随筆 高等学校
登校する。老いた女が何か喚き立てている。
どうやら当校の教員のようだ。どうやら叱っているらしく生徒を見上げながら見下している。
生徒は銃弾から頭部を庇うようにして低身平頭面従腹背の様相を醸しマイッタヨゴメンナサイコンチクショウという主張が傍目からでもよく伝わる。とても「先生」だなんて敬意は見受けられない。もちろん教師も「先生」なんてとても言い難い体たらくをしている。
さながら刑務所の囚人が看守を恨めしそうに睨む眼だ。
三年生もこの時期はもう授業らしい授業はなく、大学入試のある生徒、推薦で入学が内定された生徒、あるいは就職であったり専門学校の勉強をする生徒もいる。そこへ来て「本日ハ教室デコノ教科ヲヤレ。サアヤレスグヤレ」と使いもしない教科でも強いる。それだけではなく「成績不良ナルモノハ放課後補習セヨ」といって一つの教室へ生徒を拘留し、しかもプリントを渡して「自主的ニ積極性ヲ以テヤレ」と来る。それで勉強できるならこんなとこに来ていないのだというごくごく当たり前の道理も理解してはいない。
弊校は県の進学重点指定校となっているが、模試の成績は全国的に見ても芳しくない。
これは果たして生徒だけの責任なのだろうか、それとも──
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