダムが開いて 私の失物を押し流す 未だに手を伸ば…
音に溢れたこの世界で 私が聴きたいのは 枯れ葉を選んで階段を上る足音と 烏がこちらを見据え…
小鳥と云ふに相応しい者と 烏の対話を 色づけるが如く 黄色い手がうなりをあげる 空に昇りゆく笑い声が 重なり合って 息が浅いことに気づいた あの人の言う不快の音とは 普段は壁であるのに 耳を傾けると存在を顕わにする 彼は煙となる時 雪崩れを聴いたのか はたまた 溜息であったか