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花束を無邪気に渡すような恋はもうできない

道ならぬ未遂恋
分かるときがあるのです
ふと、一瞬で空気が変わったと
さっきまで、同じように話し
同じようにそれぞれ手酌でお酒を楽しみ
気のおけない 友達だと思っていたのに

ふと、光がワントーンダウンしたように感じて
驚いて相手の顔を見つめると
その瞳だけが 静かに濡れている

嫌いじゃないからこれまでの付き合いもあるわけで
つい、こころは動揺してしまいます
ただ、その一方でそれは、私の単なる思い込みにすぎない
そんな可能性もあるわけで

まだ20代の頃なら
思い込みもまた良しと 流れに任せて身を委ねたりもしたのですが
だんだん、しがらみや
手に持ったものの存在が大きくて
それ相当の覚悟がないと
川の向こうに渡れなくなりました

それと同時に
熱く、激しい感情だけが
自分の素直な心でもないのだと
妙に冷めた私も同居していて
しばらくすると自然にそのこころの動悸も治まるのだから
冷静に分析したりしてしまうのです

思えば、好きなものは好き
何を投げ打っても欲しいものは欲しい
そんな風に無邪気に言えたあの時期は
自分を無条件に好きでいることが出来る時期でした

いまや、人に惚れるというのも難しいものです
花束を無邪気に渡すように恋は出来ない
人は誰もが死に向かって生きているように
恋もいつか訪れる別れへのカウントダウンを刻みながら睦あっている

結果、切なさを心の片隅におきながらも
この瞬間の好きという本音にすがり
貴方のkissを求めてしまうのです

寂しさのあまり人のこころをもてあそんだ
ということにならないようにだけ
自分を自重しています

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