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私の好きだったアイドルが死んでゆく

少し時間が経ってしまったが、まゆゆこと、渡辺麻友が芸能界を引退した。私の中では、すごくセンセーションなニュースだった。
違うんですよ、ちょっと言い訳させてください。この発表があった当日にこの記事を書き始めたんですけど、麻友の事本当に好きだし下手な事言いたくないなと思って、昔のテレビ番組とか雑誌のインタビューとか読んでたらマジでどんどん落ち込んじゃって書けなくなっちゃったんですよね。「なんでこんなにひたむきに頑張ってる人が?芸能界に殺されたと言っても過言では無いのでは?」と色々思うところがあって、ずっとこの記事を書けずにいました。頑張って書いたので長くなるけど読んでね。

思えば、麻友は私が1番最初に自発的に好きになった女性アイドルだ。小学生の頃はミニモニ。とかも好きだったんだけど、それって周りが騒いでるから私も便乗してミニモニ。の鉛筆とか持ってただけで。ただクラスで浮きたくないってだけだった。そんなの、ちゃんとした「好き」じゃないよね。
でも、麻友は、存在を知ってからこの瞬間までの約10年間、周りの人間にラミミとか揶揄されても私はずっと好きであり続けた。その人が引退。純粋に悲しいし、ショックだ。

先に断っておく。私は彼女を本当に尊敬しているが、同い年だし、敢えて親しみを込めて「麻友」と呼んでいる。みんなから期待されるキラキラアイドルで良い子ちゃんの「まゆゆ」じゃなくて、そのままの1人の人間としての「渡辺麻友」が丸ごと全部好きだから。彼女は表舞台に立つ時、「まゆゆ」としてのスイッチを入れている。汚いところを見せない、キラキラ可愛い、夢と希望だけを与える完全無欠のアイドルとして、与えられた役割を全うしようと。「渡辺麻友」は殺して、「まゆゆ」を演じきっている。それって生半可な覚悟じゃ出来ない事だよね。凄く凄く疲れると思う。だから、「まゆゆ」と呼んだら、良い子で居なければならないというプレッシャーを与えてしまいそうで。メディアには映らない素の「渡辺麻友」も愛せると確信しているから。私は「麻友」と呼んでいる。
そうは言っても、メディアに映っている部分しか私は知らない。プライベートで会ったこともなければ、握手会すら行ったことがない。ファンクラブにも入っていなかったし、写真集とかは買っていたけど、ほぼ無銭なので私がファンと名乗るのも烏滸がましいくらいだ。でも、テレビの画面やインタビューの言葉の端から彼女の本心みたいなものがちゃんと見え隠れしていて、そこに自分と似たような、真面目でひたむきに理想とする自分に近づくため日々努力する隠キャめいたものを感じて、勝手にシンパシーを感じていた。えっ、なにこのキモオタ。自分の文章見返して気持ち悪くなったわ。「僕達、心は通じ合ってるよね?」系のガチ恋キモオタじゃん、ひえ〜〜〜逃げろ〜〜〜!

まぁなので、会いに行けるアイドルだったのに全然会いに行かなかったんですよ。所詮ニワカだからさ、ライブとか握手会はガチ勢のオタク達が怖いし、女でAKB好きって当時はあんまり居なくって、幸いAKB全盛期はメディア露出が半端なくて供給には困ってなかったから。いや、AKB卒業してからのアメリは観に行こうと思ってたんだよ、真面目に。舞台は好きだし、普通にミュージカル面白そうだなって。でも行かなかった。こんな事になるくらいならちょっと無理してでも行けば良かったな。推しは推せる時に全力で推せ。名言である。

