見出し画像

星条旗よ永遠なれ/バーンスタイン&ニューヨーク・フィル マーチ・スペクタクル

前記事で紹介した「カラヤン&ウィーン・フィル/ニューイヤー・コンサート1987」と、どちらを一番手にするか悩んだもう一方がこれ。バーンスタイン&ニューヨーク・フィル マーチ・スペクタクル。

星条旗よ永遠なれ/バーンスタイン&ニューヨーク・フィル マーチ・スペクタクル ジャケット表

曲目と演奏者

スーザ:ワシントン・ポスト、忠誠、雷神/ヨーゼフ・フランツ・ワーグナー:双頭の鷲の旗の下に/スーザ:海を越える握手、星条旗よ永遠なれ/父ヨハン・シュトラウス:ラデツキー行進曲/ステッフ:リパブリック讃歌/ツィメルマン:錨を上げて/アルフォード:ボギー大佐/イギリス古謡:英国擲弾兵/アーン:ルール・ブリタニア/ド・リール:フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」/バグレー:国民の象徴

Cond:レナード・バーンスタイン
ニューヨーク・フィルハーモニック

行進曲が好きな子ども

小学校の時、体育はあまり好きではありませんでした。でもなぜか運動会は好き。理由の1つ目が、運動会バザーでジュースや地元の駅弁などが食べられること。そしてもう一つが、運動会練習の時にBGMでかかっていたいろいろな行進曲が聴けること!でした。変わった子どもだったなーと思います。
私の小学校は、全校朝会の集合や教室へ帰るときのBGMに行進曲を使っており、聴いているだけで元気が出るそれらの行進曲が楽しみでした。
1学期・2学期とその都度違う行進曲がかかっており、朝会での校長先生の話や表彰は上の空で、その時かかっていた行進曲を脳内再生していました。
今となってはどんな曲がかかっていたのかは覚えていませんが、国体の歌「若い力」だけはなぜか覚えています。

親にねだって買ってもらった

12歳の誕生日。何かほしいものがあるか、あれば誕生日プレゼント&卒業祝いとして買ってやると親に言われ、聴きたい音楽があると答えて連れていってもらったレコード店。買ってほしいものは、行進曲のレコード(※当時はLPレコードの時代)でした。
行進曲がほしければ吹奏楽や実用レコードのコーナーに行けばよかったものを、店の入り口すぐの所にあるカセットテープのコーナーをふと見ると・・・・一本のカセットテープにいきなり目が吸い寄せられました。「星条旗よ永遠なれ/バーンスタイン&ニューヨーク・フィル マーチ・スペクタクル」
軍楽隊がこちらに向けて一斉に進軍してくる賑々しいジャケット画には、抗しがたい引力がありました。レコードではなくカセットテープでしたが、運命的な出会いでした。
「これがいい!」と、しぶる親にねだってそのカセットテープを買ってもらいました。

勇壮!豪快!血湧き肉躍るオーケストラ版行進曲集の名盤!

家に帰ってさっそく封を切ると、中には曲目解説カードが入っています。門馬直美という音楽評論家が、指揮者レナード・バーンスタインの素晴らしさ、ニューヨーク・フィルの巧さ、行進曲の魅力を熱く語りかけていました。
演奏は・・・・1曲目の「ワシントン・ポスト」から、「颯爽!」という言葉を音で存分に表現したかのような音楽。あっという間に行進曲の魅力、オーケストラの魅力に取り憑かれました。
A面6曲目、超スピードで演奏される「星条旗よ永遠なれ」。バーンスタイン指揮するニューヨーク・フィルは一糸乱れぬ、まったく目も眩むような巧さでした。
B面2曲目の「リパブリック讃歌」(アメリカ南北戦争時の北軍の軍歌)は「あれ?この曲って・・・・" ♪ おたまじゃくしは かえるの子 ♪ "?」
意外すぎる発見でした。
B面3曲目の「錨を上げて」は小学5年生時の音楽発表会で、4曲目の「ボギー大佐」は6年生の音楽発表会で、自分たちが演奏した曲でした。「こんなにいい曲だったのか」・・・・
一曲一曲は3分程度、テープ全体通して聴いても40分程度。飽きっぽい私にとって、ちょうどよい長さでした。

以来、朝学校に行く前に聴き、帰ってから聴き、寝る前に聴き・・・・本当に繰り返しくり返し聴きました。

今にして思えば・・・・それでも

あれから数十年。いろいろな音楽を聴き、いろいろ音楽の事情が分かってくると・・・・ニューヨーク・フィルは決してうまくはありません。アンサンブルはけっこう乱れています。バーンスタインの指揮=音楽づくりも、豪快を通り越して「有無を言わさぬ力技」という面があります。
それでも、どの曲からも強烈に放射されている音楽のエネルギーとバーンスタインのまばゆいオーラは、何ものにも代えがたい魅力を感じます。

<追記>

このレコードはのちにCD化され、再発売を繰り返していますが、どの版でも「英国擲弾兵」と「ルール・ブリタニア」がカットされています。また同じくバーンスタイン&ニューヨーク・フィルが演奏するクラシック・マーチ集がカップリングされているのですが、そのクラシック・マーチが重くだるい演奏で・・・・、「これが同じ演奏者か?」と思うくらいの代物です(※バーンスタインもニューヨーク・フィルも、当たり外れが大きいことで定評があります)。
オリジナルをCD化したものは、残念ながら過去も現在も日本では発売されていません。今回紹介したのは、本国アメリカ製の「バーンスタイン&ニューヨーク・フィルBOXセット」に入っているオリジナル復刻の紙ジャケ盤を、ヤフオクで入手したものです。鑑賞用として1枚、保存用として2枚入手しました。←ビョーキです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?