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映画「明け方の若者たち」を見た話

⚠️めっちゃネタバレ!!

率直に、めっちゃ良かった!!でもこれを良しとする人と、あんまりスッキリせん人とで分かれる気持ちも分かる

大4から社会人になる5年間の話
恋愛映画と思いきや(いや恋愛映画やけど)、仕事とか友情とか人生観の話!


好き嫌いはありそうやけど音楽が全面に出てて壮大なMVを見てるみたいやった
どう考えてもヤングアダルトやった

終電逃して、仕方ないか〜って明るくなるまで喋り明かして、
ちょっと明るくなった時間に食べる朝ラーメンの味を知ってる人は、共感の嵐
朝方のコンビニとか自販の光ってなんであんなにエモいんやろうな


盛り上がってるけどあんま楽しくない飲み会も、
夜通し喋って空が明るくなってくる感じも、
新入社員研修でのグループワークも、
友達3人でやるしょうもないゲームも、
なんか違うよな〜〜って同期と愚痴を言い合いながら飲むのも、全部
自分の眼球で見たことある景色ばっかりやった

全く同じではないかもやけど、絶対誰にも重なる場面が何個もある
ずっと大人の人には追体験になるし、
学生にとったら未来図になるし、
それで今22-25歳がドンピシャ世代な気がする
仕事感とかめっちゃ共感しかなかった

⚫︎超全部ネタバレあらすじ(でもめっちゃはしょってるから、映画を見てほしい)

大学4回冬
「私と飲んだ方が楽しいかもよ?」って
大学の友達との就職祝いで開かれたおもんない飲み会を、
数合わせで呼ばれた2人は抜け出した
「あの誘い方はあざといでしょ!」って
深夜の公園で2人だけでもっかいハイボールで乾杯

彼女は院生で24歳、僕は22歳
初対面の彼女はそれはそれは魅力的で、完全に僕は一目惚れ
お互いの音楽の趣味とか就職先とかの話で盛り上がって、
終電ギリに2人で走ってそれぞれ帰宅

意気投合した2人は、後日さっそくデートに
下北沢で劇を見て、あーだこーだ感想を話しながら、ごはんを食べて、夜風にあたりながら、
夜も夜で、どうしよっか?っていう時間
「もうちょっと押してくれたら、いいかも」っていう彼女に後押しされて、
「朝まで僕といませんか?」って
僕と彼女はその夜に一線を越える

2人はラブラブ
そうこうするうち春になって大学を卒業して社会へ
僕は大手の印刷会社、
彼女はアパレルの販売

僕は入りたかった会社に入れて順風満帆、
と思いきや、
入りたかった部署に配属されず、
毎日が変化のない繰り返し、
社会人独特のルールに縛られて、
自由で無敵やった学生時代を懐古しては
あれ?自分のしたかったことってこんなことやっけ、、?
って社会の波に揉まれていく

それは僕の同期の尚人も同じで、、
僕と彼女、尚人の3人で朝まで飲んだり、夢語ったり、
お金と元気の限り思いっきり遊ぶ毎日

時は過ぎて、夏
2人で旅行に行った僕と彼女
でも旅行から帰ってきたその日から、彼女は音信不通に
今までこんなことなかったと不安がる僕と裏腹に、彼女は数週間音信不通のまま

会社でも落ち込んでる僕を尚人がバッセンに連れていく
一通り話を聞いた尚人が一言

「いくら好きでも、相手が既婚者だったらハッピーエンドは望めないよ」

彼女は既婚者やった

「そんなの、初めから分かってたよ」
彼女が僕を騙してたわけでもなく、僕も最初から分かった上で、彼女と期間限定で付き合ってたことが分かる
初めて会った夜も、一緒に寝た日も、旅行でも、彼女はずっと薬指の指輪を付けてた
彼女から連絡が途絶えるっていうことは、時が来たっていうこと

最後に「このままじゃ曖昧すぎるから、一度会って話したい」っていう僕
気まずそうに現れる彼女

久しぶりの再開後、昔2人で来たことのあるあの喫茶店で、
彼女は何回も何回も謝った

その後の僕は自暴自棄
しばらくは会社を休んで部屋に引きこもり
最初から分かってた別れやったとはいえ、3年間過ごしてきた彼女を失った喪失感に襲われる
いつか来るであろうその日から、目をそらし続けてきた3年間やったから

でも失恋の1番の解決策は時間と親友
尚人がずっと近くにいて気にかけてくれる

人生最大の失恋を経験して、時は流れて26歳
やりたかった仕事ではなくて、壁にぶつかって、こんなはずじゃないって嫌ってた総務の仕事にも慣れてきて
前ほどギラギラ夢語ったりもせず、世間を知り現実を見て、すっかり落ち着いた大人に

親友の尚人がベンチャー企業に転職するという話を聞いて、
僕もやっと部署の異動届を出した
僕はようやく過去の恋じゃなく、未来に目を向け始めた

尚人と沖縄居酒屋で飲んだ帰りにひとりで、
彼女と初めて飲んだ公園に行って、
あの時と同じように2つ並べられたハイボールの缶を見つけて懐かしい思い出を振り返って、

それで前に進んでいく


沼のような5年間、
ってプロモでも流れてたし、5年間っていうことはハッピーエンドじゃない終わりがくるんやろうな、
とは思ってたけど
死別とか喧嘩別れを想像してたから、
まさかの不倫やったのはビックリ

