イーゴリ・ストラヴィンスキー&コロンビア交響楽団 / ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」(1960年録音)
作曲者ストラヴィンスキー自身の指揮によるステレオ録音です。「音楽は即物的でなければならない 感情をこめてはならない」との言葉を残したストラヴィンスキーが、自身がタクトをとって自作を指揮したとき、どんな演奏をしたのか・・・・
イーゴリ・ストラヴィンスキー
ここで指揮をしているイーゴリ・ストラヴィンスキー(1882.6.17~1971.4.6 イーゴリ・ストラヴィンスキー - Wikipedia)は20世紀を代表する作曲家の一人。セルゲイ・ディアギレフのロシア・バレエ団の委嘱で作曲された「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」が3大バレエとしてよく知られている。
指揮者、ピアニストとしても活躍した。
コロンビア交響楽団
コロンビア交響楽団は、アメリカCBSが引退していた大指揮者ブルーノ・ワルターのレパートリーをステレオ録音で遺すために編成した録音専用のオーケストラ。コンサート等の活動は行っていない。ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団のメンバーが多く入っていたとされている。
また、アメリカCBSがメジャー・オーケストラを使って録音しても、契約の関係でオーケストラ名を商品に出せないときに「コロンビア交響楽団」の名称を使用していた。
ストラヴィンスキー自作自演の「春の祭典」
ストラヴィンスキーは「音楽は即物的でなければならない 感情をこめてはならない」との言葉を残しています。その彼がタクトをとって「春の祭典」を指揮したとき、どんな演奏になるのか・・・・
一聴して分かりますが、拍子抜けするほど淡々とした演奏です。音符は音符のまま、フォルテやピアノなどの強弱記号もそのまんま。アゴーギグ(目立たせたいフレーズのテンポを落とす奏法)もほとんど使われず、本当に蒸留水のように淡々としてそっけない演奏です。
ストラヴィンスキーがコロンビア交響楽団を指揮して録音した「ペトルーシュカ」や「火の鳥」を聴いたことがありますが、同様に淡々としたそっけない演奏です。
コロンビア交響楽団は編成が小さかったとされているので、普通の演奏ではよく聴き取れない細かい音型は、わりとくっきりとよく聞こえます。
ストラヴィンスキーがコロンビア交響楽団で録音する際は、助手のロバート・クラフト(ロバート・クラフト (指揮者) - Wikipedia)がつきっきりでオーケストラにリハーサルを施し、最後にストラヴィンスキーが登壇して録音したと伝わっています。
まあ悪いけど・・・・作曲者自身が指揮して遺したステレオ録音という価値はありますが、「”春の祭典”に興味をもったので聴いてみたい。最初に選ぶCDCDはどれにしよう?」という人にはおすすめしません。
ストラヴィンスキーの1回目の「春の祭典」録音は・・・・
「”春の祭典”初演100周年記念BOX」には、ストラヴィンスキーが1940年にニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団(現・ニューヨーク・フィルハーモニック)と録音した演奏も収録されています。
こちらは・・・・はっきり言ってオーケストラがダメダメです。いや、録音当時のニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団はヨーロッパの聴衆からも絶賛された腕利き集団だったので、ここまでダメダメな演奏をしてしまうのは・・・・そう、ストラヴィンスキーの指揮がダメダメなのです。
「春の祭典」は難曲であること、太平洋戦争中の録音であることを差し引いても、管楽器は音を外しまくり、リズムは乱れまくり、アンサンブルは崩壊寸前です。
一流オーケストラは、指揮者がダメダメな場合は指揮者を無視して自分たちで演奏してしまうそうですが、難曲「春の祭典」ともなると、そうはいかなかったのでしょう。 合掌
次回予告 レナード・バーンスタイン&ロンドン交響楽団 / ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」(1972年録音)
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