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人生の絵空事

あなたのことを全て分かっていると
いつになれば言うことができるのでしょう

いや、それはいつまでたっても
手に届きそうで届かない
宵の明星の一番星
かつて一度は掴もうとして
天に何度も手を伸ばした幼い自分の姿が思い出されます

自分もそうであるように
生きている限り
人はひと時もとどまることは許されず
人生という川で時を刻み流れていきます

其の様はまるで
そっと浮かべた笹舟のように
ただ身を流れに任せ
その場で起こりゆく定めを受け入れていくだけ

自分の想いとはうらはらに
時には枯れた日照りもあれば
降りしきる雨の中の激流を
泳いでいかないといけないこともあるでしょう

寒ければ暖かい日差しが欲しくなり
暑いと木陰の涼を求め
激しい日常が続けば穏やかな日々を恋しがり
凪が続けばドラマチックな出来事に恋焦がれる

人は日々同じ繰り返しが続くだけで
昨日まで感じていた幸せですら疎み
変化しながら生きるしかないのですから
感情が変わらないわけはないのです

自分のことですら己がままならない存在なのに
どうして他人が理解できましょう
例えその時分かり合えたと想えたところで
それまでの私は既にそこにはかけらもなく
流れゆく互いの人生の一瞬の接点に喜んでいるだけ

分かり合えるという幻想は
もう求めないことにしました

せめて出来ることといえば
好きだから、貴方の想いに寄り添うこと
寄り添いたい自分の気持ちを大切にすることでしょうか

そして、私が「理解できた」と感じるのではなく
相手が「自分のことを理解してくれた」と
感じてくれるのを受身で待つしかないのかなとも思います

それが現実には幻で、次の瞬間には絵空事になったとしても
「分かってくれたのだ」と自分が思えたこと、それが全てで
その事実を積み重ねていくだけ
そんな風に思えるようにもなりました

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