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契る

それは誰かと約束を結ぶ事
ずっとそう考えていた
幼い頃の指切りげんまん
「針千本♪」飲まないことは知ってるけれど
2人の間で交わす秘密の儀式
小指と小指をからませた後
何故だか指のさきっぽがやけに熱かった

何度も指切りを契りながら
約束を破って来たのだろう
その小さな嘘を積み重ね
「絶対」と言う言葉はありえないと
学びながら人は大人になっていく

だから今は、
燃えるような恋もいつかは冷めるものとして永遠の証に書類を整えサインする
互いの気持ちがいつかは変わること
分かっているから取り交わす
移ろいやすいこころをペナルティでしばりつけているだけ

今、貴方と指切りげんまんしたとしても
誰からも何者からもしばられないことは承知なのです
そのまま 気持ちが離れればそれでジ・エンド
差し出す担保はお互いの想い
それでいいと思う私がそこにいる

大人になって、苦い水を何度も飲んだはずなのに
貴方を信じる自分が嬉しいだけなのです
性懲りもなくこうして子どもに帰っていく

そう、契るならそれは私自身
駆け引きや、安全パイでごまかさず
もう嘘をつきたくないと己に証を立てる
例え人を騙すことは出来たとしても
自分のことは自分が一番分かるから

無言で交わした指切り
私の覚悟と見てくれたのですね
何も言わずにそっと引き寄せてくれました

言葉にすると軽くなってしまいそうだから
何も言わずに 貴方を全力で取りにいきます

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