そもそも麻友を知ったのも、かなり邪な理由でだ。中学2年生の時、好きだった男の子が「AKBなら誰推し?」と聞かれていて、「まゆゆかな」と答えていたのを小耳に挟んだ私は、「さてどんな女なのかねぇ」と穿った目でAKBINGO!を見始めます。その頃から既に麻友の人気は結構あったけど、如何せん喋らない。ひな壇で常にアイドルスマイルを浮かべているツインテールの可愛い女の子という印象だった。顔は確かに私のタイプだ。(私は当時から男顔でキツめで大人っぽいねと言われる顔立ちだったので、逆に女の子らしくてピンクやフリフリのロリータ服が似合うような小柄で小動物みたいな柔らかな女の子に憧れた。例を挙げると、みおりんとか、ぁぃぁぃとか。黒髪ロングは正義。)
お顔は確かに可愛いけど、「なーんだ、ただの引っ込み思案なつまらん正統派アイドルじゃん」と思いながらも出演番組を見続けていたら、障害物競争で負けて大号泣するほど負けず嫌いなところや、2次元の話になると目を輝かせて早口で話し始める陰キャなヲタクなところが露呈し始めて、私の中で「ギャップ萌え〜!」となってしまったんですよね。アイドルサイボーグとか言われてるけど、ちゃんと人間らしいじゃんって。フランシスお兄ちゃんの事を語ってる麻友、めちゃめちゃ目がキラキラしてて超可愛いじゃんって。そこからもう、好きな男の子の推しのアイドルだからなんて関係なく、純粋に麻友が好きになった。

外見はもちろん好きなんだけど、彼女のプロ意識の高さが好きだった。よく言われるのはノースキャンダル。デビューしてからずっと、浮いた話はひとつも無い。ファンの方が悲しむからって。自分の好きな事やりたい事を差し置いて、何よりもファンを大事にしてくれてたのに。
5年前くらいの情熱大陸のインタビューでさ、「総選挙1位を取れなかったら泣くと思っていた」と取材班に言われて、麻友は「むしろ1位取ってた方が泣いていたと思う。私はそんなに弱い人間じゃないですよ」と心なしか震えたような声で答えていたのを見て、「なんて強い人なんだろう」と至極感嘆した。本当はめちゃくちゃ弱いのに、カメラの前では気丈に振る舞うその姿が、美しかった。例えノーメイクで、眠れなかったのか目の下にはクマができていて、土気色した顔でも、その時の彼女は間違いなく美しかった。異論は認めない。

いや実際めちゃめちゃ美しいし可愛くないですか!?なんでこんなにアンチがいるのかちょっと分からないんですよね〜。これは完全に主観なので異論は認めますけども。
だって、綺麗な二重のおめめ!白目と黒目の比率もバッチリ!右目の下にある泣きボクロ!丸みのあるお鼻!マシュマロみたいなほっぺた!歯並びも綺麗!意外とぽってりしている唇!白くてすべすべのお肌!どれをとっても最高じゃん!私の理想の女の子なんですよね〜。
余談なんですけど、今さ、2冊目の写真集見返してたらお尻のカットが多すぎて気持ち悪くなっちゃった。そりゃ男性ファンの方が圧倒的に多いだろうし、大人になった麻友を見せたいってのはあるだろうけど。性を商品として消費されている感じがつらくなっちゃったな。しんどーい。確かに麻友のお尻は国宝級の美尻なんですよ。めちゃめちゃ良い形をしていらっしゃるんです。麻友自身も「よく褒められるのでそこは自信持ちたいな」とは答えているんです。でもなんと言うか!22歳になった渡辺麻友の見たいところはそこだけじゃないぞ!って感じ。伝われ〜(両手をヒラヒラさせながら顔の前に出す)(突然の佐久間一行)

あ、情熱大陸で思い出したんだけどさ、あれのラストに、「生まれ変わってもアイドルになりたい?」と取材班に問われて、「充分堪能したし、もう次はいいかな、生まれ変わったら猫とかになりたい。良いですよね、自由で。」って答えてたんですね。その時のナレーションが、「生まれ変わったら猫になりたい、そう答える渡辺はどこまでも根っからの正統派アイドルなのかもしれない」みたいな感じで締められていたんですけど、それって違くないですか?秒単位で忙しくて、自分押し殺して生活するのがやっぱりしんどかったんじゃないのかなって。可愛いし、好印象を残す為に猫になりたいって答えた訳じゃないんですよ。自由気ままに、好きな時に寝て起きて、何をせずとも人間からご飯もらって、のんびりした生活がしてみたいという意味での"猫"であった訳で。言葉の浅いところしか掬ってないのにあたかもそれが「本質です!」みたいな顔で自信満々にしているマスメディアってやっぱり苦手だなと思った。あれ?ただのディスり?麻友の話はどこ行ったの?

