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素鵞社(そがのやしろ)の砂

一握の砂

指からこぼれ落ちるこの砂を胸に秘め
二礼四拍一礼と神さまに契りを交わせば
幸せは約束されるというのでしょうか

砂の脆さ はかなさを知り尽くしながら
神の国にこうして足を運んだのですから
波の音でこころの嗚咽を紛らせ
すがるしかない弱き人間がここにいます

我がまま放題の私でいることでしか
あなたの気持ちを確かめる術が分からないから
例えあなたが呆れはて去ったとしても
それはその勝手すぎた自分のせいだと
諦めつけるにも都合がいいと
素直になることもできず
嫌な女になってしまうのです

砂の城では強固に見せかけた扉も
打ち寄せるひと波であっけなく崩れるだけで
いっそ跡形もなく消えてしまいたいと願うばかり

プライドだけは人一倍なのに
借金を重ね それも才能と嘯く啄木に
つい我が身を重ねてしまいます
気づいて欲しいと貴方に我儘を重ねるのです

ー 頬につたふなみだのごはず一握の
    砂を示しし人を忘れず ー

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