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甘くも懐かしい⁉︎Valentine day❤️

それは、私がまだ大学生で京都の街をウロウロしていた頃
とにかく貧乏性というか、いやそのまんま只の貧乏学生だったからか、とにかく朝から晩までバイトに明け暮れていた。

通常は朝はパン屋、昼は蕎麦屋、夜は喫茶店と一度に7つのバイトを掛け持ちし、それでも隙間があれば単発のバイトを何処からか仕入れては働いていた。

その日は、京都の百貨店の催事売り場。
私は、1Fのエスカレーター前でお客さんが来る気配ない⁉︎ワゴンの前に日がな一日佇み、衣料小物を売っていた。

忙しく働いていれば時間もあっという間に経つというものの、近づいて来る客は私の横を素通りしてエスカレーターに一目散に足を早める。

それまでは、卒業して華やかな百貨店勤めも悪くないなと淡い期待を抱いて、このアルバイトも選んでみたのだけど、午前中が終わる頃にはもう絶対こういう仕事にはつくものか!と心に固く誓っていた。

それでも今日は、約束したのだから例え案山子の役にすら立たない立ちんぼであっても、そこに居ないといけない。
油断するとそのまま足元から崩れて寝てしまいそうな午後のひと時を必死で戦っていた。

だいたいこんな日曜日、アルバイトに入ったのも、当時付き合っていた彼と別れたばかりだったから。暇を持て余しこのバイトに飛びついたわけ。

ふと近くのフロアを見渡すと、もうすぐバレンタインだからか此処かしこにそれ専用のディスプレイや、チョコレートが飛び交っている。

別れたばかりの女には、その売り場を充てがわれていたとしたらそれはそれで辛かろうと、暇な高齢者向きの小物ワゴンで、ある意味良かったのかもしれない…
そう自分で自分を慰めていた。

その時、ふと見かけた壁にデカデカと貼られたポスター
そこには「Valentineの時の心に残るキャッチコピー大募集」の文字が踊っていた。

まあ私には関係ないことだけど、と一瞬目を泳がせかけたのですが、その特賞は百貨店の商品券3万、1万と書かれてあり、私の目はそこに釘付けになった。

こうして百貨店でアルバイトが出来たとしても、自分が何かをここで買うなんて夢のまた夢、必要なものは大学の生協か安いお店でしか買ったことがない私

一度でいいから百貨店で「これ頂戴」な〜んて優雅に言ってみたい❣️そんな欲望がむくむくと湧き起こりそこからの午後は、頭の中でキャッチコピーの制作時間に費やされたわけです。

別れた彼とは腐れ縁でした。何度も別れてはヨリを戻すことにほとほと疲れてました。それでもその頃は、こんな大事なイベントの時に彼氏がいないということが大問題でとっても不幸なことに感じる年頃でした。

今なら、むしろ余計な出費をしなくて済んだとせいせいしているところなのでしょうが随分ウブだったものです^^;

そんなちっとも幸せでもない私が作ったキャッチコピーは

「Valentineが無かったら、今日まで待たずにすんたのに」

告白するにも、バレンタインという大義名分がないと相手に伝えることも出来ない乙女心を歌ってみたのですが、その頃にはまだそんな初々しさが僅かでも残っていたのでしょうか。

何と、これが優秀賞をいただき、無事商品券1万円分を獲得したのです❣️٩( ᐛ )و

思えば初めての失恋は、3日ほど何も食べることが出来ない程落ち込んでいたこともあったのに、最近は一晩寝ればスッキリ「さあ!次行ってみよう‼️」んなもんです。

どんなに落ち込むようなアクシデントが起こっても、これがネタになる!と別の私がほくそ笑むわけです。

いまや、バレンタインは巷で起こっている対岸の火事のようなもの⁉︎おかげで、気を揉んだり、哀しんだり心揺さぶられて落ち込むことも滅多になくなり心穏やかな日々を過ごせているわけなのですが、それもまたなんだかなぁと、ふと一抹の寂しさを覚えるバレンタインdayの黄昏時なのでした





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