いや、体調不良とは言え、とりあえずはご存命で良かったんだけどさ。なんとなくだけど、あの完璧主義っぷりだと、ちょっとでも躓いたら自死を考えることも全然ありそうだなって。勝手な推測だけど。
だって元日の「あけおめ」ツイート以来、何も音沙汰無かったもんね。今年2月のUTAGE!のアシスタントが宮田だった後くらいから、ネット上で「消えた」とか噂され始めてさ。体調不良って絶対に精神的なやつじゃーん、頑張りすぎだよー、結局指原みたいなバランス感覚に長けてる子の方が売れちゃうんだよねー、このご時世に正統派アイドルをやり続ける辛さは想像を絶する、世間はバラエティ向きのぶっちゃけキャラのアイドルを求めていて、そりゃ真面目に頑張るのがバカらしくなっちゃうよね、腐りそう、誰か俺に腐り芸人セラピーを開催してくれ。は?俺は何を言ってるんだ?ごめんなさい、正気に戻りました。
でもそれは彼女自身も分かっていて。特にAKBは頑張ったからって必ず報われる場所じゃない、それでも私は正統派として頑張りたいと仰っていて。えー泣けちゃう。良くも悪くも不器用よね。そんなところも大好きなんだけども。


人前に出る時は必ず「まゆゆ」だった。ファンから、プロデューサーから、みんなから期待される「偶像」を演じこなしていた。
人と会っている時、私も常にステージの上に立っている。なんと言えば良いのか、人の目を凄く意識している。もちろん麻友と私じゃ曝されている目の数が違う。それは分かっているけども。服を売る職に就いてからは尚更、素敵に振る舞う事が仕事のつらさが身に染みて分かる。
特に好きな男の前だと顕著になる。自分の汚いところを見られたくない、「トイレ」って言うのも憚られて、「お手洗い」って言うし、一緒に食事している場面なら咀嚼音にも気を配る。本当なら肉とか魚とか食べてる姿さえ見られたくない、甘いお菓子で私の体は構築されていると思われたい。可愛い可愛い"偶像"でありたい、だってそれしか私の取り柄無いし。どうせ顔でしか好かれてないんだし。なら演じますよ、ちゃんと、あなたが望む可愛い「ゆみちゃん」を。名前は符号。本当の私なんて存在しないんだから。お前らが見てるもんなんて全部嘘っぱちかも知んねーぞ!!ねぇ、だから麻友の話はどこに行ったの?2度目だぞ??

まあそんな感じで、勝手にシンパシー感じて、麻友にあまり得にならない形で陰ながら応援していたんです。もっとちゃんと応援できていたら、会いに行って「好きだ」と伝えられていたら、ただただ後悔ばかりが募ります。ちらとツイッターで見かけたのですが、麻友が所属していた事務所にまだファンレター送っても大丈夫らしいので、せめてそれくらいは書こうかなと。書きたい事がまとまらなさ過ぎて、この記事を書く事の比じゃないくらい時間がかかりそうだけど。現役の時に伝えられなかった想いをちゃんと伝えなきゃな。


最後に麻友のソロ曲を紹介させてください。超良い曲があるんです、もっと世から評価されても良いと思う。「出逢いの続き」という曲なんですけども。いやもちろん作詞は秋元先生なんだけどさ、歌詞がめちゃめちゃ良いし、メロディーも爽やかで超良いんですよね。麻友のキャラじゃないとこんなに真っ白で正統派な曲歌えないよ。正直言っちゃうと、別に麻友ってめちゃくちゃに歌が上手いわけではないじゃないですか。その普通の歌声が逆に親しみやすいというか、我々のような一般人の心にスッと入ってくるというか。麻友だから歌えた曲。
一応恋愛ソングだけど、あらゆる人間関係に於いて言える事を歌っていて。出だしの「出逢いの中で続くものって 未来のために選ばれたもの」でもう泣いた。歌詞がマジで良いのでとりあえず歌詞だけでも読んで欲しい。

麻友は、私が世界で1番尊敬している女の子。これからもずっと、好きだ。

ニートなのでサポートして頂けたらご飯を買ったり家賃を払いたいと思います。