2024.8.21
毎朝起きるたびに絶望している。今日も生き延びてしまったんだなって。週5回、5時間45分、時給換算すると約6000円のために毎日電車に乗って地獄へ向かっている。電車の中には色々な人がいて「この人たちはこれから楽しい用事があるのかな」とか考え始めるとどんどん気分が沼みたいなところの奥底に沈んでいく。家の最寄駅の次の駅で乗り換え、さらにそこから2駅先に私の職場はある。電車から降りて足早にエスカレーターを歩いて登って、さっさと改札を通って行く。近くのコンビニで500mlのモンスターエナジーを買って職場へ向かう。職場は駅から近いところにあって、徒歩2分程度。もう少し心の準備をさせてほしいけどそんなに優しくはない。
家に帰るとご飯を作って食べてお風呂に入って、全てが終わったらYouTubeを見て過ごす。で、次の日の14時に起きて準備して仕事へ向かう。毎日毎日。変わり映えのない日常、変わり映えのない人生。今が幸せなのかと問われると全く分からない。幸せな時もあれば不幸な時もある。分からない。何も分からない。
Twitterを開くと皆辛く苦しくなっていて、自分は苦しくなってはいけないのではと思う。そんなわけないけど。私には語彙力がない。小説家を目指してるのに。だから自分の気持ちを伝える事は出来ない。死にたいという一言では語り尽くせない。言葉を上手く使えない。みんなはどうやって苦しみを表現してるのかな。
私は持病のせいか知らないけど、他人と関わるのが嫌になる時がある。LINEの返信をしたくないし何ならLINEのアカウントを消してこの世から消え去りたい。遠くへ行きたい。出勤の時に電車に乗るたび「このままどこか遠くへ行ってしまおうかな」と思う。高麗川とか行きたい。行ったことないし。何があるんだろう。茅ヶ崎もいいな。海好きだし。夕暮れの中海を見つめたい。何も考えずに。夕暮れの海は日中よりきらきら輝いている。私の気持ちも知らずに。サザンビーチのあのモニュメントの前で写真を撮る人たちを横目に海の水の方へ進んでいく。このままどんどん沈んでいきたい。海の奥底に。海の底には光が届かない。誰かが言ってた。「光って、光って、光って死にたい」って。
仕事が終わると歩いて帰るようにしてる。明るい道もあれば暗い道もある。たくさんの家がある。色々な人が住んでいて、色々な人が生きている。他の人は「死にたい」とか思うのかな。「消えたい」とか考えるのかな。「普通」の定義なんて知らない。でも、「皆と同じスピード、ペースで生きる事が「普通」ってことだよ」って言われるとしたらそれはそれでありだと思う。皆のペースは早い。私は必死だけど皆からは必死に見えないんだろうな。毎日仕事に行って、毎日家事をして、毎日生きてる事は当たり前。当たり前って言葉、嫌いだな。当てはまらない人もいるじゃんね。30分歩いたら自宅に着く。真っ直ぐ歩いて曲がって、真っ直ぐ歩いて曲がって、真っ直ぐ歩いて曲がった先に自宅はある。家ではお腹を空かせた恋人が待ってる。きっとこれは幸せなんだろうな。じゃあ幸せってことにしとく?
色々なことを思い出す。死にたかった14歳の頃、死のうとした17歳の頃、死に切れなかった19歳の頃。希死念慮と一緒に生きてる人生。家庭環境ガチャに失敗して、でも今の恋人のおかげで何とかある程度幸せに生きてる。地元を、友達を、全て捨てて東京へ引っ越してきた。私の過去を知ってる人なんてほぼ居ない。私の過去を見てきた人は誰もいない。こんなに楽な事はあるだろうか。電車に乗るたび「この地名、よく分からない。多分、私は遠くに来たんだな」と実感する。地元にいた時、札幌の地下鉄に乗った時、行き先表示を見続けていた。次はすすきのか。降りないと。すすきのはさらっとした街で、過ごすには案外悪くない。客引きも少ないし。雪で足場がとても悪い中歩いて行く。タクシーが細い道で雪で動けなくなり、前に進めるように周りの人が一生懸命押している。それを横目に歩いて行く。地元にいた頃は何を考えていたんだろう。
一人暮らしをしていた頃を思い出す。JR駅から徒歩5分。それなりに良い立地だと思う。ワンルームで家賃は21000円。どうせ寝て起きるだけだから別にどこでも良い。初日はワクワクしていた。セコマでカツ丼買って食べた記憶がある。美味しかった。でも一人は良いけど独りは嫌い。真夜中になる度に苦しんでいた。1分が1時間に感じた。救いを求めてかけた電話では「迷惑」と言われて切られた。頼る人なんて一人もいない世界。深夜3時。気分をどうにかしようと外に出たら空気がとても冷たくて結局すぐに家に戻ってしまった。ストーブを点ける。ガスストーブだったんだけど、点け続けるとガス代がやばいことになるからある程度部屋が暖かくなったら止める。テレビを点ける。知らない人が知らない商品を紹介してる。こんなの欲しい人いるのかな。すぐにテレビを消す。surfaceを起動してYouTubeを開く。適当な動画を観る。寝落ちしたくても出来ない。神様、神様、早く朝にしてください。
適当な量の薬を飲んで、なんかぼやーっとしながら天井を見て考え事をたくさんする。用法容量を守るべきだろうな。たくさんの事を思い出す。思い出すだけで済む時もあれば、フラッシュバックを起こす時もある。殴られた時の事。突き放された時の事。色々な事。人生、色々ありすぎたんだなと思う。経験しすぎたのかもしれない。こんな人生送りたくなかったよ。今の幸せは無くしたくない。とにかく過去を消したい。私、幸せな過去が欲しかったよ。優しい家族、美味しいご飯、楽しく過ごせる友達、理解のある教師。何もかも無かった。大事な事を忘れ続けて嫌な事は残り続ける。呪いのように。私は呪われてるんだ。
冬の夜、外に出て空を見上げるとオリオン座が輝いていた。ベテルギウスってもう死んじゃったのかな。そういう話を聞いた事がある。今見てるベテルギウスは生きてるけど、もしかしたら光がまだ届いてないだけでもう死んじゃってるのかもしれない。だって近くても500光年先くらいにあるらしいし。手を伸ばしてみても届くはずもなく。地元にいた頃もオリオン座をよく見ていた。その時も空に向けて手を伸ばした記憶がある。私の知らないところで色々な事が起こっているんだ。私の好きだった人は私と一緒にいた頃より幸せな人生を送っていて、ベテルギウスはもう死んでるかもしれない。星ってすごいよね。遠すぎ。
また薬を飲む。ぷちぷち、という音と共に薬が床に落ちる。そんなに飲んだらだめだよ。たくさん飲んでも何も変わらない。ただふわーっとするだけ。別にハッピーな方向のふわーっではない。ただ意識がぼんやりするだけ。そんな頭で必死に考える。友人たちは夢を叶えたり、もう結婚したりしている。ごめんね、夢全部叶えられなかった。何者にもなれなかった。何者かになれた皆のことを思い出す。
明日も早いし寝ないと。
神様、わたしは、わたしはわたしはわたしは
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?