忘れ形見を探して
引用画像:M's☆Diamo〜エムズディアモ〜【~6月誕生石 ラウンド 5mm用枠~ No.2919 K18YG ムーンストーン ピアス】
URL: Creema https://www.creema.jp/item/12893164/detail @Creema_jp
掻爬手術から13日が経った。仕事にも復帰して、毎日元気に残業している日々。手術が決まった週にはすでに繁忙期に差し掛かっていたので、病み上がりなのだけれども、身体と心にムチを打ってなんとか仕事をこなしている。
もうすっかり中堅なのに、残念ながら私は要領が悪いので仕事を素早く捌くことが出来ていない。(手を抜く度胸もないからやはり仕事に時間がかかる。)
流産の宣告を受けた日、「稽留流産」「誤診」「心拍復活」などの言葉を検索して、この診断にわずかでも間違いがないだろうかと、色々な妊婦さんが書いた記事を読み漁った。稽留流産と宣告を受け、術前の最終確認のエコーで、心拍が確認でき、そのまま妊娠を継続して出産まで至った。そんなケースもあったそうだ。
「自分のお腹の子にも、そんな奇跡は起こり得ないのだろうか。」と何度も思った。
妊婦さんの中には、セカンドオピニオンを聞きに、他の産婦人科でもう一度エコーをみてもらう人もいるらしい。
調べれば調べるほど、心拍が回復した例はとても少なく、期待をしないほうが自分の心のためであることをなんとなく頭で理解し始めた。
セカンドオピニオンは、いいかなぁ。と思えて他の産婦人科を受診することもなかった。
セカンドオピニオンを諦めている時、ある記事の一文が目にとまった。
『流産の手術を受けた日は、その子の命日でもあるのだけれど、誕生日でもあるのだ』という言葉。とても前向きな考えだなぁ、と感心した。
「この子は手術でやっと、産まれるのか。」
そう思えてくると、お腹の中で身動きが取れない我が子を、早く外の世界へ出してあげなくては、という気持ちになった。
後に知ったことだが、手術を選ばず自然排出を希望するお母さんの多くが、手術のデメリットを避けるのではなく、「流産であったとしても、自分で産んであげたい」という気持ちを持っているという。
私は手術後も不妊治療を継続するつもりでいたから、旦那とも相談をして、取り出した子を染色体検査に出すことにしていた。染色体検査に出すことで、今回流産をした原因をかなり特定することができるそうだ。夫婦の中で、自然排出を待つ、という選択肢はなかったのだ。
知恵袋やさまざさまなサイトを読み漁っているうちに、「この子が確かに存在した。その証を残したい。」と、流産の手術をした日をその子の誕生日と考え、その月の誕生石があしらわれたジュエリーを忘れ形見として買った女性の記事が目にとまった。
旦那さんの方が奥さんを気遣い、手術をした翌日に贈ったという夫婦もいたようだ。
手術をする直前まで、「自分もこの子がいたことを絶対に忘れたくない。だから、6月の誕生日の何かを身につけようかな…」と本格的に悩んだ。
しかし、あまりにも手術がしんどすぎて、術後はその気持ちがすっかり萎えてしまい、忘れ形見なんてセンチメンタルな気持ちになれず、「ジュエリーにお金を使うくらいなら、今後の不妊治療のために、質素な生活をしなきゃだ。」と思考が完全にシフトしてしまったのだ。
仕事に復帰した数日後、手術前に忘れ形見のことを考えていたことを思い出した。
教育関係の仕事で拘束時間が長い現場なので、ついつい家でも仕事のことばかり考えてしまう。このままだと、本当にいつか失われた命のことを忘れてしまうのではないかと不安になった。
「やっぱり、いつでも思い出せるように忘れ形見のジュエリーを買おう。」
帰宅しながら、探しに行くお店を頭の中でリストアップしていった。
術後の検診のあと、駅ビルのジュエリーショップを見て回ったけども、7月に入っていたこともあり、6月の誕生石をあしらったものは全て売り切れていた。
なかなかこちらの都合のいいタイミングでは見つからないか、と諦めようとしたけれども、ネットサーフィンで6月の誕生石のジュエリーを探した。
何度か使ったことのあるハンドメイド専門の通販のアプリで調べると、良心的な値段でK18やK10のジュエリーが手に入ることがわかった。
6月の誕生石は、パールにムーンストーンが代表的なものらしい。パールは本物だと手入れが難しそうだし、イミテーションのやつだと気分も上がらない。ムーンストーンのものを探すことにした。
最初は華奢なリングを見ていたのだけれど、手仕事の邪魔にならないピアスを選んだ。
私の耳は薄くて小さいため、いつも2〜3ミリ程度のシンプルなモチーフのものをつけているので。ムーンストーンのピアスは4〜5㎜程度で、届いた直後は大きすぎるかな?と心配になったけど、いざつけてみると主張しすぎず、そしてほどよく存在感のある印象になった。
鏡越しにムーンストーンのピアスが目に入るたびに、あの子のことを思い出すことができる。形に残すのって、傍からみる「いつまで悲観的になってんの?」って呆れられちゃうかなぁ、なんて被害妄想が膨らんでいたのだけれど、結果的に身につけた自分がポジティブになれた。
夏季休業まであともう少し!今年の夏こそ、楽しい思い出をたくさん作らなければ!と、意気込んでいる。
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