何だっていつかは終わるよ!ってケロッと笑う彼女が、
全部わかったあとに聞いてもこの台詞はあまりにも綺麗で残酷すぎた

し、不倫って分かっていながらも、期間限定って分かっていながらも、彼女に付き合う僕がつらすぎた


ほんまに言葉どおり溺れるように恋愛してた主人公と
相手が既婚者ってわかっていながら進む主人公を止めずに見守る親友の関係性もよかった

友達なら絶対止めてあげるべきで、
自分は止めたいし、自分も止めてほしいけど、
2人を知った上で見守るっていうそういう選択肢もあるなあって思わされた〜〜
そのかわり終わりを迎えた時は誰よりも近くにおってあげる!
めちゃくちゃいい親友で戦友やったなあ

当て馬って勝手に思っててゴメン


僕と彼女が働き出してすぐの頃に仕事帰りに行った喫茶店は、僕と彼女が最後に会う時も出てくるんやけど、
前者のまだお互い付き合ってた時は向かい合って座って喋ってたのに、
最後別れ話をするために会う時は斜めに座ってて、
同じテーブルやのに位置が変わってなんともいえん距離感がリアルに感じてしまった


旅先で、
全部好きって言われた後のあの絶妙な表情も、
僕からの「好きだよ」に対して「ありがとう」で返すのも(「私も」とは言ってくれんねんな、、、)
帰り際の「魔法みたいな時間だったね!」も、
全部分かったあとに気づいて、なんとも言えん気持ちになった
当の本人たちは全部分かった上で言ってると思うと、また辛いな
フィクションって分かってても辛い

僕が不憫で圧倒的に身勝手なのは彼女のほうやけど、
そんなに彼女のこと嫌いになれへんのは
僕と一緒におった彼女がほんまに楽しそうすぎたからと
これから墓場までしょってく十字架がでかすぎるからなんかな〜

僕は将来最悪「昔既婚者と付き合ってたこともあったんだよね、、」が出来ても(だめやけども)
彼女は一生黙ってないとだめやん
旦那さんの顔見るたびに罪悪感に苛まれるって


学生から社会人って一気に良くも悪くも環境めっっっちゃ変わって、
自分自身がこのめまぐるしく変わった新卒1年目を過ごしたからこそ
この悶々とした気持ちも、負の感情も、多かれ少なかれこの年代はみんな抱えてるよなあ〜って分かるし
でもその悶々と過ごす時間すら人生で見たらマジックアワーで、

後から思い返せば、
社会人って思ってたのと違う、とか、
学生時代は自由でよかったな、とかないものねだり言えてる今のこういうダラダラした時間が、
実は、人生トータルで見た時に1番楽しい時間になるんやなあ

色々知って経験して大人になるけど
学生時代の無敵のギラギラさは削ぎ落とされるし、どうしようもない諦めを覚えるし、大人っていう肩書きと引き換えに失うものもいっぱいあるな〜っていう


最近オールできひんのよな〜っていう友達との会話を思い出しては
大学生の頃の感覚はまだ残ってるのに、もう明け方まで喋り明かせる青春の終わりに近づいてる気がして、
ちょっと寂しくなった


あと、挿入歌が全部めっちゃよかった
エイリアンズも東京もヤングアダルトもピッタリすぎた帰りの電車でずっと聴いてた
20年代の若者エモ青春映画にはきのこ帝国が欠かせんみたい


あと彼女がめっっちゃカワイイ!
終電間際の「もうちょっと押してくれたら、いいかも」
とか
旅行終わりの「魔法みたいな時間だったね!」
とか
言葉選びが遠回りででも素直でカワイイ

楽しい時に、楽しいね!を素直に言える女の子って、女から見てもほんっまにカワイイ

無邪気にコロコロ笑うのも、イタズラにニヤッとするのも、物憂げなアンニュイな顔も
黒島結菜ちゃんがとにかくめっっっっっっちゃカワイイ映画やった
みんな惚れる


全然関係ないねんけど、
匠海くんがインタビューで2022年の目標を聞かれたときに
「止」って答えてて、
進とか晴とか、前向きな言葉並べる人が多い中、「止」ってあんまり良いイメージがつかんくて、

でも
「一度立ち"止"まって振り返って、一つ一つ積み重ねていくため」
って理由きいて
うわ〜〜めっちゃ良いなあって思った!

俳優でもバンドでも
この1.2年で周りからの評価も取り巻く環境も変わったやろうし
自分でも勢いと話題性を感じてるからこそ、この勢いに任せてたらだめや!って考え
めちゃくちゃ冷静やし俯瞰的で、それでいて未来志向で前向きやなあ

匠海くんが
この映画に出てくる「僕」は僕自身に似てますって言ってたのを知って、
なんかふとこの話思い出した


2022年映画初めにピッタリの最高にエモい映画!

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