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サンタクロースの部屋

さて、いよいよ12月
あなたは幼い頃サンタクロースをいつまで信じていましたか

私が記憶にあるのは小学校高学年の頃
もともとクリスマスにプレゼントなど
家族でやりとりする習慣が無かった我が家
それでも密かに信じていた

洒落た靴下なんかもちろんない
家の中でできるだけ大きい
父のしかも口の周りが伸びきったような
使い古しの白い靴下を
片方だけ丁寧に枕元に置き
明日を楽しみに二段ベッドの上で眠りについた

きっと母も知らないだろう
そこにはちょっとしたプレゼントが入っていた
鉛筆だったり
消しゴムだったり
香りをしたためた千代紙だったり
伸びきった靴下に
すっぽり入るほどの小さな贈り物

「サンタさん世界中の子供たちに配らないといけなくても、ちゃんと私のことも忘れないでいてくれたんだ」
と、すっかり信じていたあの頃

それは姉が就職で東京に上京するときまで続いた
姉と2人で使っていた子供部屋は独り占めできるようになり
もう子どもから卒業だよと言わんばかりに
靴下の中はいつまで経っても空っぽだった

それから私も結婚し人の子の親となり
子どもとクリスマスを過ごせるようになった頃、幼い頃サンタクロースを信じることの大切さを書いた本と出会った

― 幼い日にサンタクロースを信じることは大切です。
 心の中にサンタクロースを受け入れた空間を作り上げた子はやがてサンタクロースが出て行ってしまっても、ファンタジーを受け入れる、その空間だけは残るからですー
「サンタクロースの部屋」松岡郷子著

子供が生まれてこの本を知ったとき
私は心から姉に感謝した
この空間はきっとやがて夢を積み上げ
いつか実現する原動力となる

夢があることを知らなければ
夢を語ることも出来ない


空間という一見何もなくて
まさに言葉のまま「からっぽ」な入れ物を
どれだけ親が心を込めて
作ってあげることができるのか
その価値を大きく膨らませてあげるのも
側にいる大人の責任なのかなとも思う

いずれ分かることだからと
全てが大人の事情でモノを語ってしまいがちな自分を恥じた。
あらゆる情報が無秩序なまま垂れ流しを許してしまっている今の時代
子どもをどれだけ守ってあげることができるのか
私たち大人の分別にかかってるとも言えるでしょう

これから迎える厳しい現実に
真正面から立ち向かうためにも
今はファンタジーの中でしっかりと遊ばせ
夢の空間作りを広げる大切さ
もう一度子供たちに伝えたいと思うのです

あなたは今でも夢がありますか
それはどんな願いですか

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