腕時計
「お日様に当たらないと死んでしまうからね」
どこに向かって言ったのか定かでないまま
あなたはそっと私の左手首につけてくれました
携帯を持つようになって、
すっかり時計をつける習慣もなくなり
すぐに電池切れを起こしていた私
いつもあちこち放浪しては
止まるとイワシのように死んでしまうと
呆れられていた私
いざという時に困っていたことを覚えてくれていたのですね
電池不要の収まりの良い時計
それからずっと私の左手のお供になってます
仕事の時もあさんぽの時も必ずつけて
あなたがいつも側にいてくれるようで
私と共に朝の光を思いっきり吸い込むのです
デジタルのようにその都度
リセットして時が表示されるのではなく
秒針の流れるような動きの中で
時が刻まれる心地よさと安心感は
何となくあなたに似ていると思いました
平凡な日々の繰り返しの中で
時計の針は音もなく進むけど
一年、また一年と
2人の歴史が年輪のように記されていきます
この時計と共に
いつでもお日様のように
貴方のそばでニコニコしている
そんな私でいたいと思うのです
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