悲劇こそ絵になる
戦争や飢餓、病や死などのネガティブな要素は、この世からなくなればいい、というのは、いつの時代も多くの人の切なる願いだったと思います。
最近、西洋絵画の名画とされる戦争画は、悲劇を描いたものだということを知り、とても興味深く思いました。
つまり敗戦の虚しさや戦争の残酷さ、屍を超えて得た勝利こそが人の心を激しく揺さぶるのだというのです。
言葉を選ばずに言えば、悲劇こそ絵になるということ。
この世の哀しみを憎みつつも、と同時にそこに価値を置くという皮肉にやるせなさを感じます。
私たちは、世の中からネガティブな要素を排除するために働くべきだけれど、それは同時に私たちを人間たらしめている何かを失うことになるのかもしれません。
私が人間の闇やネガティブな面にこだわって作品を描いているのは、そこにその人らしさがにじみでているように思うからです。
自分ではどうすることもできない状況を憎み、そんな自分の無力さを嘆き、それでもわずかな希望や可能性にすがろうとする人間に愛おしさすら感じます。
これからもダークな面を見つめつつ、そこに秘められた人間の哀しく尊い姿と向き合っていきたいと思っています。
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